ダニとの対話その2 ー ウガンダの債務問題について語る
ダニ
ウガンダの状況を報告するダニ
川口「AFLCIOがシアトルで大量動員して、グローバリゼーションの事でデモンストレーションをして、あのとき初めてジュビリーと合流したんだと思うんですが、その時のアメリカの労働者の新しい動きについて感想があればお願いします。」

ダニ「昨日、オベや他の人達とグローバリゼーションについて話しあいました。その時話に出たのが、アメリカの新聞記事に書かれていたことで "反WTOで手を繋いでいるグループの主張には矛盾がある。あるグループの主張は他のグループの主張と真っ向から対立している。AFLCIOはグローバリゼーションが進むとアメリカの企業が仕事を海外に移転させるのではないか、と思って反対している。一方、メキシコやチリ、ウガンダといったところの労働組合は自分たちの国にもっと投資して欲しい、と願っている。なのに、どうして彼らが反WTOキャンペーンを一緒にはれたのか"。

  オベが昨日言っていたのは、AFLCIOが取っている立場はあまり進歩的とは言えない。この問題は、あなたが日本の組合は国際化してないというのにも関係がある問題と思う。それに対して私の答えは、私自身としてはAFLCIOの主張に賛成ではない。しかし彼らの立場ことは理解できる。なぜ彼らは闘っているのか?自分たちの職を守るためだと。

  この場合、このような幅広い運動、幅広い戦線においては、統一を保っておくことが必要です。しかし、そのまとまりの中では、反対の立場にある様々なグループの間の対話が必要です。アメリカの組合は、メキシコや第三世界の国の組合とこの問題について議論しなければならない。違いを乗り越えてどうこの問題を解決するのか。私たちには「民衆による解決」が必要なのです。そうすれば、民衆同士がいがみ合うように、企業が私たちを利用することはできなくなる。」

川口「民衆同士の話し合いが今できつつあるのではないか、その意味でシアトルは歴史的な出来事ではないか。日本の労働運動はそう言う問題をテーマにできるほど成熟してないと思う。日本の労働者もグローバリゼーションの影響をすごく受けている。なのにそのことを日本の労働者が知らない。1990年に日本の失業率は2.1%だった。今は、4.9%か5%を超えている。これはグローバリゼーションの影響なのに、日本の労働者は会社を守ればいいと思っている。これから、もっとグローバリゼーションの事を勉強することと、債務の問題など、世界で起きている問題をきちんと知ることが必要と思う。」

ダニ「AWEの会長とわたしと日本グルントヴィ協会幹事の3人がここにいるが、この問題は労働組合だけにまかせていい問題ではない。私たちも責任を引き受けるべきだと思っています。

 AWEはたくさん労働者を啓発してきました。とても難しい問題だが、私たちは日本でのプログラムを開発してきました。世界教育の立場から、債務帳消しネットワークで活動すると同時に、AWEに参加してはどうかと勧めたい。というのは、AWEには平和的だがすべての人に訴えかける力がある(聞き取り不能)という利点があるからです。

 私たちは企業のグローバリゼーションではなく、人々のグローバリゼーションを提案しています。すなわち闘いのネットワークを通した人々の繋がりです。それが私たちが信じているものです。より一層共通点のある運動をつなぎ合わせ、力をつけるために、学習会を作る必要があります。

 もしあなたが、日本の労働者にもウガンダの貧しい人々にも影響を与えているグローバリゼーションの勉強サークルに10人の労働者を連れてくるなら、これは私たちにもできる"教育"と言っていいのではないでしょうか。これは、政党の仕事、共産党の仕事、社会党の仕事だろう、と言われるかもしれない。いいえ、もはやこれは政治の問題ではありません。私たちの一人一人が、他の人達を教育する(educate-英語のeducateの本来の意味は、その人が内面に持っているものを外に花開かせるという感じだそうで、日本語の"教育"とはだいぶイメージが違うそうです)事ができるのです。」

