グスタフ・マーラー/交響曲第5番FAQ


 ♪マーラーの交響曲第5番の解説なのですが、曲目解説をインターネットでおなじみのFAQ(frequently asked questions:よくある質問?)にすると、どうなってしまうのか挑戦してみました。
 やってみたものの、やはり曲のイメージを掴みにくいのでは。とほほ・・・


【Q.1】
 交響曲第5番ってなんですかぁ?
【A.1】
・交響曲というのは、多楽章形式の管弦楽曲のことです。交響曲第5番は、その作曲家の5番目の交響曲ということですね。(で・・・ (^^;)

【Q.2】
 いつ頃作曲されたのですか?
【A.2】
・完成したのは1902年7月、マーラーが42歳の時です。
作曲が始められたのは1901年ですから、一年がかりで作曲されました。このあいだ、1902年の3月にマーラーはアルマと結婚しました。夏の間に、作品の全体の構想を練り上げ、スケッチをして、大雑把に書き上げ、その荒削りスコアを秋から冬にかけて丹念に清書するのが、マーラーのやり方でした。

【Q.3】
 初演はいつですか?
【A.3】
・1904年の10月にマーラー自身の指揮で初演されました。曲が完成したら、すぐ演奏されるというものではなかったみたいですね。

【Q.4】
 どんな交響曲なのでしょう?
【A.4】
・この交響曲は大きく3つの部分からなっています。
 第1楽章と第2楽章は、共通の素材(主題)を用いていて、これが第一部。続く長めの第3楽章が第二部。第4楽章と第5楽章も同じ素材が使われていて、これが第三部です。
演奏時間約70分の超大作交響曲です。

【Q.5】
 三部構成五楽章からなる交響曲のようですが・・・それぞれの楽章について教えてください。
【A.5】

〜〜〜第一部〜〜〜


第1楽章 - Trauermarsch (In gemessenem Schritt)
「葬送行進曲(正確な歩みで、厳格に、葬列のように)」
 というわけで、一楽章はお葬式です。トランペットの葬送を告げるファンファーレで始まり、悲しげな旋律が続きます。中間部で、一瞬暴走するのですが・・・やはり、寂しく終わっていきます。

第2楽章 - Sturmisch bewegt mit grosser Vehemenz(ウムラウトは表示できないのか?)
「嵐のように激しく、いっそう大きな激しさで」
 お葬式の後は、嵐です。お葬式が無事に終わったのかどうかが、心配されるところなのですが、この嵐が静まるすきをぬって、一楽章の寂しい旋律が顔を出したりします。

〜〜〜第二部〜〜〜


第3楽章 - Scherzo (Kraftig, nicht zu schnell)
「スケルツォ(力強く、速すぎずに)」
 嵐の後は静けさ・・・ではなく、楽しいウィーン風の舞曲です。とはいうものの、明るさ、楽しさの裏返しで、世紀末的ウィーンの退廃のような感じも、ちらちらと顔を覗かせます。

〜〜〜第三部〜〜〜


第4楽章 - Adagietto (Sehr langsam)
「アダージェット(非常にゆっくりと)」
 で、ようやっと登場するのが、ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」で使われ、超・有名になったアダージェットです。弦楽器+ハープのみで演奏される、官能の音楽をご堪能下さい。

第5楽章 - Rondo - Finale(Allegro)
「ロンド・フィナーレ(アレグロ)」
 官能の後に、のどかな雰囲気で始まる終楽章ですが、この楽章は強烈な「勝利」です。バッハ風フーガが積み重ねられ、4楽章の旋律がちらりと顔を覗かせつつ・・・金管による大クライマックスにより、この長大な交響曲は締めくくられます。

【Q.6】
 一楽章はお葬式だそうですが・・・一体誰のお葬式なのでしょう?
【A.6】
・交響曲第2番「復活」のお葬式は、交響曲第1番の主人公だそうですが、このお葬式は一体誰のお葬式なのでしょうか?ご存じの方がいらっしゃったら・・・ぜひぜひ教えてください。

【Q.7】
 鳴り物がいっぱいありますが・・・何個ぐらいあるのでしょう?
【A.7】
・この曲に使われている鳴り物は・・・ティンパニ×4、大太鼓、小太鼓、シンバル付き大太鼓、シンバル、トライアングル、タム・タム、グロッケンシュピール(鉄琴)、ホルツクラッパー(ウッドブロック)の9種類。「鳴り物」大集合と言ったところですか(^_^)。

【Q.8】
 管楽器の編成は?
【A.8】
・管楽器もいろいろです。フルート×4(3、4番はピッコロ持ち替え)、オーボエ×3(3番はイングリッシュホルン持ち替え)、クラリネット×3(3番はバス・クラリネット持ち替え)、ファゴット×3(3番はコントラファゴット持ち替え)、ホルン×6、トランペット×4、トロンボーン×3、テューバ。
 演奏者は4+3+3+3+6+4+3+1=27人で、楽器は32本必要ですね。

 で、あとは弦5部+ハープ+指揮者で出来上りです。

【Q.9】
 どこで作曲されたのですか?
【A.9】
・マーラーは夏の間に集中して作曲活動を行ったのですが、毎年夏の間は、クラーゲンフルトの近くのヴェルター湖畔のマイアーニーッヒという場所ですごします。この湖畔に面したところに建てられた「マーラー・ヴィラ」に住み、この建物の裏の森に「作曲小屋」を作って、ここで作曲しました。「作曲小屋」には、ピアノ1台とゲーテとカントの全集とバッハの楽譜しかなかったそうです。

【Q.10】
 この交響曲を一言でいうと?
【A.10】
・(弾くの)むずかシ〜っ!(笑)


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