◆ DNA から見た生物進化 / 別冊日経サイエンス ◆

Book Image 書 名:別冊 日経サイエンス 122
    DNA から見た生物進化 Patterns In Evolution
著 者:ロジャー・ルイン Roger Lewin
監 訳:斎藤 成也
発 行:日経サイエンス社
定 価:2700 円(税込)
1998年4月15日 1版1刷
ISBN4-532-51122-4 C9445 \2700E

第1章 自然への新たな扉
第2章 分子と形態
第3章 生命の樹
第4章 遺伝的変異の謎
第5章 分子進化時計
第6章 分子生態学
第7章 分子人類学
第8章 古代 DNA の研究


「恐竜は遺伝子技術で蘇るか?」(ジュラシック・パークのように?)
「ヒトはいつ類人猿から分かれたのか?」(人間の起源はいつ?)

最近いろいろと話題の「分子進化生物学」について、歴史的に、技術的に、 理論的に、順を追ってとても丁寧にわかりやすく解説されている。 分子生物学に関心のある一般読者にはとても参考になる1冊。

遺伝子は進化の産物であり、その分子の並びを解析すれば、 進化の歴史を知ることができる。こういう考え方に立つ分子生物学が どのように始まり、誰によるどんな技術があり、どう発展してきたのか。 生物の進化観をどのように変えてきたのか。 さまざまな理論や成果が紹介されている。

技術的には「DNA 交雑法」「DNA 指紋法」「PCR 法」など。
理論的には「中立論」「分子進化時計」「系統樹の推論」など。
(形態)分類学と(分子)系統学における対立は大きく、それは今でも根深い。 分子情報は多くの推定系統樹を書き換えたが、結局のところ分子情報も 完全・万能ではなく、確率的な予測である。過去は完全には再現できないようだ。

説明図や動物写真、研究者の写真が多く、それを見てゆくだけでも 興味深く参考になる。 また、原著での誤りを日本語訳者がきめ細かく修正・追加コメント をつけている点もありがたい。

2000/07/30 T.Minewaki
2000/07/31 modified T.Minewaki

生命のよもやま話
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