環境問題と私の弁当づくり
山口久臣 |
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山口さんの手づくり環境?弁当
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山口久臣さんは、熊本市で野外教育研究所とNPO法人コミネット協会を主宰され、環境問題を中心に国際交流や教育問題など幅広く活躍しておられます。山口さんの個人メールマガジン「いついつBOSS通信」で市販の弁当などの空箱を再利用して手づくりで家族の弁当などをおつくりになっていることを知り、学ぶべきことが多いと思い、特別にエッセイを書いていただきました。 1.私は何故に弁当づくりを始めたか 最近、貴殿の特技・趣味はと問われると、”はい、エコツアーとトレーニングと温泉と、うーん弁当づくりです。”と言っている。ア、料理創りもだった。 実は一昨年の秋頃、ひょんな切っ掛けから弁当作りに凝るようになってしまった。ひょんな切っ掛けとは、市販の弁当の空容器を捨ててしまうことに抵抗を感じ、“これって何回くらいまで使えるものか!?”と繰り返し試して使ってみたところ何と10回くらいは余裕で使える。 と言うわけで最近では形の良いものや結構頑丈そうなものなどに出逢うと人の目をはばからず、どころか結構自慢げに人の食べた弁当空らまでも持って帰って、しかも夫婦でそれらをせっせと洗い(ちなみ我が家の食器洗いはもう長いこと中性洗剤は使わない。殆どお湯のみでの洗浄。たまにヌカを使用。米の研ぎ汁や野草の灰汁(あく)、春の筍やワラビの茹で汁などとてもよく汚れが落ちますネ。)、毎朝、市販の弁当のような(にも負けない!!)弁当に変身させての出勤となっている。 毎朝、オフクロとカミサンとオラの弁当づくりは私の仕事だ。80歳になるオフクロなどこれらの弁当箱に詰めた弁当の方が食欲が湧き元気に食し体力をつけて昨年の夏の猛暑を乗り越えてしまった。 ソースをつくる 私が何故に弁当づくりを始めたか!?と言うと、こんな理由なのだが、もう一つの理由は勿論、料理づくりが大好きだと言うこともある。料理づくりは実に楽しい創造事業なのだ。何故かと言うとそれは後ほど述べる。 ところで時々、ふっと思うのだが毎日、全国で一体どれくらいのオベントーが作られているのだろーか??? きっと、多分、約4000万個ぐらいはあるんじゃないのかナ??それらの空箱がみーんなゴミになるのかと思うと計りしれん話だ 日本のゴミ(一般廃棄物)の大半(半分くらい)は包装容器なのだ。 どうして市販の弁当が売れるのだろーか!?
2.そもそもオベントーとは… そもそもオベトーとは、学校や仕事に出掛けて行く時に家で家族で作って持って行く物だと思っていた時代から今はもーすっかりライフ・スタイルが様変わりしてしまい“ベントーって、買うもんだ!!”の時代になっちまった。 そもそもオベントーとは、家族や母や妻の愛情の結晶みたいなもののはずだったのが今はもーすっかり商売の商品だ。だから当然見てくれも良い。それが悪いと言う訳でもないのだが、何かしらふっと一抹の寂しさを感じてしまう時があるのワタシダケカ…。 そもそもオベトーとは、前日の夕食に食べ残された料理たちが時々は加工・変身させられて再デビュー出来るステージであった。それがどうだ市販のベントー(弁当の外来種と呼ぼー!!)の登場によりその華飾の場を失ってしまったではないか。 そもそもオベントーとは、動物たちや植物たちの命を頂きながら命をつないでいるトップランナーである人間たちにとって(だからご飯を頂く時には、“(命を)いただきます!!と言って食べるのだ。)、命の権化でもあるのだ。ムムム…。 3.弁当づくりから環境問題を考えてみれば… ここまで書いてくると、何とたかだが弁当についてここまで言うかと言われそうだが、まだまだあるぞー。次はいよいよ“環境問題”の登場だ。 “環境問題って何ですか!?”何て今どきは愚問であろう。しかし、あえてそう問うてみるとみんな実はよく分っていないようにも思う。自分がよく分かっていると言う訳でもないのだが…。 まーそれにしても思うに今の日本人たるや、みんな口ではけっこー“環境、環境”って言ってるけれど、実のところホントはあまり危機感などないし、それぞれが真剣に取り組んでいる訳でもないようだ。それは経済的に物質的に豊か過ぎるほどの日本だからこそなお更のことなのだろう。 僕は毎年、タイやミャンマーの田舎へ国際協力プロジェクトで出掛けて行くのだが、開発途上国の農村地帯などの田舎へ行ってみるとそのあたりの感覚が実感としてよく分かって来る。 