(c) TAMURA SHIGERU
たむらしげる氏のホームページ * を観ていたら、
絵本「ダーナ」の創作ノートというものがあって、それを読んでみたら、
絵本がとても欲しくなった。
神田に出かけた時に大きな本屋に寄って探して、2回目にやっと見つけた。
子供向けの絵本がぎっしり並んだ棚からこの薄い絵本を見つけるのは
大変だった。
これはほるぷ出版の「イメージの森」という、子供に限らず
大人にも想像力を与えてくれる作品シリーズのひとつです。
ある星で目覚めたルポ氏の淡々とした1日をつづった物語。
しかし、その背景に埋め込まれた世界観はさらに広く、深い悲しみに
満ちています。
絵はたむらしげる氏の、いつもの簡素でかわいげのあるタッチと、
すばらしく美しい色彩感覚で構成されています。
全編を包む深い青の色調、彩度の薄い町の風景、
そこに欠落感、喪失感、絶望感、孤独感が漂っている。
ダーナという星にいったい何が起こったのか? そこに想像を
巡らせずにいられません。いつか彼らは「光」の正体を
知ることができるだろうか? 少しの希望を残し、
物語は終わります。胸がきゅーっとなる読後感です。