◆ 歌の目覚め・井上陽水 ◆

今日の昼、井上陽水を特集したTV番組を放映していた。
TV朝日 1999/05/16 14:00-15:25
21世紀への伝言「井上陽水の世界」
時代へのさめた視線と愛のエロスとセンチメンタル…
今、明かされる名曲伝説
奥田民生や星勝や野田秀樹が、そして井上陽水自身がインタビューに応じて いろいろ語るという内容のものだった。 これに刺激されて、いつか書こうと思っていた井上陽水のことを ちょっと書いてみようと思う。


僕が歌に目覚めたのは、井上陽水の曲を聴いた時でした。

田んぼの広がる田舎町に生まれ、無邪気にすくすくと育った僕が 小学5年生くらいになった頃(1975?)だったと思う。 ある日、年上のいとこの部屋に遊びに行って、そのステレオセットから 流れてきた曲が、「人生が二度あれば」。衝撃でした。 頭をガーンとやられて、胸が詰まった。
歌というものに、これほど強く気持ちを揺さぶられたことがなかった。 切実な詞を曲に乗せて、感情を込めてひとりで歌って、こんなに 力があるものだとは。
目が覚めた。

さっそくそのカセットテープをいとこにねだり(たぶん陽水が流行って しばらくたったころだったのだろう、すぐにもらえた)、家に帰ってから 親が持ってたちっちゃいテレコを引っぱり出して、それで何回も何回も聴いた。 覚えるまで聴いた。
TVで流れる歌謡曲という音楽は聞いていたにしても、(フォークソングという) 陽水のスタイルはそれとは全く違っていた。リアルに、僕に対して投げかけて くる歌だった。

そのテープは「断絶」というアルバムを録音したものだったが、その中には 他にも「限りない欲望」とか「傘がない」とか「断絶」とか…、心を動かす歌が そろっていた。
最初に覚えたものはいつまでも記憶に残るもの。今聴いても、初めて耳にした時の 情景や呼び起こされる心情は変わらない。
もちろん、その後の他のアルバムや曲にも、すばらしいものが挙げきれないほど 沢山ある。

その後、中学くらいになってフォークソングを歌ったりするようにもなった。 陽水の曲は沢山コピーした。

いろいろと思い返してみると、「人生が二度あれば」と「断絶」は、 僕の人生において音楽観を決定的に変えたこの1曲、1アルバム、 ということになるのだろう。


1999/05/16 T.Minewaki

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