Extinct Mammals

* 上のイメージは、某新聞に載っていた広告です。
 写っている化石は、左上から順番に、メガテリウム、インドリコテリウム、
 オオツノジカ、下段に行って、グリプトドン、スミロドン。


≪ 絶滅した大哺乳類たち ≫

 上野・国立科学博物館で開催中の特別展「絶滅した大哺乳類たち」を
観てきました。(1995/05/20,土曜日)

 哺乳類型爬虫類から始まって、現代の哺乳類に至る、骨格化石のオンパレード。
 いろいろな系統ごとに、化石が丁寧に展示されています。
 やっぱり、大きいものは目のあたりにするとびっくりする。

 特に目を引いた展示
  ・インドリコテリウム
     体長7mの全身骨格。サイの仲間(奇蹄目)らしいが、
     ラクダみたいな感じだ。
  ・オオツノジカ
     体も4mくらいと大きいが、比率として巨大な角が驚き。
     両方の角で80kgもあるという。さぞ強い首をもっていたことだろう。
     この角の発達は、おそらく性選択によってもたらされたもの。
  ・マンモス、トロゴンテリーゾウ
     でかい。体高が5mはある。見上げる大きさ。マンモスは100万年前くらい、
     トロゴンテリーゾウは4万年前くらいの骨格化石だが、
     細部までよく似ている。100万年くらいじゃ、進化的には骨格は
     そんなに変わらない、と言うことだろうか。
  ・ティラコスミルス
     有袋類のサーベルタイガーと呼ばれ、弧を描いて長く伸びた
     上顎の牙がとても長い。サーベルタイガーとそっくりだが
     系統は全く異なる。(収斂進化の例)
  ・メガテリウム
     史上最大のナマケモノ。5mはある全身骨格。
     長く鋭い爪をもち、みためは恐ろしげだが葉食性。
  ・グリプトドン
     カメやアルマジロに似た、背を骨板でおおった完全防御型生物。
     体長4mもある。
     起源も時代も異なるが、よろい竜アンキロサウルスにもよく似ている。

 歯の形だけを見ていても、いろんなバリエーションがあり、系統に沿って
 特殊化していったのだなぁ、と感じます。(本当は逆で、歯の形を手がかりに
 系統を推定しているのだが。)

 いろいろと知見が得られて楽しい展示でした。
 こういうのを観ていて思うのは、
 「いかに多くの種が絶滅した上に、今の生物相があるのか」
 ということ。それは「悲しい」という印象ではなく、
 「変化を続ける環境のなかで、同じ遺伝形質で生きて行くことがいかに難しいか」
 ということを思い知らされる。
 絶滅したのは恐竜だけではない。知らない過去にも、生物はずっと試行錯誤していたのだ。
 変わり続けることでしか、種は続いて行くことができない。

 この展示のパンフレットが、また良くできている。展示に忠実。
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 特別展を観終わった後、時間があったので、常設展の
 「生物の進化(1)(2)(3)(4)」の部屋も観て回りました。
 うんうん。ここもよくできている。生物の誕生から、恐竜時代を経て、
 現代まで、いろいろな化石がある。
 進化論の説明も丁寧にしているし(4の部屋)。

1995/05/22 T.Minewaki
1999/10/15 last modified T.Minewaki
生命のよもやま話
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