大倉「ジュビリー2000UKは2000年末で事務所を閉めると言っていますが、それについてどう思いますか?」

ダニ「分かりません。イギリスでジュビリーUKと共に活動しているアフリカ委員会に聞いてみなければ。そのうちの一つはガーナで、その労働者組合のとても強力な支部がロンドンにあります。そのスタッフのクルウ・・だれだったかな?その人と、いつもメールのやりとりをしています。だから、私は彼らが2000年以後どうするつもりか、聞きたいです。しかし、わたしには、アフリカのグループが活動を続けることは分かっています。2000という言葉を使ったのは、2000年で活動をやめますという意味ではありません。」

寺嶋「UDNはジュビリー2000国際連合のメンバーであり、かつ、ジュビリーサウスのメンバーなのですか?」

ダニ「そうです。私の理解では、アフリカの戦略では、私たちは債務帳消しを超えて、賠償請求の方向に進んでいきます。アフリカ人とアフリカ系アメリカ人は奴隷にされたのです。奴隷船で運ばれて。」

大倉「これはUDNの方針ですか?」

ダニ「今からその方向で討論をしていくことになります。なぜなら、他の国がこういう方針になっていっているから。日本も戦争中、韓国人を強制労働させたりして、補償を要求されているでしょう。強制労働キャンプで働かされたユダヤ人はドイツに要求しています。このユダヤ人達には補償金が支払われました。合衆国では5つの州の議会が、アフリカの人達を奴隷とした問題を合衆国が取り上げるべきだという決議をあげました。なぜなら、このことがアフリカの発展の遅れを招いたからです。アフリカは約4000万人の人を失いました。そのうち半分は輸送中に亡くなったのです。

 2ヶ月前、ある合衆国上院議員が、合衆国政府はアフリカ人とアフリカ系アメリカ人に補償すべきだという決議案を提出しました。この人は白人だったが、同時にクリントン大統領にもコピーを送り、合衆国がいまこの問題を解決し、黒人に謝罪して彼らが苦しんできた分を賠償しないと、私たち白人はこれからもずっと道徳的に苦しむことになるといいました。

これはこの世紀の再統合(再融和)のための過程の一部です。だから、このことが次のプログラムとして上がってくる。」

寺嶋「G8サミットの結果を聞いての反応はどうでしたか?」

ダニ「私たちがすでに得ていたところより後退してしまいました。金持ちの国は債務帳消しに対して熱心じゃない。」

寺嶋「ウガンダの国民はどう思っていますか」

ダニ「それを見極めるのは難しいが、もちろん沖縄サミットの結果を支持していないのはわかるでしょう?もちろん怒っているが、UDNは債務帳消しを望んでいるのだから、それを押し進め続けるしかありません。

  あなた達は日本政府のいうべきですよ、日本に住んでいるのだから(言いましたよ~、の声)。日本は最大の債権国です。日本が「NO」という立場をとり続ける限り、私たちは続けなければなりません。

 この文書(どの文書かいま不明)には、モリとミヤザワが"日本は債務救済をリードしている・・・"と言ってると書いてあるから、これを使って圧力をかけたらいい。

ところで、あなた達は次はどういう計画を立てていますか?」

大倉「正直言ってちょっと途方に暮れています。今までサミットに向けてあまりに忙しすぎたから、それが終わってどうしようかと・・。」

ダニ「まあ、少しゆっくりして、振り返ってみたらいい。」

寺嶋「組織の建て直しが必要です。」

清水「提案ですけど、日本の市民運動の悪い点の一つとして、全部東京経由で情報が流れてくることがあります。福岡が東京とかイギリスとか抜きに直接関係持てばいい。だからグルントヴィ協会もこういう団体(AWE)と関係持ってるけど、東京の有名な団体やマスコミ通さないからだれも知らない(笑)。みんなが直接関係をもって、債務国の情報を、新聞の外信部とかリベラルな雑誌にみんなが発信する方に活用する方が良いと思う。これが本当の自立した市民運動。そうしないとさっきこの人が言った、people to peopleにならない。ウガンダに関しては福岡が日本に情報発信をするんだという気持ちでやればいいんだから。デンマークの民衆運動の基本的な考え方は脱中心化、分散化(decenterized)。中心となるところを崩していってみんなが主人公になる。そういう形の組織作りをしないと。」

