◆ 蟲師 / 漆原 友紀 ◆


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Musisi [1] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[1]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 533 円(税別)
2000/11/22 第1刷発行、2003/02/26 第11刷発行
ISBN4-06-314255-8 C9979 \533E (0)


Musisi [2] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[2]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 533 円(税別)
2002/02/22 第1刷発行、2002/12/20 第5刷発行
ISBN4-06-314284-1 C9979 \533E (0)


果てなき生命、定めなき姿態。
ヒトと虫との世をつなぐ蟲師・ギンコの旅路、第二集。
"蟲"──動物でも植物でもない、生命の原生体。
それらが織りなす妖しき現象に触れた時、ヒトは初めてその存在を知る。
この世に溢れる、今だ知らぬモノ達の脈動を──。(帯より)


月刊アフタヌーンから登場した、素晴らしいストーリーテラー漆原友紀の 「蟲師」シリーズ第2作(2003年3月現在、第3巻まで出ています)。 四季賞を取った作品から、月刊アフタヌーン、アフタヌーンシーズン増刊に 載った作品を読んで来ていますが、絵も話もぐんぐんうまくなってきているのが 実感されます。リアルタイムで作品を読めることが楽しみな漫画家です。

自然界に太古から存在する謎の生命体「蟲」の数々と、それに関わる人間を 話のベースとしています。このテーマは大好きな 「はなしっぱなし / 五十嵐 大介」「寄生獣 / 岩明 均」「風の谷のナウシカ / 宮崎 駿」に 似ていなくもないですが、ストーリーの組み立ての深さが見事です。 蟲が存在する理由やその生死についての設定の確かさ、人間達が蟲と 関わらざるを得ない必然、そして生まれてしまう悲劇。ラストに残る切なさ。
本巻中では「やまねむる」「筆の海」「綿胞子」がいいです、涙が出ます。


Musisi [3] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[3]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 533 円(税別)
2002/12/20 第1刷発行
ISBN4-06-314312-0 C9979 \533E (0)



1巻・2巻に続き第3巻、漆原さん絶好調! どの話も深く心を揺さぶります。 誰も、どの蟲も悪くはないのに、ドラマはどうしようもなく起こる。 かなわぬ願い。
なかでも「眇の魚」は、何度読んでも目頭が熱くなる。この話だけで映画1本 作れそうなくらい完成度の高いストーリーです。 電車の中で読んでて泣きそうになった。


Musisi [4] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[4]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 562 円(税別)
2003/10/23 第1刷発行
ISBN4-06-314332-5 C9979 \562E (0)

* 平成15(2003)年度[第7回]文化庁メディア芸術祭 漫画部門 優秀賞 (Link) *


3巻から10ヶ月、楽しみにしていた第4巻が出ました。 「虚繭取り」だけは初めて読んだ。他は月刊アフタヌーンに掲載されたもの。 正直に言って、3巻よりは少しキレが落ちたかなぁと感じる。 ラストのオチが、そう来ちゃうかーというのがいくつか。
それでも、話のうまさは随所に感じる。 「春と嘯く」は構成が見事で最後までハラハラさせる。 「草を踏む音」はこれまでにない意外なところからきゅっと胸をつかまれた。
「蟲」という存在は話のカギになっているけど、それを取り巻き動いていく 人の心 を主題に組み立てているというところがいいです。


Musisi [5] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[5]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2004/10/22 第1刷発行
ISBN4-06-314361-9 C9979 \590E (0)



4巻からきっちり1年、第5巻が出ました!
月刊アフタヌーンで隔月連載されていたものをまとめたものなので 一度は読んでいるが、やっぱりあちこち感動する。 人の叶わぬ思いを成し遂げるために蟲は利用されたり、逆に人を巻き込んだりする。 どの話も、せつないなぁ。
「沖つ宮」「篝野行」は出色。


Musisi [6] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[6]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2005/06/23 第1刷発行
ISBN4-06-314381-3 C9979 \590E (0)



今巻は発売サイクルが短く、前巻から8ヶ月で新刊が出ました。嬉しい。
変わらず、心の奥をきゅっと絞めるような、ストーリーの組み立て。 ツボを心得ている。
なかでも、「天辺の糸」「囀る貝」は泣いた。 心が追い詰められて葛藤して、
そして決心して変わる一瞬を見事に描いている。 うまいなぁ。


Musisi [7] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[7]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2006/02/23 第1刷発行
ISBN4-06-314404-6 C9979 \590E (0)



