ピアノレッスンの日々

 

04/01/08
今年最初のピアノレッスン。シューベルトのソナタ20番フィナーレです。「大きな構成感も出せるようになったし、細部の表現もかなり詰めてあるけど、フォルテの音色が1種類しかない。腕の筋肉を緊張させて打鍵する鋭いフォルテだけではベートーヴェン的になりすぎるので、肘や肩を柔らかく使って弾力と太い響きをもったフォルテを出せるように」という指摘です。たとえば146小節からの左手はベートーヴェン的なのでそういう弾き方で良いけれども、180小節からの低音部は違うということ。特にスタカーティシモの付いている音は要注意で、ここを鋭いフォルテで「ガンガンガン!」と弾くと暴力的に聞こえてしまう。そうではなくて、コントラバスのピチカートのように深い溜めと大きな呼吸で弾かれなければならないわけですね。
03/12/21
今日もシューベルトを弾きます。曲想表現を掘り下げれば下げるほど面白いしやりがいもあります。とにかくがんばって仕上げ中。次にやるシンフォニア4番とモーツァルトのソナタK.310も練習開始です。メカニカルな技術をきちんとさらっておきたいのでツェルニー50番でもやろうかと思ったのですが、同じ事はモーツァルトやベートーヴェンのソナタでも勉強できそうなので。メカニカルに面白く、かつデモーニッシュな魅力があるK.310をやってみようと思います。
その他いろいろな曲を物色したのですが、本日手を付けてみたのはショパンの葬送ソナタ第1楽章とリストの「ダンテを読んで」。ショパンのソナタは展開部で左手パッセージを外しやすい曲ということがよくわかりました(この部分はプロのピアニストでもミスタッチが出る危険ゾーン)。でも「謝肉祭」のラストに比べたらよっぽど弾きやすいかも知れない。リストのダンテは、今日弾いてみて初めて主題変容で成り立っていることに気づきました(汗)。展開が非常にピアニスティックかつ幻想的で素晴らしいのですが、そのすばらしさを表現するだけの技量が自分にはないということもあり、しばらく放置することに決定(笑)。そんなわけで来年はショパンの葬送ソナタに照準を定めたいと思います。この曲、実は第2楽章が地獄という話があるのですが、とりあえず無視する方向で(ぉぃ)。
03/12/15
シューベルトのソナタ20番第4楽章、まだまだ弾いてます。2週間弾いてだいぶ良くなりました。ようやく全体を把握しながら弾くことができるようになってきた感じ。演奏技術上難しいところは特にないだけに曲想表現を詰めないと、非常につまらなく冗長になってしまいます。なにしろ380小節もあるので、ひととおり弾くだけで20分くらいかかります(もう少しテンポアップして15〜17分にしたいところですが)。それにしても集中して弾けば弾くほど、このソナタに関して深い意味を勘ぐるのがアホらしく思えてしまうのがこの楽章(笑)。ただひたすら美しい音楽が流れるのですよ。あと音符が少ないにもかかわらず、交響的な書法が随所に出てくるのも面白いところで、「ここはフルート」「ここはブリリアントな金管」「これは弦楽器。タリラリ〜」のように明確に意識してフレージングを作っていくと演奏表現が立体的になります。長い曲ですが、最後までとにかく集中力を保って密度の濃い演奏ができるように頑張るのでした。
03/12/01
さてさて、再びシューベルトのソナタ20番第4楽章に取り組みます。てゆうか、この曲の第1楽章を弾き始めたのは約1年前。もう勘弁してくださいって感じです(苦笑)。今日も一生懸命弾いてるのですが、とにかく弾いても弾いても終わらないんですよ。表現の方向性は固まったのであとは弾き込んでいくだけなのですが、とにかく長いのでポイントを絞って練習しないと最後までたどりつきません。第4楽章だけで17ページもあるんです。この長さ、泣きたくなります。シューベルトのソナタを弾いて思ったことは、「今の自分にはまだまだ無理」ってことでした。やっぱり3カ月くらいで弾ききれないと飽きるし、精神的にもイヤになっちゃってダメですね。これからはもう少し短い曲に取り組もうと思ったのでした。
03/11/29
というわけで発表会です。結局あちこちで音を外してしまって、あちゃ〜とか思っていたんですよ。でも録音したのを聴いてみると、ミスタッチはありますが止まったりモタついたところはなく、音楽はスムーズに流れている感じなのでまあいいかって感じです。しかし演奏の完成度はすごく低かった(大汗)。昨年発表会で弾いた「別れの曲」で完璧な仕上げ方をしたのとは大違いで、今回は欠点をいっぱい残ったままだったので反省です。でも腕の筋力も付いたし、サーカスみたいな曲に挑戦できたのは良い経験になりました。また頑張りましょう〜。
03/11/16
謝肉祭ラスト2曲を練習中です。いまだに練習すれば上達するので頑張る日々。キーシンが来日中ですが、ピアノに向かう彼の姿勢を思い出して、背筋をピッと伸ばして、すこし離れた位置から鍵盤全体を見渡す気持ちで弾くと、跳躍してもミスタッチしません。肘や肩に無理な力が入らないし、リズムの表現もしやすいので、この奏法で行こうと思います。
03/11/13
ピアノレッスンの日です。発表会準備ということで謝肉祭の演奏時間を計測したのですが、なんとか5分以内に収まりました。"Pause"は20秒くらいで弾ききることもできるんですが、あまり速いと聴いてる人は何を弾いているのかわからないので(汗)。それと、どうしても左手が弱くて117〜120小節のパッセージを高速に弾けないので、この部分が遅く聞こえないように前後のテンポを設定しました。あとは195小節以降で再加速して205小節からのパッセージを豪華に弾こうというもくろみです。この部分は派手なわりに弾きやすく、オクターブも和音もビシバシ決まるので快感です(笑)。そんなわけで発表会まであと2週間くらいなのですが、なんと私は演奏順が一番最後になってしまいました。どひゃー。
03/11/09
おっと、半年もブランクができてしまいました(汗)。今月末に発表会があるので練習中でございます。曲目はシューマンの「謝肉祭」のラスト2曲"PAUSE"〜"ダヴィッド同盟の行進"(正確にはもっと長い題名なのだが、格好悪いので短縮)。かなり派手でバリバリ弾く曲です。すでにひととおり弾ける状態なのですが、ミスタッチ率を減らすことと、さらにテンポを上げることが課題です。とにかく怒濤のように、流れるように弾きたいというか、外面的な演奏効果を出してみたいんですね。なので、強奏時はものすごい大音量になっています。「やっぱり男子は違うね〜。君も腕は細いけど、これでもかってくらいピアノが鳴るねえ。去年の【別れの曲】とはまた全然違って、こういうのもいいね。」と言われております。「謝肉祭」はシューマンの作品の中では理解しやすく、弾きたい方向性や表現などもすぐに固まりました。アゴーギク、デュナーミクを不自然なほど極端にするポイントを設定したり、フォルテの中でアクセントが付いてる音はわざと鍵盤を叩いてちょっとヒステリックにするとか、ちょっとハメを外しすぎた部分を作ってます。あんまり深く考えなくても「やりすぎかな、と思うことをやる」という法則を守るだけでOKだったりします。
03/04/28
連休と言うことでCDをいろいろ聴いているのですが、今日すごいと思ったのがニコライ・ルガンスキーがピアノを弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲1番&3番。ルガンスキーは一昨年あたりから単なる技巧派以上のピアニストに変化してきているので期待していたのですが、このCDは期待以上。普通の若手なら技巧が炸裂してしまうラフマニノフ3番ですが、テンポを抑え、逸る心を抑え、絶妙に音色をコントロールしながら音を紡いでいく様子から一段とレベルアップしたことが伺えます。特に丁寧なフレージングと音量バランスへ、豊富な音色の使い分けが素晴らしい。抑えるだけでなく、デモーニッシュに感情を押し出す場面もあって、お主やるなあという感じ。オケもルガンスキーに合わせてこまやかな演奏をしているのが好感度高いです。ラフマニノフにこだわりがあるのは当然だと思いますが、ツィメルマンがショパンの協奏曲で見せたこだわりに近いものを感じました。ロシア系ピアニストとしてはキーシンよりも好きかもしれません。
03/04/20
「別れの曲」を弾こう!コーナーを更新しました。この1曲だけでかなりの文章を書けるネタを持っているのですが、譜面を作成するのに時間がかかっています。Print Music!というソフトで譜面を作成しているのですが、Web用の画像変換機能がないためいろいろ苦労してるんですね。フリーのグラフィックソフトを駆使していろいろやってます。画像はpngフォーマットを使いたいのですが、ブラウザでの画面表示に時間がかかるようなのでGIFにしました。Unisysのヴォケナスが妙な特許を取得したおかげてGIF変換ツールが激減してしまったのが痛いですね。
03/04/17
ピアノレッスン。シンフォニア15番はだいたい弾けてるので次回までに仕上げることに。シューベルトのソナタ20番第二楽章も特に問題はないのですが、グランドピアノで弾くと音量のコントロールがうまくいかない箇所があるので、日頃の練習法を再考する必要がありそう。
03/04/13
シューベルトのソナタ20番は第一楽章を終了して第二楽章練習中。弾きやすく、特に問題になる箇所もなさそう。先生も「この楽章は難しくないのよね。強いて言えば、最後まで集中力を持続できるかどうかがポイント。延々同じパターンが続くけど、ひたすら淡々と弾くのよ」。シンフォニアは15番を練習中。これもそれほど難しくないのですが、倍速で入るアルペジオをビシッと弾けるようにするのがポイント。指先でタッチを揃える良い練習になりそうです。
あと今日は暇があったので、久々にショパンのバラード1番を弾いてみました。なんと、とうとうコーダまで弾けました。この曲はコーダが難しくて、1年前は譜読みさえままならなかったのですが。今日1日練習しただけで、ゆっくりですが止まらず弾けるようになったので、望みがありそう。別れの曲を仕上げたり、ピッシュナやバッハ弾いたり、長い曲をやったり、いろいろ練習していたおかげで、いつの間にか実力アップしていたみたいです。
03/03/16
シューベルトのソナタ20番の第一楽章ですが、ようやく仕上げ段階にきました。いやー、長かった。これだけ長い曲を弾けるようになる日が来るとは感無量でございます。