寺嶋「ダニさんがニリンギエさんの知り合いだったとは驚きました。彼の講演は大変好評で、私たちはそれを印刷して資料として配っています。」

ダニ「ぜひ、ウガンダと直接の関係をうち立てて下さい。」

菅原「私はジュビリーに関わって初めてアフリカの人に会ったし、まして、ウガンダの人に2回も会えるなんて、びっくりしてます。ウガンダのことは全然知りませんでした」

ダニ「2001年8月、ウガンダでフォルケホイスコーレがあります。」

寺嶋「ちょっと説明すると、日本では学校教育に付随する形で生涯教育があるけど、本当はそうじゃなくて生涯教育が先にあるものであるというのがフォルケホイスコーレの考え方で、フォルケホイスコーレでは試験はなくて、自分でカリキュラムをたてて、半期半期の授業とかはあるけれど自分の意思で入ったり出たりして、出たからといって証明書がもらえるのじゃないけれど、自分のための教育っていうか。

 ダニさんはウガンダのそういった意識を持った教育活動に関わられていて、来年の8月の国際サマーコースみたいのをケニアの同じ視点を持っているグループとやろうとしていて、それにはブラジルからとカナダとアメリカ、スエーデンから参加者が来ることになっています。いろんな国の文化が一緒にあると言うことで、自分の国の文化を紹介するパーティーをやったりとか、音楽を教えあったりとか、そういうふれあいが大切だからそこに日本からも来て欲しいと言われてました。」

ダニ「奨学金を設けているからぜひ来て欲しい。そしてウガンダの問題と彼らの文化をしってほしい。彼らはどのようにかんがえ、どのように働き、どのように遊びのか。ウガンダの貧しい人々はどう見えるだろうか?おそらく彼らは貧しいけれど、とても強いのが分かでしょう。だから、農村の人に会わなくてはならない。特に女性に。貧しい女性に。その方が、なにか大きい問題に取り組む以上に大事な事です。だから、来年来て下さい。宿泊ただ。食料ただ。地面から自分で掘って下さい(笑)。 ウガンダは欧米の影響が強すぎる。日本はアフリカに影響を与えてほしい。人々が直接連絡を取り合って欲しい。」

清水「トヨタやニッサンといった自動車ばっかりいってるから、そうじゃなくて、ジュビリー福岡が言って、日本の事を伝えなきゃ」

ダニ「中国はタンザニアに大変大きな影響を与えました。毛沢東の時代です。彼らはタンザニア-ザンビア間の鉄道建設を支援しました。中国人は農村で零細農民と一緒に働きました。中国人はウガンダにも来て、ウガンダ人と共に稲作プロジェクトを行いました。1960年代のことです。彼らは国営農園に来て、稲作を広めるために働きました。しかし彼らは周辺の農民とも連絡を取って、国の農園で稲作をすると共に、周囲の土地にも稲を植えました。20年後には稲作の技術は国中に広がっていました。とてもいい影響を与えてくれた。そして、人々は中国が稲作をもたらしてくれた事を覚えている。タンザニアでは今でも人々は中国人の事を話しているよ。「一緒に働いてくれた」と、大変よく言っている。もう中国人達はいないけど、大きな影響を与えた。」

ダニ「ウガンダの債務問題の取り組むグループに、はデンマークの組織と大変密接に活動しているものがある。MSウガンダ(これが支援されてる方かしてる方か、聞き取り不能)デンマークの人が支援している。デンマーク政府も支援しているが、一応民衆組織となっている。」

大倉「ジュビリーはデンマークにないのですか?」

オベ「ちょっとわかりません。でも、あると思います。それにデンマークはそういう問題にはとても行動的ですよ。」(←帰って調べたらジュビリー2000デンマークがありました:大倉)

終わり

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