一家春湖北菜館

風情溢れる一家春の店内


湖北料理、台北でもただ一軒だけというこの店の体験は今回の台北取材(1998年5月)の中でも最高のものでした。 店に入るとそこはまるで血で血を洗った中国現代史の舞台そのままの風情のある光景が目に飛び込んできます。 そう、今この店のテーブルに蒋介石や毛沢東といった中国現代史を彩った英雄たちが座っていても何の違和感も感じないほどにこの店は大陸の空気に満ち満ちてているのです。

この日のメニューは蘿葡絲炒牛肉 200元、炒豆絲 150元、粉蒸排骨 130元、杏菜 ?元、煎[米茲][米巴] 70元です。

まずはじめに運ばれてきたのは蘿葡絲炒牛肉ですが最初に鼻を直撃したのが味精の香りだったのはご愛嬌として、匂い立つような大陸の大地の香りに圧倒されました。 大根と牛肉の取り合わせわるくないですね、これは紛れもなくこの店を代表する一品です。

炒豆絲、これは緑豆と米の粉で作った麺の炒めです。 米から作る麺と言うと広州沙河大街沙河飯店の河粉が有名ですが、豆絲の感触はこれとはかなり異なり麺と言うよりスナック菓子のような感じでした。

粉蒸排骨は大陸のちょっと洒落た店に行くとプレゼンテーションを考えて蒸籠に入れて出してくるのですが、肉の周りには米の粉をちょっとまぶした程度のものが普通です。 この店のものは写真を見ても判るようにご飯の塊の中に排骨が埋まっているといったようなものです。 しかし泥臭いですな。 でもこの泥臭さがうれしいんだぜ。

杏菜はスープにしてもらいましたが中にシラスが沢山入った台湾風の一品でした。 味は悪くないのですが台湾の料理は感触がとても優しくて、大陸の苛烈な気候風土で育った湖北の料理とは不協和音を奏でてしまっていまいちでした。 大陸といえば山西省の太原を上海から大黄河の上空を越えて訪れたことがあります。 ここは黄色い大地の舞台になった黄土高原が広がる漢民族の故郷です。 太原の空港に降り立つとそこは異様な色に輝く抜けるような青空と直撃する紫外線により総てのもが克明に浮き上がって見える苛烈な大地が広がっていました。 痩せこけた黄土高原では麺の材料となる小麦を育てるのもやっとのことです。 ここでは日本ではあたりまえの小麦から作った麺も年に一度食べられるかどうかの贅沢品なのです。 この思いが山西省に華麗な麺食文化を花開かせたことを思うと私達はただ絶句するしかないのです。

煎[米茲][米巴]は糯米で作ったおにぎりとお餅の間の子のようなデザートです。 しかし、豆絲といい粉蒸排骨といい湖北の人はお米が好きですね。 野菜までもお米をまぶして粉蒸にするそうですから・・・。


蘿葡絲炒牛肉


炒豆絲


粉蒸排骨


煎[米茲][米巴]


基礎データ
住所台北市安和路一段71巷8號
電話7323032
営業時間正午から午後1時半,午後6時から午後8時半
お勧め料理蘿葡絲炒牛肉、糊湯豆絲、炒豆絲、粉蒸排骨、煎[米茲][米巴]など
取材日時1998年5月1日




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