03/03/02
昨年は花粉症がひどくて練習もままならなかったのですが、今年は薬物療法がうまく効いていてかなりらくちんだったんです。しかし、週末にかけて風邪をひいてしまいました(苦笑)。
03/02/24
最近のお気に入りの一つがプロコフィエフのピアノ曲なのですが、特に好きなのがイェフム・ブロンフマンが弾いてるソナタ全集とピアノ協奏曲全集。唖然とするような鮮やかな演奏ぶりです。ブロンフマンのピアノは「深みと厚みを増して、図太くなったキーシン」と考えると非常にわかりやすいと思います(笑)。ホロヴィッツのように予想もつかないトリッキーな感じはしないのですが、安定感がすごい。音色そのものに魅力があるし、ロシア系のピアニストでは文句なく最高峰の一人です。4月初旬に来日してマゼール&バイエルン放送響とブラームスの協奏曲を演奏するのですが、おそらく完璧な弾きっぷりを見せてくれるでしょう。興味を持たれた方はぜひ聴いてみてください、
03/02/23
仕事が忙しくてバタバタしているうちに2月も最終週になってしまいます。今月は練習時間も減り気味だったのでものすごく反省しているのですが、なかなかまとまった時間をとるのが難しいです(いいわけ)。そんな中でもいろいろCDを聴いているのですが、今日聴いたラローチャのモーツァルトピアノ協奏曲がすごく良かった。モーツァルトのピアノ協奏曲はいろんな人を聴いているのですが、今一つ満足できるものがなくて。ラローチャも国内盤の選集しか出ていなかったのですが、どういうわけか輸入盤が入荷するようになったので試しに買ってみたら、すごくよかったです。ペライアほど研ぎ澄まされるわけでもなく、内田光子ほど曲に入り込むわけでもなく、自然体で生き生きとした演奏がよいですね。自分より二倍以上も歳の行ってるおばあちゃんピアニストなんですけど、こういう方向性を目指したいと思ってます。
03/02/09
バラード研究を仕上げました。大部分は昨年に書いてあったのですが、CD比較に追加するものを聴きながらやったので時間がかかってしまいました。ショパン研究、次回はピアノソナタを予定しております。
03/02/01
シンフォニア12番もだいぶ慣れてきたので他のシンフォニアを弾いてみたのですが、どれもそんなに難しくなく感じるので、あと2〜3曲弾いたらシンフォニアは終わりにしようと思います。バッハはフレージングやアーティキュレーションをどう弾いて良いのかわからず試行錯誤したり、いろいろ悩むことが多かったのですが、ニコラウス・アーノンクールの「古楽とは何か」という本を読んで以降、かなり確信を持って弾けるようになりました。アーティキュレーションの付け方に関しては、まずは頭の中でどう弾くかイメージすることが大切だと思います。そういう時は楽譜&ピアノと格闘するだけではダメで、文献などで周辺知識を得た方が良いですね。アーノンクールが言うには、音楽、特にバロック音楽は言語だそうです。さしずめ今までの自分は文法もわからずに単語だけを追うような演奏になっていたわけですが、ちょっとした文法をマスターしたおかげで理解度が急激にアップしたようです。
そんなわけで、もともとポリフォニーの解釈に慣れるためにインヴェンション&シンフォニアを弾き始めたのですが、慣れてきたからには別の曲集をやりたいと思います。さしあたってバッハならイギリス組曲を弾きたいんですが、エチュードもやりたいし、時間とのかねあいを検討中でございます。
03/01/27
ピアノレッスンです。シンフォニア12番は「始まり方はすごくうまい。でも最後までその調子を持続してね」(汗)ということで、曲としての見通しはついたので、あとは弾きこんで仕上げていく段階です。シューベルトD.979第一楽章も「やりたいことは見えてきた。それで悪くないよ。」とのこと。推移部や展開部がうまく処理できていなくて、どうしても冗長な感じになってしまうので、これも練習しながら細部の演奏設計を煮詰めたいです。
03/01/23
高田馬場管弦楽団の演奏会@中野ZERO。ZBKさんからいただいた招待状を忘れてしまい、1000円を払って入場。しかし、たった1000円でこんな演奏を聴かせてもらっていいの?と思うほど素晴らしい内容で感激でした。いままでババカン聴いた中では今日が最高に良かったです。演奏曲目は以下のとおり。
 シューベルト「ロザムンデ」序曲
 ベートーヴェン 交響曲第2番
 ストラビンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」より
ペトルーシュカがすごく楽しかった(パンフレットの曲目解説が秀逸!)のですが、ベートーヴェンの交響曲が圧巻でした。もともとアンサンブルの上手いオケで、安定感あるサウンドが持ち味のババカンなのですが、今回は表現の幅が広く音色も多彩になっていて、非常に躍動感あふれる演奏となりました。古楽器配置での演奏だったのですが、第一バイオリンと第二バイオリンの対立具合とか、弦と管の呼応とか、アマオケにここまでやらせるか?というほど緻密な演奏設計です。横島勝人さんという指揮者なのですが、ちょっとすごいかもしれません。第一楽章から今までとは段違いの密度を聴かせてくれたのですが(第一楽章が終わったあと拍手が起こったが、これはある意味必然的)、第二楽章ではいつものババカンらしい濃厚な弦の響きが聴かれ、難しいスケルツォをなんとか乗り切って(笑)、第四楽章へ至る流れの演出も見事。ベートーヴェンは苦手な私ですが、正直ここまでしっかりした演奏を聴かされると「やはりベートーヴェンはすごい」と納得せざるを得ません。次回は7月下旬にシューベルト「未完成」とマーラー「巨人」だそうですー。
03/01/19
シューベルトのソナタ20番の第一楽章練習中。とにかく長いけど、がんばる日々。バッハはシンフォニア10番のテンポアップ中。あわせて12番の譜読みを開始です。あと掲示板作りました。よろしかったら書き込んでください。
03/01/13
シューベルトの勉強でいろいろ聴いているのですが、こりゃすげえと思ったのがロストロポーヴィチ&ブリテンの「アルペジオーネ・ソナタ」。アルペジオーネというのはチェロの親戚のような楽器ですが、チェロよりも高い音域が容易に出せるのが特徴です。したがって、この曲をチェロで弾くと高いポジションが増えて異様に難しくなるのですが、何故かみんなチェロで弾きます。そして自爆する例を私は何度か目撃してきました(笑)。しかし、スラヴァ(ロストロ)の演奏からは、そういった難しさを微塵も感じさせません。出だしのメロディから身悶えんばかりの情念を感じさせるのですが、全体としては抑え気味で静謐な表現になっています。情念が内側に向いている感じ。ブリテンの伴奏も秀逸で、息がぴったり。実に完成度の高い演奏です。スラヴァは先日もNHKで演奏ぶりが放映されていましたが、スタジオ録音での精度の高い演奏と、ライヴにおけるアグレッシヴな表現のギャップに驚きます。チェリストでは最後の巨匠だと思うので、聞き逃さないようにしましょう。
03/01/12
シューベルトD.979譜読み開始。ウィーン原典版を使用してます(エディションの違う楽譜の選択法について、いずれコラムを書きたい)。全楽章で40ページ、第一楽章だけで14ページという巨大な物量です(汗)。第一楽章は主題間の推移部で転調を繰り返す箇所があり、臨時記号の嵐なので音を取りにくいです。そこさえクリアすれば譜読みはできそう。あとは頻出するアルペジオ&跳躍をスムーズに処理できれば弾けそうです。この曲に関しては「こういうふうに弾きたい!」というイメージがすでにあるのですが、細部のニュアンスは譜読みをしながら詰めていかないとダメですね。
シューベルトの楽譜は強弱指示は書かれているのですが、速度指示が大変少ないです。発想記号(なめらかに、はっきりと、荒々しく、とかの指示)も少なくて、楽譜面はバリバリ古典派ですね。あと、decresc.(デクレシェンド)とdimin.(ディミヌエンド)の使い分けが重要。どちらも一般的には「だんだん小さく(ボリュームを絞る)」なのですが、シューベルトの場合は後者に「テンポを落としながら」という要素が加わるようです。曲想的にrit.(リタルダンド。だんだんゆっくりと)を要求する箇所では必ずdimin.が出てきて、そうでない部分はdecresc.が使われ、明確な使い分けがされています。これを裏付けるように、dimin.のあとにa tempo(もとのテンポに戻る)の記述があります。
ちなみに時代的に見るとdecresc.の方が古い書き方で、ベートーヴェンの後期作品からdimin.が主流になります。ショパンやシューマンになると専らdimin.を使っています。1曲の中でdecresc.とdimin.の両方を使っているのはシューベルトだけだと思います。
03/01/09
今年最初のピアノ教室。モーツァルトのソナタK.330第三楽章はイマイチなのですが、これ以上やっても仕方なさそうなので切り上げモードへ(苦笑)。バッハのシンフォニア10番は、曲の捉え方は間違ってないということで、次回は仕上げモードに。中声に主題が来ることが多いのですが、対旋律の最上声をもう少し出して唄った方が良いという指摘がありました。
で、次回以降の曲ですが、シューベルトのピアノソナタD.979(第20番)に決定。しかも第一楽章から(!)です。全楽章を通して弾くと、40分くらいかかる大曲なので、さあ大変。頑張らなくちゃ〜。
03/01/05
モーツァルトのソナタK.330第三楽章、バッハのシンフォニア10番ともに仕上げ中。モーツァルトは苦戦中。メカニックが弱く、速い装飾音が抜けたり、スケールが不揃いになったりしてます。最近、メカニカルな技術の進歩があまりないので、何かエチュードを練習した方が良さそう。シンフォニアは声部の流れを把握してしまえば(ここまでは音楽性とかソルフェージュの問題)、あとは流れがきちんと出るように表現しながら弾けばよいのですが(これは演奏技術の問題)、テンポを上げると運指が非常に難しいです。声部によってアーティキュレーションを使い分けると三声の絡み具合がよくわかり、立体的に聞こえてくるのが面白い。いろいろな効果を試しながら練習していると、ただ弾くのではなくて、演奏を作り上げている気分になります。バッハがこの曲集で意図していたのは、そういうことを自分で考える癖を付けさせることだと思います。
03/01/01
