彭園湘菜館

蒜苗臘肉


ここは台湾の湘菜(湖南料理)の草分け的な店で、台湾の湘菜の厨師の大半がこの店の開祖彭長貴の弟子だと言われています。 また彭長貴は譚家菜の正統の流れをくむ厨師で、台湾各地及び大連、湖南、福建など中国各地にも支店を開いています。 今回の取材は林森北路の老店(本店)です。

さて、店に入ると小姐がやってきて1500元のコースメニューを勧めてきましたが、私は湖南省長沙で食べた臘味合蒸の味が忘れられなかったのでまずこれを注文してみました。 残念ながらこの日は没有とのことで、同じ燻製肉ということで代わりに蒜苗臘肉を勧めてきました。 そこで私は臘味合蒸はただの肉の燻製ではなく魚と肉の燻製を同じ皿に盛って蒸すもので特に肉の脂身に魚の燻製の味がうつっているところが気に言っている旨を伝えました。 それからは立て板に水を流したように點菜(料理の注文)がうまくいきましたね。 出てきた料理も外れが一つもありませんでした。 これだけ點菜がうまくいくことは滅多にありませんのでとてもラッキーだったと思っています。 もちろんここの小姐が調理場とうまくコミュニケートしてくれたことが一番大きな理由だと思います。 何回か私の席にやって来て料理の味に問題はないか確認しにやって来ましたし、店を出るときにももう一度料理の味について意見をもとめられましたから・・・。

今回のメニューは富貴雙方 90元×2、蒜苗臘肉 240元、杏菜(湯) ?元、竹節元[中/皿] 80元、蘿葡絲酥餅 25元×2、湖南銀絲巻 80元です。

富貴雙方は富貴火腿(中国ハムの蜂蜜つけ)と[火考]素方(精進の火腿炙り焼を)を薄いパン生地にはさんだものです。 八年前に台北の栄華堂で食べたときは食パンに挟んであったので後に食べた香港の洞庭樓のものには遠く及びませんでした。 しかし、食の世界は日進月歩といいましょうかパン生地は店の自家製になり中に挟むものもパリパリに焼いた[火考]素方が加えられ以前とは比較にならない程の美味にかわっています。

蒜苗臘肉は燻製肉と蒜苗(ニンニクの芽)を炒めたものでその味は絶品です。 以前台南の天成小吃店でも自家製の臘肉を蒜苗と炒めたものを食べて感動したことがありますが、今回のものはこれを遙に上回っています。 多少脂っこいのでこう言ったものを食べる時には白飯と一緒に食べることをお勧めします。 ご飯のおかずにこれを食べるということではなくこういった料理を更に美味しく食べるためにご飯を添えるということでですね・・・。

杏菜はひゆ菜のことですが台湾ではスープに仕立てるばあいが多いようです。 ひゆは大陸では見菜、上海あたりでは米見と呼び特に赤っぽいものを珍重します。 なお「見」の字は草冠です。 これはここの小姐のお勧めだったのですが、彼女が味を聞きに来たときにこの野菜はシラスと取り合わせることが多いんじゃないのと聞いたら、そのやり方が一番美味しいですとこたえていました。

竹節元[中/皿]は本来は竹の筒に鳩のミンチを詰めて蒸す料理ですが、今回は陶器の壺のものが出てきました。 不思議な味ですね、ミンチの肉の中にくわいのようなものが入っていてその食感の変化が嬉しいです。

蘿葡絲酥餅は私の好物で今回の取材(98年8月)でも四箇所で食べていますがここのものが一番気に入っています。 ただ火腿が使われていなかったことはちょっと残念です。

湖南銀絲巻は写真で見るように普通私達に馴染みの深い北京式のものとはかなり異なっています。 北京式は中に絲状の生地を包んでオーブンで焼いた見かけはコッペパンのようなものが普通です。 他には揚げたり蒸したりする場合もあります。 最初はこれを臘肉と取り合わせようと思ったのですが相性は白飯に遠く及びませんでした。


富貴雙方


蘿葡絲酥餅


竹節元[中/皿]


湖南銀絲巻


基礎データ
住所台北市林森北路380號2,3樓
電話5519157
営業時間午前11時半から午後2時,午後5時半から午後9時半
お勧め料理蒜苗臘肉、富貴雙方、竹節元[中/皿]、蘿葡絲酥餅など
取材日時1998年8月10日




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