キャプ---う---ション

●ウマノアシガタ ●ウマノスズクサ ●ウメ

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 ウマノアシガタ(キンポウゲ、キツネノボタン等)

あるけばきんぽうげ すわればきんぽうげ

今日も1日行乞の旅に出る。
 きんぽうげの咲いている小道にでた。5つの黄色い花びらを開いたきんぽうげの花はやさしい。どこまでもどこまでもきんぽうげの花は続いている。わたしが歩けばきんぽうげの花もついてくる。歩き疲れてすわりこむと、ひざのあたりのきんぽうげの小さな花がゆれている。

種田山頭火 解説:石寒太

毒・害

薬・効

<全草
配糖体のプロトアネモニン

症状:間違って食べると、腹痛や下痢吐き気、血便。皮膚に花や葉の汁が付くと赤く炎症を起こす。ひどいときは水ぶくれになる。

扁桃腺炎を外湿布によって治療する民間療法があった。


 ウマノスズクサ(ツンボグサ)


昼顔、山芋などと良く似た葉

ジャコウアゲハという蝶がいる。市街地でもよく見かける。

黒が基調のやや大型のアゲハで、なんだかたよりなさげにふわふわと飛んでいることが多い。

さてこの蝶、幼虫はウマノスズクサのみを食草(えさ)にしている。ウマノスズクサには、アリストロキア酸という毒が含まれているのにもかかわらず、むしろ親蝶はアリストロキア酸を前足の嗅覚で識別し、ウマノスズクサの葉の裏側にわざわざ産卵する。
この卵の表面にも毒がある。卵からかえった幼虫は自らの殻とウマノスズクサの葉を食べ始める。幼虫は赤と黒の見るからに毒々しい色をしてるので(警戒色という)、鳥は「この幼虫には毒がある」と認識しており、手を(嘴を)ださない。やがて黄色い色のさなぎになるが、さなぎもやはり毒を含み、もちろん羽化した成虫にも毒がある。

この毒の武装のおかげで、ジャコウアゲハは生涯鳥の恐怖におびえることはないのだ。ウマノスズクサは、アリストロキア酸という毒で、自分の身を虫などの食害から守っているのだろうが、ジャコウアゲハはその上をいくようにうまくアリストロキア酸を利用している。
長年かけ、ウマノスズクサの毒に耐性をもつ体に進化したのだろうか?

そしてさらに、このジャコウアゲハが鳥に狙われないのに目をつけたのか、ジャコウアゲハの擬態をする蝶もいるそうな。
・・・自然界はたくましい。

毒・害

薬・効

<全草、特に根
アリストロキア酸、アリストロチン等のアルカロイド。マグノフロリン。

症状:薬草としての歴史もあるが、多量の服用は血便の原因となり、ひいては呼吸困難・停止に。

・根を掘って乾かしたものを土青木香といい、解毒や腫れ物の疼痛に使用されてきた。また果実は去痰剤として。


 ウメ


2月、梅園にて


梅干しになる実

夏が来る前のうんざりする長雨の時期に青い梅の実がふくらむ。

 梅は8世紀ごろ日本に伝わったとされ、天平の時代は花といえば梅だった。かつて日本人の梅によせる思いは格別で、梅の実なる雨の季節を梅雨と呼んでいる。
 梅の花実ばかりか木そのものにも厄よけの呪力があると信じられ、敷地内に植えられてきた。
 黄色く色づいた梅の実を半夏生(7月2日ごろ)までに採って塩漬けし、かっと照りつける土用の陽射しで干しあげる。塩でよく揉んであくを抜いた紫蘇と一緒に漬け込むと梅酢と反応して深紅の梅干しになる。
 平安時代の白梅干しは主に薬だった。鎌倉時代には僧侶の副食となり、のちに武家に伝わって、出陣、帰陣の酒宴や、戦の兵糧に用いられた。

梅干しは邪を祓う縁起物であり、腹の薬でもあり、眺めるだけ口中に唾がわいて渇きを癒す、笑い話みたいな実用品でもあったらしい。
 江戸時代には庶民にも普及し、各家必携のおかず兼家庭薬となる。

サライ13号「もうひとつの旬」

毒・害

薬・効

<葉、未熟果実、種子(仁)
アミグダリンという青酸配糖体。これは青酸カリと同じもの。人間の胃の中で分解して青酸を出す。かつて青酸カリが純粋に抽出できなかった時代にはこの梅の毒素がしばしばつかわれたという。

症状:腹痛、頭痛めまいに始まり、大量に摂取した場合、痙攣や呼吸マヒを起こす。利用価値の高い果肉であるが、その香りのよさに青梅を思わず口に入れてしまう子供の事故が毎年大変多い。また梅干しとはいえ、種の中にある仁(天神様とかいわれるもの)には多少の毒素が残っているので食べないほうが無難。

・上記の記述にもある通り、梅干し、梅酒、梅エキス、梅シロップ等、昔から今もなお受け継がれる伝統が確固として存在している。