ウィーンフィルのニューイヤーコンサート。指揮はアーノンクール。なかなか良かった。2年前の日記を見れば判りますが、あのときは何か納得できなかったんですね。すごく変な違和感を覚えたので。その違和感の原因はアーノンクールにあったのですが。実は昨年、バッハやモーツァルトについて勉強したり、いろいろCDを聴いているうちにアーノンクール万歳派に転向してしまったのです(笑)。今回とても楽しく聴いてしまったのでした。
02/12/23
モーツァルトばかり弾いてもアレなので、そろそろ別の作曲家の曲も考えてみたら?・・・という先生の提案でいくつか同時進行で譜読み中。
 ・ショパン エチュード Op.10-9、12(革命)
 ・シューベルト 即興曲 Op.90-2(変ホ長調の有名な曲)、ピアノソナタ第20番第4楽章
 ・シューマン 子供の情景
革命のエチュードはまだちょっと無理っぽいので保留。ショパンOp.10-9は曲としては単調であまり面白くないのだけど、良い練習になりそう。シューベルトの即興曲は既にかなり弾けてしまうのであまり練習にならないかも。ソナタ20番の4楽章は自分で弾いてて感激する名曲だけど、いかんせん長い。でも本当に良い曲。子供の情景は1曲ごとが短いけど意外に凝っているシューマンらしい作品。さて、どれを弾こうかなと思案中。
02/12/20
空いてしまいましたが、モーツァルトK.330は第三楽章を仕上げているところです。バッハはシンフォニア6番が終わって10番を譜読み中(装飾音がないので簡単っぽい)。K.330第三楽章はだいたい弾けているのですが「ここでやめちゃもったいない」という先生のお言葉でレベルアップを努力中。

あなたの場合、弾くことだけで精一杯という状況を脱して客観的に聴きながら演奏する余裕が出ると、とたんに音楽性が発揮されてくる。発表会で弾いた「別れの曲」は本当に素晴らしかったけれど、それは自分のやっていることをしっかり把握して弾いていたから。

というわけで。誉められてるんだか、怒られてるんだかよくわかりませんが(汗)。
02/10/12
ラルキブデッリ(古楽器)の仲間たち@浜離宮朝日ホール
  ベートーヴェン 三重協奏曲(チェロ:アンナー・ビルスマ、バイオリン:ビルスマ夫人、フォルテピアノ:渡邊先生)
             交響曲第3番 英雄
何度も書いてますが、私はあまりベートーヴェンが好きじゃないんです。しかし古楽器によるオリジナル編成の演奏と言うことと、ビルスマ夫妻が出ると言うことで行きました。まあ、行って良かった。すごく良かった(笑)。
三重協奏曲と言えば、カラヤンが旧ソ連の大物演奏家(オイストラフ、ロストロポーヴィチ、リヒテル)を招いてベルリンフィルと演奏したCDがめちゃくちゃ有名なんですが、はっきり言ってあの解釈は大間違いということがよくわかりました。この曲は、ピアノ三重奏+オケが基本です。なおかつ、ピアノのパートは非常に簡略化されていて、チェロ+バイオリンの二重奏にピアノ伴奏、というイメージなんです。なので、オケをこぢんまりとまとめると、三重奏とのバランスが良くなるのです。それをカラヤンさんは例によって豪華に演奏してしまいましたので、バランスが崩れてます。
ビルスマは集中力がもの凄く、一音入魂という感じでした。ところどころ音程の怪しい箇所があるのですが(古楽器は音程が狂いやすい)、うまく修正しながら弾いていくのはさすが。ビルスマ夫人(ヴィラ・ベス)は古楽器バイオリンの名手だけあってめちゃくちゃ良い音色とフレージングだし、なんと言っても二人の息がぴったりで絶妙の二重奏なのです。まことにあっぱれな夫妻でした。
後半の「英雄」も、今まで聴いたことのない解釈でびっくり。ユルゲン・クスマウルという人が指揮だったのですが、拍子感の出し方や、各楽器のフレージングが非常に緻密。第一楽章の三拍子が実に優美なのです。やたらと重厚なベートーヴェンが多い中で、適度な軽やかさをもったアンサンブルは新鮮でした。演奏終了後、ホールを出ようとして後ろを向いたらビルスマ夫妻が座っていてびっくり!(笑)
その後はサイン会があったのですが、ビルスマ氏は上機嫌でサインしながらいろいろ話していました。協奏曲が素晴らしかった、と感想を言ったら「うん、でも僕はシンフォニー(英雄)が凄く良かったと思うんだ。君はどうだった?」と逆に聞かれてしまい、ビビリまくり(笑)。三楽章のホルンを真似て「ププーププッププー♪」とか唄っちゃうんです、あの人。
02/10/01
アンスネスのピアノリサイタル@トッパンホール。会社のすぐ近くです。
  シューベルト ピアノソナタ第17番
  グリーグ    抒情小曲集より
  ショパン    ピアノソナタ第3番
という構成でした。
久々に質の高いリサイタルを聴いたというか、大満足でした。まずは構成感を重視して、しっかりとした足取りのシューベルトだったのですが、繰り返されるフレーズのニュアンスを極限まで追求していて、まったく退屈しません。グリーグの抒情小曲集も見事に深い歌い方で、しんみりとした世界を演出。この辺から「ただごとではないぞ」という雰囲気が聴衆の間にも広がります。ショパンのソナタ3番は、彼が20歳そこそこでCDを出していたので、30歳になってどのように変化するのか楽しみにしていましたが・・・。人間、10年間でここまで変わるものでしょうか?第一楽章の決然とした第一主題とロマンティックな第二主題の対比、冗長になりやすい推移部を新たな展開部のように処理する解釈、しかしその後に控える本当の展開部ではさらに豊かなテンペラメントを披露。第一楽章が終わった段階で、とんでもないほど成長したことがよくわかります。第二楽章も非常に流麗、第三楽章は幻想性を全面に出して、フィナーレへ。最後まで取っておいた(と思われる)フォルテシシモの強大な低音と、華麗な高音部の高速フレーズの対比が見事。テンポ自体が速いのですが(おそらくポリーニやアルゲリッチ以上)、まったく無理を感じさせない自然なフレージングで進め、見事に締めくくってくれました。ブラボー。こんなに素晴らしいショパンのソナタ3番は聴いたことがないです。
アンコールはショパンの即興曲1番、ドビュッシーの「喜びの島」。喜びの島が特に素晴らしく、ドビュッシーらしい幻想性と、それが一気に変化する急速な楽想転換を完璧に把握して弾いている様子がわかります。外は台風が来ていて大荒れ。しかし、ホール内が明るくなってもカーテンコールが止みませんでした。
やはり予想通り、非常に指のよくまわるピアニストで、どんなに難しいフレーズでも、速いテンポでも楽々と弾いてしまいます。また、オクターブ跳躍連発なども見事で、要するにヴィルトゥオーゾの資格十分なのです。しかし、彼は超絶技巧よりもデリケートなニュアンスを重視しています。しっかりと譜読みをして自分の解釈を大切に伝える、地に足をつけたピアニストだといえます。
02/09/29
ボルティモア響の演奏会@みなとみらいホール。指揮はテミルカーノフ。
  シューマン ピアノ協奏曲 (ピアノ独奏:小山未稚恵)
  ブラームス 交響曲第4番
テミルカーノフは昨年のサンクトペテルブルク響に続いて2回目ですが、こちらの方が力が入っていたような。
小山さんの弾いたシューマンは、ちょっとダメでした。小山さんははっきりした表現が得意でシューマンのような微妙なニュアンスを要求されるタイプの曲は苦手なようです。もう少し選曲を考えてやれば良いのに・・・と思いました。
ブラームスの交響曲4番は見事な演奏で降参でした。いったいこのオーケストラはどれだけの種類の音色が出せるのだ?と思うほど多彩な表現だったのですが、全体としては非常にしなやか。テミルカーノフを語るときに「しなやか」という言葉は非常に重要だと思います。しかし、今回のテミルカーノフはしなやかなだけでなく、極限まで突き詰めた表現をオーケストラに求めており、結果として緊張感のある素晴らしい演奏になったと思います。超高速の第三楽章あたりから連れは身を乗り出して聴いていたのですが(笑)、聴く者を引き込む魔力みたいなものを感じさせましたねー。しかし、ブラームスというと重厚長大路線の演奏が多い中、とても流麗で美しい、ロマンティックでどこか悲しい雰囲気を持たせる解釈は嬉しかったです。ボルティモア響は特に弦が見事でした。今まで聴いたオケの中で文句なく最高の弦だと思います。全然アメリカっぽくなく、かといってドイツ風でもない、深みのある美しい響きが印象的でした。
02/09/28
紀尾井シンフォニエッタの演奏会@紀尾井ホール。モーツァルト・プログラムでした。紀尾井シンフォニエッタは上手いオケで、アンサンブルもよく揃っているのですが、そんなムキになって溜めてフォルテを弾かなくても良いのに。ベートーヴェンじゃないんだから。足取りの重いモーツァルトでした。
ピアノコンチェルトは「ジュノム」で、ピアノソロはレイフ・オヴェ・アンスネス。キーシンとともに21世紀を背負うピアニストじゃないかとひそかに思っていたのですが、実際生で聴くのは初めてでした。・・・いやー、すごかったですねー。音色の幅が無限大だわ。ピアノから自然に音がわき上がる感じでした。
02/09/22
ピシュナ1〜6番、インヴェンション12・13番、トルコ行進曲を練習中。あとK.330第一楽章の譜読み。最近、譜読みが速くなってます。多声部かつ臨時記号だらけの「別れの曲」の譜読みで苦労したのが役に立ったようです。2声インヴェンション程度では苦にならない感じ。自分は譜読みが苦手で、インヴェンションも譜読みが終わった段階ですでに弾けてたりする状態が続いていましたが、最近ようやく譜読み→曲の流れを掴む→弾きこんで練習→弾けるようになる、という流れができるようになってきました。
02/09/19
ピアノ教室の日。特にどうこうという事はなかったのですが、先日の発表会に気をよくしたのか、アンサンブルや連弾の発表会もやってみたいねー、という先生の提案がありました。連弾も普通の曲じゃなくてピアノ協奏曲(うひゃー)とかやったらどう?とか言われてしまいました。ああいう長い曲を弾ききるのも勉強になるし。今の自分の実力だとモーツァルトの協奏曲なら弾けるし、ちょっと頑張ろうかなーとか思いました。
02/09/15
トルコ行進曲練習中。及第点の一歩手前というか、もう少し弾き込んでやれば十分かと思える状態になりました。以外に苦労しなかったのは、別れの曲の猛練習で指の独立性が鍛えられたためだと思います。
