この夏、生まれて初めてセミの羽化を観察した。 昼間、近所のりんご畑の脇の壁に、大量のセミの抜け殻が つかまっているのを見つけて、これはもしかしたら 夜に羽化の現場が見られるかも、と思い深夜に行ってみた。 そしたら予想通り、何匹ものアブラゼミの幼虫が地面から這い上がり、 羽化の真っ最中であった。 そのうちの一匹がちょうど羽化を開始したところだったので、 その一部始終をそばでじっと観察していた。 約1時間半、生命の精妙さ神秘さを見せつけられた。 |
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背中が割れて 白い成虫が姿を現す 2:40 くらい? |
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頭が出た、さらに ぐぃーんと体が出る 2:50 くらい? |
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手足が抜けていく 3:05 |
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えびぞりっ 手足が抜け、お尻が殻の割れ目に はさまってるだけで体勢を維持 このまましばらく手足が固まる のを待っているようだ 3:14 |
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上体を起こし 殻につかまる 3:35 |
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お尻が抜けた 殻にぶら下がる 3:39 |
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ぐんぐん羽根が伸びる この後黒くなって固まり 羽化が完了 3:57 |
誰かがデザインしたわけではなく、アブラゼミの遺伝子には、 どういう順序で羽化のステップを実行していくのか、 実に精密に見事に組み込まれている。 幼虫から成虫の手足が抜けてくることの不思議、 殻からほとんど体が出た状態で危うく保たれる、 えびぞった体勢の美しさ。 たったの1時間ほどで全く別の生き物のように形を変えることの驚き。 セミ一匹にも、人知をはるかに越えた仕組みが内蔵されている。 |