ワークショップin 東京の報告
清水 満
東京の会ワーク
最後はみんなで「希望」を表現
 17日の東京の会に行ってきました。伊藤さんも報告されているように、盛況で雰囲気のよい会合でした。幹事をされた坂本卓二さん、木下務さん、伊藤美好さん、それに提題者の後藤詩子さん、山西優二さんに心からのお礼を申し上げます。また暖かいメッセージを事前に下さった関口さん、ありがとうございました。
 
 土曜日の夜遅くまで仕事で抜けられなかった私は日曜日の朝に出発したせいもあって、会場には2時ごろたどり着きました。すでに伊藤さんのお話の最後で、多くのみなさんが集まって熱気にあふれていました。かんたんに幹事の坂本卓二さん、木下務さんにあいさつし、続けてあった後藤詩子さんのお話を聞きました。
 
 詩子さんは瀬棚フォルケホイスコーレでの8年の生活をスライド入りで説明し、最初は楽しそうな生活や先駆者としての充実した活動ぶりが報告されました。スライドが終る後半は、瀬棚での問題点として率直に内部でのいろんな意見の対立や展開をめぐっての議論などが紹介され、私も2年前に尋ねたときにその一部を拝見しただけに、よけいにリアリティーを感じながら、耳を傾けました。理想論だけではなく先駆者としてその問題点も見据えようというこの率直さと真摯さが詩子さんや瀬棚フォルケホイスコーレの持ち味ですね。コーヒーブレイクのときにお話したラーンネット・スクールの炭谷さんも「実際の運営上、たいへんためになる話だった」といわれていました。
 
 次に山西優二さんが、ご自分のこれまでの開発教育とのかかわりや地元逗子市での地域やPTAでの取り組みを簡単にお話なさいました。大学教員やご自分の活動の傍ら、地域でも一市民、PTA役員として「父親学級」などといった風通しのいい空間や人間関係をつくっておられるその活動ぶりには敬服します。時間がないので15分程度で、とご自分でいわれていた通り簡潔に語り、最後は地域や学校での「生きた言葉」での「対話」の重要性を確認して終りました。
 
 その後コーヒーとケーキを前にしての思い思いの歓談。私は前から知っている人、はじめて出会う方々などとのご挨拶に多忙で、なかなか会話を楽しむ余裕がありません。でも、みなさん素敵な方ばかりで、社交的でない私でもすぐに打ち解けられそうな人が多かったですね。

 コーヒーブレイクのあとは伊藤さんも報告されているようにグループにわかれて今日の提題を受けて各人が語り合います。少人数で生きた対話がなされ、こうした会合にありがちな一方通行にならなくてよかったと思います。
 
 最後は私が挨拶をするようにと坂本卓二さんからいわれていたのですが、雰囲気がいいのでそのまま引き延ばし、会場の都合もあるので、10分前にかんたんに表現ゲームをして終ることにしました。話よりもその方がみながいい雰囲気で帰れると思ったので。座布団をいろいろなものに見立てて人から人へと渡していったり、「希望」をテーマにみなで表現したりで、けっこう盛り上がりましたね。小さな子どもさんも楽しんでくれました。
 
 その後は懇親会場に移り、歓談。東京の会は初対面だからか、それともみなさん品がよいからか、みなさん飲んで騒ぐという感じではありません。関西の会ではどちらかというと食べるのを楽しみ、もう少し活発だったような気がしますし、九州では粗野で荒れまくるけどすごく混乱して楽しいという感じですが、東京はおだやかで春の日差しのような暖かい雰囲気で、土地柄というのがあるのかな〜と思ったりもしましたね。三つとも出た私としてはホント違いが面白かったです。幹事冥利に尽きますね。
 
 昼間の会では時間的に自己紹介をするのが難しかったので、ここでみなさん自己紹介を兼ねていろいろと思いを語ります。各人各様で個性があり、興味深くて、伊藤さんの報告通り食べるのも忘れるほどでした。ホントにグルントヴィ協会というのは、単一イシュー型の組織ではないゆるやか(いい加減?)な団体なので、いろんな関心の人が集まり、ネットワークとしては最高の人材がそろってますね〜。
 
 最後に「東京の会を年に1〜2回は開きたい」ということで、坂本、木下両氏のバックアップのもと次回の会合のお世話を若い人たちにお願いすることになり、お開きになりました。関西の会と同様に東京でも継続的にこうした集まりが開かれることになり、集まる人たちの親睦や交流の中から、積極的な動きにつながればいいですね。ご多忙な中、懇親会に来られた皆倉さんが、日の丸、君が代のあとの自民党主導の教育基本法改悪の動きについて報告されましたが、たとえばこうした動きに対応できるようになれば協会も少しは存在意義があるかもしれません。
 
 その後も時間のある人は喫茶店に行き、歓談を楽しみました。喫茶店ではお酒が飲めないということで、新評論の敏腕編集者の武市さんと最後は居酒屋までつき合わされました(この辺は九州的ノリですね〜)。前後が忙しく疲れはしましたが、楽しく充実した秋の一日で、気分はとてもよい日でした。
 
 今回都合で参加できなかったみなさん、どうぞ次回をお楽しみに。東京の会のあの暖かい雰囲気はすてがたい味わいがありますよ。

 幹事の木下務さんの感想

 私はこのグルントヴィ協会がどんな団体なのか実態に触れたかった。共鳴する思想だけでなく、ここの会員の方々に会って何かをたしかめたかったといってもよい。そうしないと離れてしまいそうで、だからそういう自分のために世話人の一人として動いた。

 はじめて関東近辺に生き生きとした方々がいることがわかった。返信のハガキからそれを感じていた。集会の場でも興奮気味だった。

 伊藤さんの話”子どもの発する言葉から、それを受けとめる教師、そこに教育があった”と。後藤さんの”フォルケをこれからどのように都市につくっていくかが課題だ”──みな共感する。また北海道のフォルケの形成、発展の過程の中でのスタッフの考え方の対立も、自ら創ろうとするなかでの痛みとして積極的に評価したい。

 私は自分の今まで所属してきた郷土教育全国協議会の活動を踏まえながら、この協会が多元主義的活動の幅広さを持ちながら、何が求心力になっているのか、そのなかから私もエネルギーをもらいたいと思っている。

 遠いところからみなさんが集まってこられたことにお礼申し上げます。