というわけで次にやる曲をいろいろ物色したのですが、やはりもう少しモーツァルトをやりたいのでソナタK.330をやろうと思います。ホロヴィッツがモスクワ・ライヴで弾いていたハ長調の曲です。あとインヴェンションの12・13番を練習。マターリ路線主体では指が強くならないので、なるべく運動性のある曲をやろうという目論見です。この2曲が終わったらシンフォニアをやる予定。
02/09/12
ピアノ教室の日。先日の発表会は、かなり良く弾けていたということでお褒めの言葉をいただきました。
で、これからのメニューなどについて相談したのですが、弱音や柔らかいタッチは絶妙に上手いけれどもレジェーロな感じやカッチリ機械的にフレーズを処理するところになると、タッチやメカニックの弱さが露呈する・・・という問題があるので、指の独立を高めるタイプのエチュードをやった方が良いかも、という話になりました。
というわけで、ピシュナの「指の訓練のための練習課題」というエチュードをやってみることに。ツェルニー「毎日の練習曲」をさらにレベルアップしたような感じの曲集です。
02/09/11
トルコ行進曲練習中。というか、もうほとんど弾けてますが。サビの装飾音については、オンビート開始で統一することに決定。拍の前に出すと非常に弾きにくい部分があったので。
02/09/08
発表会が終わったので気分も新たに練習開始です。とりあえずモーツァルトのピアノソナタK.331第三楽章「トルコ行進曲」(笑)。もう半年以上このソナタ弾いてますけど、やっと終楽章です。子供の頃から弾いてる曲なので、さして問題はない・・・と思っていたのですが、サビの部分での左手伴奏に出てくる装飾音をどういうタイミングで入れるか、うまく決まらなくて難航中。オンビートで弾き出すのが古典派のお約束なのですが、装飾音を拍の前に出して弾く方が「ジャラン!」といったトルコ音楽の雰囲気が強調されて良いような気もするんですよね。ちょっと悩んでます。
そして、昼過ぎに松本へ行って、サイトウ・キネン・オーケストラ&1000人合唱によるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」を聴きました。連れが解説してくれたのですが、オケのメンバー豪華すぎ。緻密なアンサンブルの中に各楽器のソロが綺羅星のように散りばめられた演奏でした。カール・ライスターのクラリネット、宮本文昭のオーボエが絶品。チェロが歓喜の歌のメロディを提示する箇所で入る有名な木管の対旋律とか、本当に泣けました。はい。もう終楽章は涙腺緩みまくりで。こんなにウルウルしながら音楽聴いたのは久々です。合唱も、大人数なのに非常に切れが良く、躍動的でした。またデュナーミクがばっちり合っていて、歌声が津波のように押し寄せたかと思うとスッと引く、という感じに自由自在で。デュナーミクと言っても、1000人(実際には1200人)もの人の集合ですからね、凄いんです。美しく響いたかと思えば、ホール全体を震わす咆吼が炸裂しますから。
02/09/07
というわけでピアノの発表会です。
それにしても、自分以外の人の演奏を聴くのは勉強になりますね。上手い下手とは別に、センスの良い人・悪い人というのは結構はっきり分かれてしまっているのも怖いです。音楽の進め方、まとめ方がきちんとしている人もいれば、その場を弾くのが精一杯で全体の見通しが悪い人もいました。初心者の人でも、しっかりしたタッチで深くメロディを唄う演奏からは、やはり音楽性が感じられます。難曲系ではドビュッシーのエチュード「五本の指のために」とか、リストのパガニーニ練習曲の終曲(テーマとバリエーション)弾いた人もいました。
自分の演奏の出来は75点くらい。大してあがらなかったし、本番であれだけ弾ければ、まあ良いでしょう。連れには憎らしいくらい落ち着いているとか、他の人は終わらせ方がイマイチなのに、最後までしっかり粘っていかにも上手く終わらせたとか、いろいろ言われましたが(笑)。終わらせ方、つまり終止形ですが、クラシックで一番大事なのが終わりなんです。古典派もロマン派も、調性音楽はドミナント→トニックという流れで終止するのが基本なので、この流れをしっかり弾いて「はい、おわりますよ」とアピールするのは、演奏をまとまりよくするためには非常に重要だと思います。
02/09/01
ピアノ発表会まであと一週間を切りました。というわけで今日も「別れの曲」を練習。先週、母親や知人などに聴かせたのですが「ちゃんと弾けてるじゃない」(母親)「ちょっとすごくないですか?」(知人)という感じで、とりあえず他人に聴かせる及第点には到達したかと。6度進行については、もう少し速度を上げたいなどの不満は残るのですが。いまの実力ではこれで精一杯という気もするし、無理して速く弾いて自爆するのはみっともないので、確実に弾ける速度設定を心がけてます。
あと、今月末にあるボルティモア響の演奏会の予習としてシューマンのピアノ協奏曲とか聴いてます。めっちゃ良い曲ですね。シューマンは天才的なインスピレーションが作品の完成度を上回っていることが多く、なんとなくとっつきにくい作曲家なのですが、ピアノ協奏曲は例外で完成度が非常に高い作品だと思います。
02/08/20
相変わらず「別れの曲」を練習しておりますが、中間部の4度半音進行および6度進行の部分を含め暗譜状態で止まらず弾けるようになりました。ようやく「こいつ必死だな(w」と思われない程度まで上達した、という感じのですが。2〜3日前よりも明らかに向上していることから考えても、いまだ発展途上にあるようです。っつーわけで、今日も一生懸命練習したのでありました。ガクガクガタガタ・・・という調子でスムーズに流れない6度進行パートに余裕が持てるようになればしめたものなのですが。
02/08/16
夏休みってことでいろいろCDを聴いたりしてるんですが、今日聴いた中でこれはすげぇ、と思ったのは内田光子のシューマン:クライスレリアーナ&謝肉祭でした。謝肉祭というと、先日エフゲニー・キーシンのCDが発売になりまして、まー相変わらずバリバリな演奏なんですけど何かもの足りなかったのね。
キーシンの特徴は何と言っても深く確実な打鍵。すべての音を鳴らそうとするわけですが、微妙にタッチを使い分けてるのでメロディは自然に立ち上がってくるという、魔法のようなピアニズムが素晴らしいと思います。おかげでクリアなのにうるさくない、かっちりしてるのに流れがよい(彼はリズムの表現が抜群に上手いので)等々、相反する要素がバランス良く成立します。彼の魅力はここにあると思います。しかし、ただでさえメカニックが完璧な人がそういう弾き方をすると、全体としては非常にメリハリのはっきりした、コントラストの強い表現になりがち。それはシューマン的な観点からすると決して悪くないとは思いますが、どうかすると非常に即物的に感じる瞬間もあるわけです。そこでもっと微妙な感覚とか、精神的な深淵を見せる瞬間も欲しいなと、無いモノねだりが始まるんですね。
実はこれって、ポリーニを始めバリバリ系ピアニストに共通したことなんですが、重厚長大系の表現は素晴らしいのに陰影の付け方が今一つ、という傾向なんです。往年の大女優・月影千草が言うように影があってこそ光も引き立つ。両者は常に表裏一体なんです。ピアノ演奏技術的に言うと、もっとソフトペダルを使った方がいいんでないの?ってことになりますが。
ってなわけで内田光子ですが(ここで本題に戻る)、クライスレリアーナは非常に深いです。クレシェンドするときに、まず低音からボリュームを上げていくんですけど、これがデモーニッシュというか、非常に不気味で怖い。ロマンティシズムの裏に潜む狂気が見え隠れする一瞬です。実際キーシンの演奏からは狂気は感じられないんですね。これが彼の最大の欠点かと。シューマン=狂気というのは短絡的な考え方ですが、陽性な面の裏にある底知れぬ怖さ、これを感じさせてくれる演奏家は少ないと思います。謝肉祭にしても、これはカーニバルなのでまずウキウキした感じとかが欲しいんですけど、キーシンだと感情を抑えて演奏を制御してるようなところがあって、いまいち楽しめない。内田光子だと実に楽しそうに始まるし、例によって陰陽の対比が鮮やか。深いタッチ、浅いタッチの使い分けも実に巧妙です。しっかりと譜面を読み込んでいて、それぞれのフレーズで最適な音色・最適な音量を考えています。キーシンもめちゃくちゃ上手いんですけど、残念ながら内田さんのような深いこだわりを持った演奏設計は感じられませんでした。
内田光子というとモーツァルトの演奏が非常に有名で、最近はシューベルトのCDを連発してますが(彼女のシューベルトはほとんど禅問答で、深いんだけど、半分あっちの世界に逝ってる感じ。)、自分としてはドビュッシーやシェーンベルクなどの近代ものも非常に良いと思いますので、興味のある方はぜひ聴いてみてください。
02/08/15
ひたすら「別れの曲」を練習中。実家帰省中に6度進行の部分を集中的に練習したおかげか、とりあえず曲として形になってきました。弾き込んでいくと、ここの対旋律を出したいなとか、この部分はボリュームをいったん絞ってからクレシェンドすると効果的とか、要するに自分の弾きたい演奏解釈の明確な方針・ヴィジョンといったものが見えてくるわけですよ。で、それを盛り込んで練習していくと、単に楽譜をなぞるだけの演奏から、徐々に深みのある内容を持ったものに変貌していくというわけ。
別れの曲はひたすらメロディが有名な曲ですが、実際にはポリフォニーの練習曲なのです。従って、複声部を立体的に、面白く表現したいと思ってます。
02/08/12
実家に帰省して長野県内ニュースを見てびっくりしたのですが、小沢征爾さんは、今日からサイトウキネン・オーケストラのリハーサルを開始したそうです。一昨日までキャラバンコンサートであちこち飛び回っていたというのに、なんというバイタリティ。あの人の魅力って、そういうところにあるのではないかと思うのでした。
02/08/10
キャラバン・コンサート@東京オペラシティ。指揮:小澤征爾、独奏チェロ:ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ。
 ハイドン チェロ協奏曲第1番
 サン=サーンス チェロ協奏曲
 チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲
 アンコール:チャイコフスキー 劇音楽「雪娘」より「メロドラマ」

感想: ロストロポーヴィチ、神!!

