笑うカイチュウ / 藤田 紘一郎

 書 名: 笑うカイチュウ 〜寄生虫博士奮闘記〜
 著 者: 藤田 紘一郎
 出版社: 講談社 1994/9 ISBN4-06-207069-3 C0095
 価 格: 1500 円


「寄生虫館物語 / 亀谷 了」 という本がありましたが、あれの兄弟本、
という内容です。この人も寄生虫が好きでたまらないんだなぁ。

重なる内容も多いですが、こちらのほうはより臨床的な事例が多く
載っています。図や写真がないので少し堅い印象ですが、文章はうまいです。

ペットについての記述も興味深いです。
3・4章では、ペットを飼う事の様々な利点を一方で強調しつつ、ペットが
媒介する寄生虫がいかに多く、時には被害をもたらすかを列挙しています。
公園の砂場での犬猫の糞による寄生虫汚染とその実態、トキソプラズマと
妊婦との関係など、話題になった割には誤解されている事実も多いと解説
しています。

寄生虫、と聞くと汚くずるく忌まわしい印象を抱いてしまいますが、
寄生虫といえども、長い生物進化の歴史の中で生きのびてきたものですから、
基本的には安定に平和に存在し続けている生物であり、宿主(人間)に害を
及ぼすことのほうが例外であると教えられます。
日本人はすっかり清潔な人種になってしまいましたが、サナダムシを腹に
飼ってると痩せ薬の効果があるし、寄生虫に感染していると、花粉症にも
アトピーにもならない。という有効利用法さえ提案しています。

 第1章 カイチュウ復活、知らぬ医師
 第2章 寄生虫が語る僕達への教訓
 第3章 ペットかわいや寄生虫は怖い
 第4章 家庭より、やはり野におけ野生動物
 第5章 食のタブー忘れたグルメの罠


1995/11/20 T.Minewaki

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