前巻から8ヶ月。このサイクルが定着かな。 描かれる世界、ギンコのキャラクタが安定し、作品として よりしっかりとした読み応えが出てきました。 相変わらず泣かされます。
「花惑い」の耽美的な魅力とラストシーンの映画的印象深さ。
「雷の袂」に残るやり切れなさ。(僕も雷を見るのは好きです。)
「棘のみち」では淡幽さん再登場(第2巻「筆の海」参照)。 禁種の蟲を抱え、それを殲滅せんとする蟲師(ヒト)と蟲との攻防は 今後大きく展開し、話の核となっていきそうな予感がする。 でも、蟲世界と蟲師との大戦争! とはならないだろう、なって欲しくはない。 この話全体に流れる「ゆるやかな共棲」「ふたつは別々のものではない」 という思想こそ、この漫画が他とは違う魅力を持つ点だと思う。

2005年10月から2006年3月まで、フジテレビ系で深夜に「蟲師」の アニメーション番組が放映された。原作に忠実で、さらに物語世界の描写を深め 素晴らしい作品となっていた。これらは DVD として発売されている。 その後のストーリーは BS でのみの放映となるらしい。ファンの方は必見です。


Musisi [8] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[8]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2007/02/23 第1刷発行
ISBN978-4-06-314442-0 C9979 \590E (0)



前巻からまる1年。ちょっと長く待たされました。 今巻はちょっと薄味かなーという感想。

「冬の底」は、ちょっと視点を変えたエピソード。 老亀のヌシ殿のたたずまいが何とも良い。
本作品の中では「日照る雨」が一番胸にぐっときた。 自分ではどうにもならない運命を抱えてしまった絶望。 当たり前にできてたことがふいに思い通りにいかなくなる焦りの切なさ。 周囲の人の許し。 運命を抱えたまま、蟲となんとかやって行こうという ラストの上向きな決意に、眼が潤みます。

アニメ版「蟲師」 (Link) の TV 放映・DVD 発売に続き、実写版「蟲師」映画 (Link) もまもなく(3/24)公開で、ますます盛り上がる蟲師ワールドです。 (2007/03/18)


Musisi [9] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[9]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2008/02/22 第1刷発行
ISBN978-4-06-314488-8 C9979 \590E (0)



前巻からちょうど1年。安定した5編の作品を収録。しみじみと感動します。

「風巻立つ」は2種の蟲と関わってしまった若者に起こる物語。人間ドラマの陰で、 蟲たちの生態についてしっかり組み立てられているところに感心する。
便利なモノも使い方・つきあい方を誤るとしっぺ返しを食らう。
そのモノの性質を理解した上で適度の利用にとどめるのが良い、という教訓は 現代の電子機器利用やエネルギー消費などにも通じるものではないかと思う。

「水碧む」は切ない。子供を持つことの喜びと悲しみ。
「草の茵」は若きギンコが抱えてしまった運命を、彼がどう受け入れて行ったかという エピソードのひとつ。(2008/06/16)


Musisi [10] / Yuki Urushibara
作品名 : 蟲師(むしし)[10]
著 者 : 漆原 友紀(うるしばら ゆき)
発行所 : 講談社
定 価 : 590 円(税別)
2008/11/21 第1刷発行
ISBN978-4-06-314537-3 C9979 ?590E (0)



第10巻。これにて終巻です。
2000 年頃に月刊アフタヌーンで連載が始まった時からずっと読んでいて、 話がどんどん面白くなり、
またTVアニメになったり映画になったり 世間での評価が盛り上がっていくのをリアルタイムで
体感できたことが嬉しい作品でした。

最終巻でも(蟲との大戦争!みたいな)仰々しい出来事はなく、 淡々としみじみとした話ばかり。
4編どれも見事に構成されていて、話のうまさにうならされます。

「香る闇」は既視感に対する新しい解釈でもある。
この繰り返しはどこまで続くんだ? という意表をつくストーリー展開の中に ギンコが微妙に影響し、
流れが変わって行く。なんとも切ない読後感。

「常の樹」は涙腺にぐっと来ました。
心を動かされるのは、蟲そのもののありようではなく、それによって起きてしまった 不幸な出来事を
人がどうとらえるのかということ。
それを許し優しくなれるかどうか、人は変われるかどうか、というところに 心の共鳴点があるように思います。
そこを描けるところが漆原さんのうまさ。

蟲師全巻を通して振り返ってみると、僕はなんといっても第3巻の「眇の魚」が ベストと思う。

終わってしまうのは残念ですが、この素晴らしい作者の次の作品に期待しましょう。


2003/03/29 Takakuni Minewaki
2008/12/16 last modified Takakuni Minewaki

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