全編ロストロポーヴィチのチェロが聴けるという凄まじいプログラム。もちろん自分たちの主目的もロストロポーヴィチのチェロにあったのですが。それにしても、これぞ巨匠、としか言いようのない凄い演奏でした。ハイドンの協奏曲が妙に軽かったので「あれ?」と思ったのですが、サン=サーンスではいきなり強烈な音色で切迫感のあるフレーズを奏で、重〜い低音で凄味を効かせ、ロマンティックな第二主題はとことん濃厚に歌ってくれました。ロココ変奏曲も絶好調という感じで、75歳とは思えない溌剌とした演奏ぶり。小澤さんの指揮も良かった。ロストロポーヴィチの独奏に合わせてオーケストラの表情を非常に細かくコントロールしてました。普通、協奏曲の伴奏であんなに細かなことはしないと思います。
キャラバン・コンサートはロストロポーヴィチが提唱したもので、要するに普段行かないような場所でコンサートをやろうという企画。それに乗ったのが小澤ですが、小澤の遠大な目標(日本のオケを世界水準に引き上げる)を達成するために、キャラバン・オーケストラのメンバーは音大生を中心とした若手音楽家によるものになっていて、ロストロポーヴィチと共演する中でアンサンブルなどを勉強してもらおう、という目論見があります。それで、今年は岩手で十数回も無料コンサートをやって、その経費を埋めるために1回だけ東京で有料コンサートをやったのでした。
日本のプロオケのダメっぷりについてはさんざん書いてきましたが、今日のコンサートを聴く限りでは、日本人でもやればできます。悲観することはありません。大丈夫です。協奏曲の伴奏も「必死」という感じで小澤とロストロポーヴィチについていったのですが、とても良かったです。アンコールとしてロストロポーヴィチの指揮で演奏した「雪娘」は、まるでロシアのオケのような響きと歌い方で、悲しい曲の表情を見事に表現。ロストロ直伝の歌い回し指導が入ったようです(なんとうらやましい!)。小澤とロストロという、指揮者の違いを演奏にしっかり反映できていたことも素晴らしい。小澤さんも「このままでは世界との差が開く一方。でも、まだ間に合うから、オペラ塾をやったり、キャラバンをやる」という意識のようです。
今日は特別のコンサートと言うことで、小澤さんとロストロポーヴィチの話を聴くこともできたのですが、キャラバンに対する思い入れや、音楽に対する情熱には頭が下がりました。オーケストラの演奏も十分それに応えていたと思うし、そういった熱意は聴衆にもビンビンに伝わってくるわけで、万雷の拍手となったわけです。小澤もロストロポーヴィチも泣いていたのですが、やっぱり思い入れがあるんでしょうねー。ロストロポーヴィチは小澤のことが大好きなようで、肩を組みながらステージに出てきて、手をつないでステージを後にしました(笑)。オケのメンバーにもハグ&キスしまくり。ロシア人って、スキンシップが好きなのねー。
02/08/09
ひたすら「別れの曲」を練習中。1カ月後に迫った発表会で弾くのですが、6度進行の部分が未だにつっかえまくりだったりして(大汗。あと、あくまでも予定ということで詳細は未定なのですが、せっかく一生懸命に練習してるので「別れの曲を弾いてみよう!」的なコーナーを作りたいと思ってます。MIDIなどを組み合わせつつ、ショパンの楽譜の解説とか、効果的な練習方法などを紹介できれば、と考えてますので。例えば、この曲はショパンエチュード(練習曲)の1曲なのですが、どんな技術習得を目的としているのかを明確に把握している人は少ないと思います。
それと、モーツァルトのソナタK.331(トルコ行進曲付きのやつ)も、演奏について詳細解説するつもり。そういうのを書くことが自分自身の勉強にもなりますし。ちなみにトルコ行進曲は、3年くらいピアノを習えばとりあえず誰でも弾けるようになると思います。当然ながら演奏の完成度を上げるためには、しっかりとした基礎技術が必要なのですが。もっとも、そういうのは地道に練習すれば確実に身に付くので、大した問題にはならないと思います。地道な練習を続けることができるかどうか、というのが実は大問題なのですが。
02/08/08
ピアノ教室の日。毎度の事ながら、レベルが高くて冷や汗です。モーツァルトのK.331第二楽章はとりあえずサマになってきたのですが、さらに豊かな表現を目指したいところ。先生は「もうだいたい弾けてるから、次回から第三楽章(トルコ行進曲)やっても良いよ」と言ってくれましたが。K.331を弾き初めてすでに半年経つのですが(汗)、途中で教室が変わったりしてゴタゴタしたので予想以上に時間がかかってしまった感じです。別れの曲は、人前で弾くにはもう一歩・・・。
02/07/21
高田馬場管弦楽団の演奏会@なかのZERO。
 ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
 マーラー さすらう若人の歌
 ワーグナー 「タンホイザー」序曲、「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
ブラームスもマーラーも良かったんですが、ワーグナーが素晴らしくて感動。バイオリンを弾いてたZBKさんは謙遜なさってましたが、いやー凄かった。ここはアマチュアなのですが、上手下手よりもまずアンサンブルの音色に厚みと暖かさがあって美しいんです。日本のオケでは、アマ・プロ含めてこういう音色を持っているところは非常に少なくて、とっても貴重です。
02/07/12
サンクトペテルブルクフィル室内弦楽合奏団のコンサート@ルネこだいら。
 モーツァルト ディベルティメント
 バッハ バイオリン協奏曲ホ長調 (ソロ:前橋汀子)
 ショスタコーヴィチ 弦楽器のための前奏曲とスケルツォ
 チャイコフスキー 弦楽セレナーデ(別名:Oh!人事)
ええと、サンクトペテルブルクフィルのメンバーによるコンサートです。昨年の秋に来日した時のメンバーもいらっしゃいました。
演奏内容は、これが本物のプロの演奏だよね、としみじみ納得させられるものでした。4曲やるのなら雰囲気の違う4種類のアンサンブルを聴かることができる、という恐るべき技術。そう、作曲家の要求と自分たちのコンセプトにあわせて自在に楽器を操り、望ましい演奏を行う。これこそが演奏技術なのでした。モーツァルトの軽やかな足取り、バッハでの落ち着いた響き、ショスタコーヴィチでの切れ味鋭いリズムと音色、チャイコフスキーでの分厚くロマンティックな表現と、よくまあこれだけ多彩な表情を作ることができるものだと思います。
特にショスタコーヴィチは素晴らしく、ルネこだいらに集まった聴衆(けっこう年齢層が高い)にも大ウケ。思いのほか、耳の肥えた聴衆だったようです。確かに抜群のアンサンブルと表現でしたが、私としてもショスタコ聴くならやっぱりロシア人の演奏じゃないとダメかも、という認識を強く持った演奏でした。なお、前橋さんは調子が悪く、今まで聴いた中では最悪だったかも。リズムが遅れる、音色は伸びない、と散々な感じでした。連れも「こりゃもうアカンわ」と絶句。楽章が進んだら多少は良くなったのですが。復活することを願いたいです。
02/07/03
引き続き「別れの曲」を練習中。6度進行の部分以外はほぼ弾ける状態に。頑張る日々。 
02/06/25
「別れの曲」を練習中。一通りの譜読みはできてるんですが、中間部の4度、6度進行の箇所がつらい。4度の方は左手=純粋な下降半音階(まだ行ける)、右手=下降しつつ上昇する半音階(弾きづらい)、ということで理解できました。6度が問題で、半音進行→小さな跳躍の繰り返しはかなりの難度です。まあでも、そこさえクリアすれば本当に弾ける感じなので、もう少し頑張ってみようと。っつーか、最近比較的簡単な曲をしっかり仕上げることを中心にしていたせいで、技術的にあまり向上してなかったので。前の先生にも言われたのですが、上達したかったらもっと難度の高い曲に挑戦すべきですね。弾けない曲→練習→上達→弾ける曲になる、という流れが重要です。
02/06/21
ショパンの子守歌を譜読みしてみたんですけど、初見でかなり弾けたりして意外にイケそうです。ただ重音(3度)のスケールとか、結構厳しいテクニックを必要とする部分がちょこっとだけあるのよね。そこさえクリアすれば、あとは単音フレーズなのでなんとか弾けそうです。別れの曲は中間部以外は問題なしっぽい。
02/06/20
今月から新しい先生のところにピアノレッスンに通っておりますが、ひじょーにレベルの高い内容でいつも冷や汗タラタラです。で、9月に発表会をやるそうで、今日はその曲目についてお話。

先生:どんな曲やりたい?
