*大光寺のお祭り*

 この歴史散歩にすでに何回か登場した大光寺は町内唯一の臨済宗のお寺で、上里の歴史を鎌倉時代から見つめてきました。ここで毎年4月23日にお祭りが行われます。

「きょう、 大光寺のお祭りだよ!」
「ほうほう。」
「でね、お祭りだから、学校短縮なの。ほんとは6時間なんだけど5時間で終わりなんだよ」

えーー!? いいのかぁ? そんなのありかぁ?
お寺さんのお祭りに、学校が短縮になるってはまずいんじゃないかあ? 

ということで、毎年、地域の子供達が楽しみにしていて大騒ぎするこの『大光寺のお祭り』をちょっと調べてみることにしました。

いつもは静かな境内も、、、。

4月23日は大賑わい!


あいにくの雨でもすごい人出


境内だけでなく参道1キロ延々、店がでます。
小中学生全員集合状態

『大光寺のお祭り』というのは通称で、臨済宗大光寺の御本尊を祀る行事ではありませんでした。正確にいいますと、大光寺の境内に同居していらっしゃる『蚕影(こかげ)さん』という神様を祀るお祭りです。

『蚕影さん』……これは蚕の神様で、つまりはこの上里で盛んだった養蚕の守神、さらにいうならば地域産業の神様であります。このお祭りを行うことによって、人々は広く上里の産業(養蚕業)の栄えを祈願したのです。大光寺境内でこの祭りが行われるようになったのは、昭和2年から。(この『蚕影さんのお祭り』は、隣市の本庄や、また違う日に上里の他の場所でも行われ、昔は秩父、群馬からも人が集まったそうです。) 昭和50年頃まで養蚕農家は百軒ほどありましたが、今はほとんどみられません。でもこのお祭りは残り今でもとてもにぎわっています。

普通のお祭りの感覚ではちょっと不似合いな出店。
 でも昔からこのお祭りで養蚕の道具、農具を新調したりしたそうです。情報交換の場でもあったかもしれません。また桑の苗が売り出された名残りで、今は園芸用の苗を売る店がでます。

娯楽のあまりなかった時代、他との交流が少なかった時代の貴重なお祭り。そのもともとの意義はすっかりわすれさられているけれど、でも今の子供達にも「わくわく」という気分をあたえているのは間違いないようです。


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