国の環境行政だって毎年約80兆円の予算規模に対して環境省の予算たるや2000数百億円程度と云う状況。その割には結構スローガン的に“環境、環境!!”って政治家も言っているよナー。特に選挙の時などには。 さてさて、ここの本題の「弁当づくりから環境問題を考えてみれば…」だが、作った弁当をよく観てみると、まず日本の食糧自給率の問題が観えて来る。日本の食糧自給率は先進諸国中最低の総合的に約30%と言われている。しかしこれらの数字は日本の平均ということでよくよく調べて行くと実は北海道や九州は総合的に食糧自給率は100%を超えているのだ。 それは日本の国が関東圏、東海圏、関西圏に人口の半分以上が集中しているというアンバランスさや、また、いずれの地域も都市への人口、政治、経済などの一極集中という現状が産み出している大きな課題なのだ。 更に食糧と環境については最近ではご存知の輸入食糧の重量に輸入先からの移動距離を乗じた数値「フードマイレッジ」と云う提案がなされおり、その数値が小さいほど環境に優しく大きいほど環境に対して負荷を掛け過ぎと云うわけだ。と云うことは、弁当の中のご飯、おかず、デザートなどの食材の1/3は輸入物と云うことになり、もしそれぞれの「フードマイレッジ」を算出してみると、そこからバッチリと環境問題が観えて来ることになるはずだ。 まだある。僕が愛用(?)している市販の弁当のリユース箱やタッパー箱の弁当箱等これらはすべて石油精製品である。つまり石油の価格高騰や枯渇により確実になくなって行くという運命にあるのだ。よくよく見渡せば日本社会に溢れるかえっている物、物の多くは、原料が石油と云うものだ。 まだまだ探れば弁当の中にはいろいろなものが凝縮されている。もうここでの論議は控えるが例えば、食文化、食育、教育、経済、はたまた宗教にまで届いて行くかも知れない。 まーここまで深く考えて弁当を食ってもおもしろくないし、きっと美味しくもないだろうけども学びのテーマとして考えると結構おもしろいもんだ。 そのように考えて行くと、弁当づくりってけっこー”環境問題”にも持って来い!!と言いたい。とは言え“環境問題”って、そもそも身近な暮らしの中からこそ考え捉えて行くべきもんだけれど…。 おいしそうな手づくり弁当
4.人の内なる環境問題、健康について ――― 心の健康、体の健康 そう一つ、“食育”については言っておかねばならないことがあった。 その健康を創り出して行く源こそ“食べること”である。だからあらゆる面でバランスのとれた食事を正しく楽しく美味しくしなければならない。なるべく自然に近い物が良い。添加物や農薬など無い食べ物が良いに決まっている。なかなか難しいがほどほどに食べるのが良い。(実に難しい!) コンビニの弁当類やお菓子やインスタント物、ジュースの類で空腹を満たすだけの食事をしたり、偏った食事、無理なダイエットなどを続けているとほぼ必ず20年後ぐらいには“生活習慣病(癌、糖尿病、通風、脳疾患、心臓疾患等など)”と云う病に陥り地獄の苦しみを味会うことになる。(ちなみにこの世の生き地獄とは、借金地獄に村八分地獄に病の地獄とか。) そんなことを正しく教えてくれる教育こそ食の環境教育である“食育”なのだ。 いずれにしても環境問題の原点の一つに“食”があると云えよう。
5..料理づくりの大いなる価値とは ところであらためて「料理づくりの大いなる価値は、」と云うと、勿論前述して来た弁当づくりにまつわることと、もう一つは何と言っても料理づくりって“企画”することだと思っている。つまり料理は、“作る”のではなく“創る”ことなのだ。 料理づくりをレシピに従ってやったって僕は全然おもしろくない。(美味しいかも知れないが…。)料理は“創ってこそ“その醍醐味があると思っている。残り物のリニューアル。そこにある材料から創り出す。工夫をする。アイディアを練る。新メニューを創る。等など、これらがあるから料理づくりは楽しい。おもしろい。僕の趣味の一つだ。そしてこの”創ること“こそ実は、仕事にも人生の生き方にもつながって行くのだ。と思っている。
6.みなさん、お弁当を創りましょう!! とまあ、弁当づくりひとつからいろいろな方向に派生してみた。考えてみると言うことは実におもしろいことだ。わくわくして来る。楽しくなって来る。これって“幸せ”なことだナー。 みなさん、お弁当はおうちで作りましょう。 弁当作りは、子どもたちの家庭教育にも夫婦の対話にも家庭のチームワークづくりにも、とてもよかですバイ。と言いたい!! |
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