ワシ:んーと、ショパンとかショパンとかショパンとか(爆)。雨だれの前奏曲、もうだいたい弾けるしどうでしょう?
先生:雨だれかあ・・・もっと演奏効果の高い奴のほうが良くない?それに弾けるやつをやっても仕方ないでしょ。
ワシ:じゃあトルコ行進曲とか、ドビュッシーのアラベスクとか。(ちょっと弾く)
先生:ああいうのは初心者の人がたどたどしく一生懸命発表会で弾く曲なのよ
    それにもうアラベスクもトルコ行進曲も、やる人が決まってるのね(がーん)。
ワシ:えーと、それじゃシューベルトの即興曲とかはどうでしょ(また弾く)
先生:即興曲ならショパンでしょ?まあそれでもいいよ(なげやり)。
    でもねえ、どうせなら「私はこれだけ弾けます!」みたいな曲をやるべきよ。初心者じゃないんだし。

というわけで、ショパンの「別れの曲」か子守歌か即興曲1番あたりで行ってみようということになりました。
スケルツォ2番でもいいという話もあったのですが(ぎゃ)、今から取りかかるには大きすぎる曲なので。
02/06/16
昨日のショックもさめやらぬうちに、今日はセブンスターズ・ガラコンサート@東京オペラシティです。曲目とメンバーは以下の通り。

ドビュッシー:チェロソナタ  ミッシャ・マイスキー(チェロ)、チョン・ミョンフン(ピアノ)
ショスタコーヴィチ:ピアノトリオ  シュロモ・ミンツ(バイオリン)、イェフム・ブロンフマン(ピアノ)
モーツァルト:バイオリンソナタ  樫本大進(バイオリン)、ブロンフマン(ピアノ)
ブラームス:ピアノ五重奏曲   ミンツ、樫本、ユーリ・バシュメット(ビオラ)、マイスキー、ミョンフン

・・・目眩がしそうなメンバーです。
収穫は、マイスキーすげえ!ということがわかったことですね。CDとか聴く限りでは、甘い音色でナヨナヨ唄う感じばかりが目立ってあまり好きでなかったのですが、実際に聴いてみるとめちゃくちゃ上手いです。また、あの音色がものすごく良い。甘いのではなく暖かく懐が深い音色でした。あの音は他の誰にも出せない素晴らしい個性です。あなたの人気の秘密がよおおおおおぉぉっくわかりました。今まで評価してなくてごめんなさい>マイスキーさん
あと、恐ろしいのは聴き比べができてしまうところで、例えばミョンフンとブロンフマンは同じピアノを弾いてるんですけど、全然出てくる音が違うわけ。ブロンフマンの深〜い音色と比較するとミョンフンの音色はうわついている感じでした。確かに達者な演奏ではあるけれども、最初の1音を聴いただけで「うわ、すごい!」と思わせるマイスキー、ブロンフマンあたりと比較すると、楽器の演奏者としてのランクはだいぶ落ちてしまいますあれでもミョンフンはチャイコフスキー・コンクールのピアノ部門2位に入賞しているわけで、チャイコンがいかに怪しいコンクールかと言うことをまた思い知ったのでした(笑)。まあ彼は指揮者としての活動が主体ですから、良いんですけどね。
一方のブロンフマンはショスタコーヴィチでは打楽器的な奏法を主体に展開し、モーツァルトでは一転して美しいレガートの単音フレーズを奏でるといった具合で、懐の大きさを見せつけておりました。それにしても驚くほど太っていて(たぶん100kgオーバー)、今後の成人病が心配です。大進君の演奏は堅かったですね。まあ、あのメンバーの中で緊張するなという方が無理でしょうけど、モーツァルトを緊張して弾くのは一番良くないことですな。
最後のブラームスのクインテットは圧倒的でした。ミンツ、バシュメット、マイスキーの3人がうますぎる。気が付くとマイスキーのソロを待ちわびる自分がいるわけですよ。昨日まではあんなに嫌っていたのに(笑)。アンコールはブロンフマン&ミョンフンによる連弾でブラームスのハンガリアン・ラプソディ。というわけで、なんとも贅沢な演奏会でした。
02/06/15
昨日の今日なのですが、ラン・ランのインストアイヴェント@渋谷タワレコに行って来ました。
かなり早くに到着したのですがすでに人が集まっていたので、あわてて最前列に座るワシと連れ。まもなくしてラン・ランが出てきて2〜3曲弾くと思いきや、たっぷり30分におよぶリサイタルです(嬉)。ヨハン・シュトラウスのワルツ、シューベルト=リスト編の歌曲、スクリヤビンのエチュード、バラキレフの「イスラメイ」というめちゃくちゃな曲目。これを目の前2メートルのかぶりつき状態で聴きます。ぎょええええ、すごすぎる〜〜(@_@)。ヤマハC7からとんでもない音量が出ます。スクリヤビンのOp.8-12はCDにも入ってるのですが、やっぱり生演奏の方が全然いい!イスラメイは超絶技巧系なのですが、実に楽しそうにノリノリに弾く。弾き終わってから「イスラメイの最後の部分はゴジラみたいでしょ。エヘヘ」と屈託無く笑っておりました。
インタビューもありましたが、もう喋りまくり。とても熱い性格らしく、いくら弾いても弾き足りないし喋り足りないという感じでした。あと20歳とは思えないほど自分の演奏観をしっかりと持っていて、そのあたりも驚きましたが。ただ、演奏観そのものはまだ表面的なことに終始していて、演奏効果しか頭にないようです。だから生演奏が最高に良く、CDではいまいち彼の魅力は伝わらないかも知れません。このあたりは年齢を重ねて深みを増して欲しいですね。
02/06/14
ラン・ラン、デュトワ&N響の演奏会@NHKホール。曲はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。N響の定期公演です。
ラン・ランは昨年のサンクトペテルブルク響との演奏会で素晴らしい演奏をしているので大期待したのですが、結果としては期待以上。ただしN響の演奏は最悪。日本のオーケストラのダメさ加減についてはこの日記でさんざん文句を書いてきましたが、それをすべて集約したダメダメ度というか(苦笑)。非常に正確で縦の線が揃っていますねという意外は何のコメントもしようのない無味乾燥さでした。お前ら楽器で唄う訓練を受けていないのか!と怒鳴りたくなるような冷たく暗い響き。ここまで何の幸福感も生まない演奏があって良いのでしょうか。今まで聴いたオーケストラの中で文句なく最低の演奏です。下手でも、音を外しても、揃わなくても良いから音楽的な演奏をして欲しいと思います。こんなオーケストラに定期会員がいるという事実も信じられませんが。
ラン・ランの演奏は対照的にどんな小さなフレーズもとことん歌いまくるのが基本。テミルカーノフ&サンクトペテルブルク響とやったCDが出ていますが、それと同じような解釈でした。ゆっくりめのテンポでアゴーギク、デュナーミクを大きく取って、深く深く歌っていくという感じ。昨年聴いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は若い情熱を全面に出したものでしたが、今回は悲しさを出してきましたね。とても個性的だと思います。というか、この難曲で独自の解釈や個性を表現できること自体がとんでもない才能なのですが。それにしても第1楽章カデンツァや第3楽章はもの凄い迫力でした。普通はオケにかき消されてしまうフィナーレの和音進行も強大で、オケの前にピアノがそびえ立って驀進する感じでした。とにかくオケが重い&冷たいので、歌うときもピアノが主導、テンポアップするときの推進力もピアノが主導という具合。完全にN響&デュトワを喰ってしまった格好です。
当然ながら演奏終了後は大拍手で、何度も何度もカーテンコールとなりました。やはり聴衆は正直ですね。最後はデュトワが「今日はラン・ラン君の20歳の誕生日です」と挨拶して大きな花束を渡すというオマケも付きました。休憩後はバルトークの管弦楽のための協奏曲(通称オケコン)が演奏されたのですが、感想としては

N 響 、も う だ め ぽ 。

でした。拍手もせずに帰る人の多さがすべてを物語っておりますが、ああいう演奏にはきちんとブーイングで応えるのがマナーではないでしょうか(爆)。ラフマニノフと演奏の順番を逆にすべきでしたね。何となく思ったんですけど、デュトワもN響も、もうラン・ランとは共演しないような気がします。20歳そこそこの若造に取って喰われた屈辱は大きいと思われ。 しかし今日の日記は辛口だなー。
02/06/04
紀尾井ホールで瀬川祥子さんのヴァイオリン・リサイタル。前半、ベートーヴェンのソナタ「春」あたりは今一歩パッとしない感じだったのですが、後半のロシア物は非常に素晴らしかったです。技巧的な曲も良いのですが、チャイコフスキーの曲でのたっぷりとした歌いっぷりが素晴らしかった。モスクワで勉強しただけあってロシア流の弾き方なのですが、それが曲や彼女の個性によく合っていました。太い音色で、朗々と唄うのがお好きなようでした。ちなみに伴奏はあのオリヴィエ・メシアンの愛弟子だった藤井一興先生。絶妙なタッチとペダリングによる美しい音色を聴かせてくれました。芯のある音を出そうとすればするほど、フォルテで弾けば弾くほど響いてしまい、ピアノ弾きにとっては難しいとされる紀尾井ホールですが、意図的に離鍵を速くして響きすぎるのを防いでました。柔らかい音色なのに適度に響いてくるのは、実はホールの響きを利用しているからなんですねー。ピアノから音が自然にわき上がるような感覚を覚えました。いやーすごい。
02/06/02
キーロフ歌劇場フィル「ドン・ジョヴァンニ」@サントリーホール。指揮はワレリー・ゲルギエフ。
オケは若手メンバーでの演奏と言うことで、あまり期待していなかったのですがめちゃくちゃよかったです。たぶんテクニック的に上手い人はもっといると思うんだけど、アンサンブルの作り方が非常によい。ああいう充実した響きは日本のオケではほとんど聴けない種類のものです。オーケストラの魅力はアンサンブルだと思うので、日本人にも頑張って欲しいです。
