巴里 メグレ 殺人

最新更新日 2013年 12月15日 New !
メグレ物邦訳カバー&表紙集に雑誌「EQ」など七点を追加!新掲載!

Maigret
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 フランスのミステリ作家ジョルジュ・シムノンのメグレ物は中・短編合わせて103作品あります。日本初登場である1935年の「モンパルナスの夜―男の頭―」の発行以来60年余りを経た1998年、そのすべてが日本語になりました。2003年5月の時点で確認できた邦訳作品は雑誌掲載や再録も含め236点です。このホームページにはその翻訳作品を可能な限り原本に当たって掲載しました。
 シムノンは日本では人気が出ないと言われながらも、メグレ物のすべてが翻訳出版されたことは、書肆、翻訳家の努力もさることながら熱烈なるメグレファンが日本にいた賜物でしょう。ただ、初訳以来70年近くの長い時間をおいているので、当然絶版や品切などが多く、現在翻訳されたメグレ物のすべてが新刊書で読めるわけではありませんが、一ファンとして嬉しい限りです。このホーム・ページ上の書誌がメグレ物の完全読破を試みる読書家の恰好の手引きになってくれれば、これにまさる喜びはありません。
 メグレ物の魅力はいろいろとあると思いますが、まずはパリがその主要な舞台となっていることではないでしょうか。メグレ物を読んでいると、地方出身者のメグレがパリで生活し、今そこがパリである歓びを感じるシーンが随所に出てきます。そしてパリに行ったことがない人間にも、そのパリにいられる歓びが知らず知らず伝わってくるから不思議なものです。パリ体験の有無にかかわらずメグレ物を読めば、時にその行間からパリの匂いや息づかいが溢れ出て、これがパリだという感触に浸れます。これもメグレを愛する者の一つの大いなる仕合わせであるに違いないかと思います。

 お断りがふたつあります。ひとつはメグレ物の翻訳叢書としては画期的な、河出書房新社のメグレ警視シリーズ全50巻は当初10巻の予定で刊行が始まりましたが、この企画が歓迎されたらしく20巻、36巻と次第に増え、最終的には全50巻となりました。1980年シリーズ完結後、新装版が1982年から順次刊行され 1984年に全50巻完結しました。
 上記の新装版は旧版からビニールカバーがなくなり、表紙と同じイラストが刷られたコーテングされたカバー付の装幀に変更されましたが、内容は本文解説共に旧版と同様なので再版と理解して掲載しませんでした。
 また、ONDORI MYSTERIES には同一内容で奥付発行日も同一のカバー付ハードカバー本がありますが、これも同一異装本として省略しました。

 もうひとつはメグレ物として掲載しなかった作品があることです。
 仏原題名『SEPT PETITES CROIX DANS UN CARNET』という作品で、偕成社文庫の「メグレ警視の事件簿2」に『メグレとパリの通り魔』という邦題で収載されています。初めこの作品は、早川書房の「E.Q.M.M」1958年2月号に『生と死の問題』という訳題で掲載されたもので、メグレ警視は登場しません。訳者は森郁夫です。原題名は英訳で、『A MATIER OF LIFE AND DEATH』となっています。
 しかし、1981年同じ早川書房の「H.M.M」11月号に同作品が長島良三訳で、邦訳名『手帳の小さな十字印』として別訳載された時、森訳ではサイヤール警部として登場した人物がメグレ警視となりました。その邦題名を変えた訳作品が偕成社文庫の『メグレとパリの通り魔』です。訳者の長島良三も、同氏が訳した講談社文庫の『メグレ警視のクリスマス 』のあとがきで、この『七つの小さな十字架』(邦訳名は違っているが、『SEPT PETITES CROIX DANS UN CARNET』のこと)にはメグレは出てこないと書いていますので、訳者が恣意的に登場人物名を翻訳時に変えたものと考えられます。以上の理由で非メグレ物として掲載を見合わせました。

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