隆記菜飯


路地裏にひっそりとたたずむ隆記菜飯


最初この店の前を通りかかったのは丁度開店前の11時ぐらいだったと記憶しています。 うらぶれた場末の店の中を覗くと干からびかけた惣菜のようなものが並んでいます。 少なくともこのときはそんな風に見えました(笑)。 しばらく様子を見ているとどこからともなく多数のお年寄たちが現れてブラックホールのような店の中へと吸いこまれて行くではありませんか。 あまりぞっとしないなーと言うことでこのときは別の店で食事をとることにあいなりました。

数日の後のある夜にこの付近にある70歳以上の厨師だけで作る寧波菜の店を探したのですがどうしても探し当てることができず、時間がなくなっては大変ということで急遽隆記に飛び込んだわけです。 すると不思議ですね。 前回あれほどくすんで見えた店内が光り輝いて見えるのです。 殺風景な白塗りの壁の店ですがここに彩りをそえているのが店 の中に大勢いらっしゃる寧波系の上海オールドボーイたちです。 内装のかもし出す雰囲気もあいまってまるで戦前の上海にタイムスリップしたような錯覚に襲われます。 おそらく、ここは台北の寧波菜の原点とも言うべき店の一つだと思われます。

今回のメニューは苔菜蝦仁 290元、火腿爆蛋 198元、荳瓣雪菜 168元、菜飯 30元です。

苔菜蝦仁に添えられている海苔は髪の毛を束ねたような形状のバリバリとした歯ごたえのやつで本場寧波で食したものを彷彿とさせます。

火腿爆蛋は金華火腿の角切りがごろごろと入った卵焼きで金華好きの私には応えられませんでした。

荳瓣雪菜いいですね。 この店のものは固めにゆでた蚕豆が使われていましたが、店によってはもっと柔らかめ、更に半たたき状からマッシュしたものまでとさまざまです。 この硬めの蚕豆とフレッシュで芥子菜の味のする雪菜の漬物の取り合わせが秀逸です。 一見素朴なこのような料理でも蚕豆をゆでて出汁に漬けておいてと出来あがるまでにはまるまる二日はかかってしまうのです。 その料理のうちに封じ込められた時間も味を決める重要な要素なのでしょうね。 日本では料理の値段は人件費ですからこう言った本当の味は最初っから幻だと思ったほうが無難なようです。 いや、台北や香港でも観光客相手の有名店は同様な問題を抱えているといってもそうはずしてはいないと思います。


苔菜蝦仁

火腿爆蛋と荳瓣雪菜


調理場


延平南路中山堂付近の看板



基礎データ
住所台北市延平南路101巷1號
電話2331-5078,2381-8823
営業時間11:00〜14:00,17:00〜21:00
お勧め料理荳瓣雪菜、菜飯、火腿爆蛋、苔菜蝦仁など
取材日時1999年5月1日




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