演奏内容も非常によかったです。歌手陣も若くて少々堅いところがありましたが、後半はのびのびと唄ってました。しかし、ロシア系の音楽教育を受けている人たちなのに、とてもイタリア的な感じのする響きで、モーツァルトらしさとか、モーツァルトの良さといったものが生きていたように思います。これはひとえにゲルギエフのおかげという意見もありますが。
実は生演奏でオペラ聴いたのはこれが初めてだったんです。器楽中心で育ってきたし、あの発声法が苦手で避けてたところがあったんですね。今回は連れの強い希望でチケット取ったのは良かったのですが、予習が超大変でした。最初はCDを聴くのが苦痛で仕方がなかった(苦笑)。楽しみながら聴けるようになるまで相当な時間がかかりましたねー。ある程度楽しめるようになって、今日サントリーホールで聴いて確信したんですけど、モーツァルトのメロディを生かす楽器は人声ということです。ソナタや小曲を弾いてもわからなかったんですが、基本はやはり歌ということで、ピアノで弾くときもそのあたりを大切に表現したいと思いました。
02/05/28
マレイ・ペライアのピアノリサイタル@サントリーホール。
ベートーヴェン:創作主題による変奏曲、シューベルト:ソナタ20番、ショパン:いろいろ(笑)、というプログラム。ベートーヴェンはかなり良く、これはすごいかもと思っていたのですがシューベルトのソナタが激しく謎。第3楽章の何でもないところでミスタッチ連発したり、第4楽章とか思い切り呈示部すっ飛したり、かなりヒヤヒヤものでした。しかし第2楽章の寂寥感とかすごかった。後半のショパンは圧巻。マズルカなんか降参ですという感じ。アンコールでもショパン・エチュード連発。しかも木枯らしとか、Op.10-4とかの超難曲を次々と完璧に弾ききるものだから、もう大騒ぎ。
多くの人が思ったように、シューベルトのソナタではなく当初から予定されていたバッハのパルティータを聴きたかったですね。ペライアのバッハは素晴らしいので。
02/05/19
ウラディーミル・アシュケナージ&イタリア・パドヴァ管弦楽団の演奏会@東京文化会館。モーツァルトのピアノ協奏曲12番、ベートーベンのピアノ協奏曲1番の弾き振りという、ペライアと似たような構成。オケの響きが充実していて非常に良かったのですが、アシュケナージのパラパラ弾くピアノがどうも気に入りません。予想はしていたのですが。一度は聴いておかないといけない人だと思っていたので。
02/05/18
マレイ・ペライア&セントマーチン室内オーケストラの演奏会@東京文化会館。そーなの、私ペライア大好きなの(笑)。ってことで2回目。モーツァルトのピアノ協奏曲21番、バッハの協奏曲1番、モーツァルトのジュピター交響曲というプログラムで、サントリー以上の出来の良さに感激。バッハでのピアノ演奏が絶妙。めちゃくちゃ速くて音質の揃ったトリルとか、ほとんど消えそうなピアニッシシモのフレーズとか、絶好調な感じです。ジュピターもフィナーレのフーガとか圧倒的。すごすぎ。一緒に行った連れがボーゼンとしながら「ようやくフーガがわかった・・・」と呟いておりました。アンコールのG線上のアリアも、今まで聴いたことがないような深い演奏解釈でした。
02/05/15
マレイ・ペライア&セントマーチン室内オーケストラの演奏会@サントリーホール。モーツァルトのピアノ協奏曲20番、バッハの協奏曲3番、モーツァルトのジュピター交響曲というプログラムで、ペライアの指揮。協奏曲は当然ピアノ弾き振り。モーツァルト20番は最初に好きになったピアノ協奏曲なのですが、生演奏を聴くのは初めて。ペライアちょっと堅い感じ。バッハの協奏曲でだいぶ良くなって、最後のジュピターで大爆発という感じでした。お見事。
02/05/06
職場の引っ越しも終わり一息ついているお休みでございます。
5月は演奏会がいろいろあって、その予習でバッハとモーツァルトばっかり聴いてます(笑)。今月聴く予定はマレイ・ペライアとアシュケナージなんですが、どちらも生で聴くのは初めて。特にペライアは最近のCDがたいへん素晴らしいので期待しております。アシュケナージは最近TVで驚くような劣化ぶりを見せてくれてて、今回もモーツァルトとベートーヴェンの協奏曲を弾き振りするということで、果たして大丈夫かいな、と少々心配。復活してくれると嬉しいのですが。
ペライアに関しては、来日が近づくにつれて某2ちゃんねるのスレッドが徐々に祭り状態になっていく様子が面白いです。熱心なファンが多いのね。
02/04/22
いま通ってるピアノ教室のレッスンも明日で最後ということで、まだ新しい先生探しを続行中の私です(笑)。今日はe-Piano Academyというサイトに「先生募集」ってことで登録してみたのですが、さっそく数人の方からメールが届いてびっくり。反応が早すぎです。東京芸大大学院ピアノ科(ぎゃ)とか、かなりすごい経歴の人が多くて冷や汗タラ〜リです。女性は2人で、残りは全員男性でした。今や生徒が先生を選べる立場なんですよね。私はもちろん、女性の先生を優先していこうと思ってますです(爆)。っつーか、男子みんな若いし、月謝が高いんだもん。経験上、ピアノの先生は最低でも同年代で、先生としての経験を積んだ人が良いと思います。
02/04/02
今のピアノ教室をやめることを決定。職場の移転に伴い教室に通いにくくなることと、やはりレッスン料金が高いので。毎月17000円は辛いです。輸入CDだった10枚くらい買えてしまう値段だし。
っつーわけでスケール&アルペジオですが先週からテンポ=103のまま。毎週テンポアップするのはかなり厳しそうなので、隔週にします(笑)。
02/03/23
日課になっているハノンの39〜42番(スケール&アルペジオ)をさらに強化。リズム変化を付けたものを導入。これで通常演奏が異様に正確にできるようになりました。スケールですが、今週はテンポ=102でした。先々週から毎週1ずつ上げています。来週は103。まだ余裕があるけど、このペースでやってると秋頃に山場を迎えそうです(笑)。
02/03/21
2000年のショパンコンクールに優勝したリ・ユンディのデビューアルバムの輸入盤が出たので購入。アイドルのような写真集付きなのが笑えるけど、内容的にはイマイチ。演奏が下手というわけではなくて、歌い廻しやポロネーズのリズムが何か違う。あと、明るい音色は良いのですが陰影の付け方が致命的に下手です。Op.10-2のエチュードとかノクターンとか、全然ショパンらしくない。とりあえず19歳だし、2〜3回失恋とか、挫折を経験してもらわないとどうしようもないでしょう。それにしても違和感のあるショパンだなあ。コンクールの時の方が素直で良かったように思います。
02/03/10
小山実稚恵さんが1982年に録音したショパンのCDを聴いてみたのですが、今の彼女からは考えられないほど豪快な演奏で驚きました。ソナタ3番なんかめちゃくちゃ盛り上げるし。極め付きは「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。華がある演奏ってこうゆうのだと思いますが、とても格好良いです。アンダンテスピアナートの部分で歌い回しが単調という気もしますが、これだけ勢いのあるポロネーズはなかなか聴けないのでよしとしましょう。
02/03/09
いよいよ花粉症が本格化して辛いんですけど、ピアノ練習を続ける自分は偉いなと。正直、何もやる気がないときもあるわけですが、スケール&アルペジオだけでも弾くとかして、なんとか毎日指を動かすようにしてます。今日は比較的調子が良かったのでいろいろ練習。モーツァルトのソナタK.331は第一楽章&第三楽章が形になりました。第二楽章はまだですが、とりあえず第一楽章は他人に聴かせても恥ずかしくないレベル。今日はかなり良く弾けました。子供の頃の目標がこのソナタだったので、うれしいです。長い曲なので集中力を持続させるのが大変ですね。途中で気を抜くとミスったりして。
02/03/03
ウィーン交響楽団のコンサートでサントリーホールへ。指揮はフェドセーエフ。樫本大進くんのソロでブラームスのバイオリン・コンチェルト、チャイコフスキーの「悲愴」というプログラムだったのですが、いまいち。フェドセーエフは、しっかり・まったりとしたタメを作るのが好きなようで、リズムが重いのね。ブラームスなんかテンポ自体が遅くてのらりくらりとした調子で気が狂いそうでした。大進くんは見てくれは格好いいけど、神経質さと攻撃性のないクレーメルという感じで、おっとりしたバイオリニスト。もっとこうグッとくるものが欲しい。なまじ上手いので余計にそう思います。
続いての悲愴もよくわかんない演奏でした。第一楽章はフレーズをねちねち歌わせたりして細部に拘りは感じられましたが、全体として非常に散漫な印象。というか、収拾がつかないほど混乱していたと言った方がいいかも。肝心な場所で縦の線も合わないし(常に木管が先行するかんじ)これはヤバいんじゃないか、と思っていたのですが尻上がりに調子を上げて第3/4楽章などは見事な演奏でした。てゆうか全楽章でテンションを維持して欲しいです。アンコールはシュトラウスのウィンナワルツだったんですけど、これまたずるんずるんに引っ張ったリズムが死にそうに重かったです。大部分の観客は大喜びしていたのですが、「ズンチャッチャ」のチャッチャの部分で足取りの軽いワルツを期待していた私は憤死。しかし連れは「ま、こんなモンでしょ」と至ってクールな反応でありました。
02/02/24
いろいろコンテンツを更新しました。花粉症は辛いですが、かろうじてピアノ練習をする気力はあるのでいろいろやってます。あと内田光子のシューベルト・ピアノソナタと楽興の時、CD聴いたんですけどすごいっすー。 
02/02/18
来年度中に職場が移転になって、いまのピアノ教室に通うのが困難になりそうなので、新しいピアノの先生を探し始めました。なるべく家に近い方が良いので、PTNAホームページのピアノ教師紹介システムを利用して、常盤台でピアノ教室やってる先生に会ってきたのです。週1回のレッスンで月謝9000円と安い。でも、いろいろ話したところアンタは私の手に負えないレベルだから別の先生をあたった方がいいかもよ、と暗に拒絶されてしまいました。
目標=ショパンのバラード、当面の課題=ベートーヴェンの「月光ソナタ」が弾けるようになる、今やってること=モーツァルトのソナタK.311、なのですが。ベートーヴェンの月光をやるような人は音大対策をやるレベルの先生だそう(←そういう先生は月謝が高い)。自分としては全然ヘタクソな困った初心者レベルという認識だったんですけど。先生いわく「私の頃もそうだったけど、それは昭和の話(がーん)。今の子供はツェルニー30番まで行かない子がほとんど。すぐにやめちゃうし、ブンさんのレベルに行ってる人は1割もいません。」ですって。しょんぼり・・・。
02/02/15
練習メニューを強化中。ツェルニーやインヴェンションの他にハノンのスケール&アルペジオを日課にしました。かなり体育会系です。
02/02/10
ベルリンフィル・バロック・ゾリステンの演奏会@三鷹市芸術文化センター。満員御礼なり。
カラヤン&アバド時代のベルリンフィルのコンマスやトップ奏者たちなんです。テレビとか雑誌で見たことある人がいっぱいいるの。だから上手くて当たり前なんだけど、それにしてもこの人たちの演奏は絶品。まず、個々の演奏家の力量がとんでもないし、どの楽器も1つ1つのフレーズが見事に歌になっている。さらにたくさんの歌が協調し合ってアンサンブルになっている。その混ざり具合がまた絶妙。ヴィヴァルディの「四季」なんか、もう聴き飽きてるわけですが、始まった瞬間に「えっ!?」と驚き、あとはもう感嘆の溜息をつきっぱなしでございました。アンコールはまずコレルリの合奏協奏曲。次いでバッハの「2つのバイオリンのための協奏曲」から第三楽章。このフーガの動的で活力に溢れた解釈が素晴らしく、圧倒的な演奏だったと思います。当然、大拍手になってしまうわけで、バイオリン奏者が日本語で「今の演奏が一番気に入っていただけたようなので(笑)もう1曲バッハをやります」と挨拶をして「G線上のアリア」をやってお開きとなりました。
現代化された古楽器を使い、解釈や奏法は古楽器時代のものを再現する・・・というのがコンセプトですね。だから、個々の楽器の響きは耳慣れた現代の音色に近いのですがアンサンブル全体としてはとってもバロック的、という摩訶不思議な魅力を持つ世界でした。あと、バイオリンとビオラのトップ奏者が上手すぎです。特にバイオリン(アバド時代のコンマス氏)。「四季」はバイオリン協奏曲なので、当然バイオリンのソロが多いのですが、すごく良い音色なんですよ。今まで聴いたバイオリンの中で文句無く最高の音色で、うっとりしながら聴いていたんです。あとでパンフレットを読んでその理由がわかりました。なんとそのバイオリン、1724年製のストラディバリウスだそうです。
02/02/09
バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会@オペラシティ。祝日用カンタータのプログラム。前半、木管の調律がおかしくてイマイチでしたが、後半はバッチリ。息のあったアンサンブルが非常に良いかったです。合唱も良かった。というか、これだけの演奏ができる団体は日本国内ではかなり貴重。タケミツメモリアルの2階席正面で聴いたので音響も最高。パイプオルガンにしろ、合唱にしろ、ホールの残響の美しいこと!
たっぷり2時間コースだったのですが、あまりに演奏がよく拍手がおさまらないので最後の方で演奏したカンタータ190番のフーガ(派手なの)をもう一度やってくれました。
02/02/06
キーシンの新譜を購入。彼らしい躍動感のある演奏がよいなあと思った。が、曲目が進んでいくうちに、昨年聴いたリサイタルが思い出されてきて、終曲「キエフの大門」であのときの強烈なイメージがフラッシュバック。そーなんだよ!これ!これなんだよ!華奢な身体から信じられないほど重いフォルティシモが、大ホールいっぱいに響き渡ったあの感動が一気に甦ったのでありました。あのときは「とにくすごい!」というイメージが強すぎて、後になってどんな演奏だったのか思い出せないでいたのですが、このCDで完全に思い出しました。
というわけで、おそらく21世紀最初のピアニスト伝説になると思われるキーシンの「展覧会の絵」、みなさんもありがたく聴きましょう。
02/01/27
高田馬場管弦楽団の演奏会で新宿文化センターへ。音響&座席の良いNHKホールという感じ(やや薄目の残響ですが)。
モーツァルトのドン・ジョヴァンニ序曲、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」、ベートーヴェンの「英雄」というプログラム。いつもながら気持ちの良いアンサンブルですが、今回は特に息が合っていたような気がします。若い指揮者だったので、ときおり性急なデュナーミクやアゴーギクが見られるのですが、アンサンブルがビシッと揃いつつ速度・楽想が変化していくので小気味よいのです。
僕とつきあいのある人なら知ってるかもしれませんが、実は自分はベートーヴェンが苦手なんです。最近こそピアノ協奏曲やソナタを聴いたり弾いたりしてますけど、交響曲なんてとんでもない、という感じで。だから今日のコンサートも覚悟して行ったんですが、前述のようにとても良い演奏だったので全然退屈しませんでした。っつーか、面白すぎ。第1楽章が妙に優美だったり、第2楽章が妙にロマンティック(なぜかそう感じた)だったりと、あまり聴いたことがない世界で。第3楽章は見事に弦が揃ってて、あれは演奏してる人はたいそう気持ちいいと思いますが、聴いてても気持ちよかったです。第4楽章は絡み合うフレーズの立体的な表現が面白かった。
あと毎度のことですが、今回もほれぼれするような美しいハーモニーを随所で聴くことができ、良かったです。
02/01/26
ツェルニー「毎日の練習曲」9〜12番あたり、インヴェンション7〜8番、それと相変わらずモーツァルトのソナタK.311を練習中。インヴェンションはだいぶ慣れてきたので、最近では指の動作は問題になりません。どのような演奏にするかという点だけが焦点になってます。しかしこれが大変難しいのでございます。
その他では、買ったまま放置されていたアルゲリッチによるショパン・プレリュード集のCDを聴いて、久々にぶっ飛びました(笑)。併録のピアノ協奏曲2番はロストロポーヴィチの指揮で、あまりにも重く勇ましいオケがショパンらしくないので萎え。縦の線を強調しすぎだと思います。アルゲリッチの出来がとても良いだけに惜しい。
夜は前橋汀子さんのバイオリン・リサイタル@中野ZEROホール。前半がベートーヴェンのソナタ「春」とバッハの「シャコンヌ」、後半が「愛の喜び&悲しみ」「ツィゴイネルワイゼン」などの名曲系。ワシの興味は当然前半だったのですが、正直言ってあまり良くなかった。少し速く弾きすぎのような気もします。シャコンヌも重音の音程が怪しい箇所が多くて、対旋律があやふやになってしまったり。表現を優先するのは良いのですが、もう少しきちっとした音程で弾いてもらわないと聴衆はついていけないかも。後半の名曲アラカルトは弾き慣れているのか、そのようなことはなく安定した演奏でした。
02/01/22
思うところあって、ピアノの椅子を低くしました。これで手首の位置が低くなって、アルペジオなどが格段に弾きやすくなりました。椅子を高くすると肩〜肘も高くなるので、結果として手の甲の力が抜けて良かったのですが、どうしてもタッチが不安定になるんですよね。ツィマーマンのビデオとか見ると、やっぱり手首の位置が低くて鍵盤の上を這うように弾いてるので、真似てみたらうまくいきました。
02/01/19
チェリスト古川展生君のリサイタルで三鷹芸術文化センターへ。バッハの無伴奏2番、シューベルトのアルペジオーネ・ソナタ、リヒャルト・シュトラウスのチェロソナタ、ピアソラのグラン・タンゴという曲目。当初はショパンのチェロソナタが予定されていて、伴奏が練木繁夫先生ということで超期待していたのですが、シューベルトに差し替えられてしまいました(ちょっと悲しい)。
んで、いきなりピンスポットを浴びてバッハを弾き出したので「やっぱり女優はスポットライトが当たっていないと嫌なんだわ」とか思いました。全体的にかなり硬派な演奏で、音色も良く予想以上に素晴らしい演奏家ということがわかりました。バッハはもうちょっと深みが欲しかったかも。あとアンコールで弾いたラフマニノフのヴォカリーズは泣けた。シュトラウスやピアソラはバリバリ系の演奏だったのですが、うってかわってたっぷりとした歌いっぷり。この人はCDよりも生演奏の方がずーっと良いです。
でも空席がかなりあって残念。ルックスは悔しいくらい格好いいし(ヤマハのサイレント・チェロのページを見ましょう)、演奏も良いのにコンサートになると人が集まらない、というお寒い日本のクラシック界を象徴してるなーと思いました。ちなみに一緒に行った友人は「ちょっと痩せてて良かった」だそう。←激しく同感。あのまま彼がSG系まっしぐらになったらどーしよーとか思っていたので、ちょっと安心したワシでした(ふめい)。
それで肝心の練木先生の伴奏はどうだったかというと、見事なまでのマターリ系でした。というか、ホールの残響が多すぎて細かいところがよくわかんなかったです。このホールは室内楽には良いですが、ピアノには不向きと思われ。
 
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