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●タケニグサ ダツラ タバコ
●タマスダレ

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タケニグサ

だれが言い出したか、この液を足に塗ると駆けっこが速くなるという事で、運動会が近づくとヨーチンの木は折られ、千切られて無惨な姿を見せました。私も足が茶色くなるほどに塗り込んでスタートラインたったものですが、なぜか常にビリでした。足の速い子も、さらに早くなるようにとぬるのですから、、、。

 近年、開発で雑木林も原っぱも見かけなくなり「ヨーチンの木」(竹似草というそうです)を目にすることもなくなりましたが、今でも、どこかで足に塗っている子供たちがいるのでしょうか。

「ヨーチンの木」田中利夫氏

毒・害

薬・効

<全草
アルカロイドのプロトピン、サンギナリン、ヘレリトリン

症状:誤って口にすると嘔吐や酒酔いの状態になったり眠くなったりする。重症の場合は血圧、体温の低下から死亡することもある。

キャプション
・夏場に乾燥させたものをつかい、煎液を害虫駆除に。また皮膚病に茎の汁を塗った。飲用は厳禁。

   

     


 タバコ

畑の葉タバコ

煙草は、本来、日本になかった植物である。 では何時頃、舶載されたかと云うと、記録によって、年代が一致しない。(略) が、慶長十年頃には、既に栽培が諸方に行われていたらしい。(略)

そこでこの煙草は、誰の手で舶載されたかと云うと、歴史家なら誰でも。葡萄牙人とか、西班牙人とか答える。が、それは必ずしも唯一の答ではない。その他にまだ、もう一つ伝説としての答が残っている。それによると煙草は悪魔がどこからか持って来たのだそうである。 (略)

しかし、その悪魔が実際、煙草を持ってきたかどうか、それは、自分にも、保証する事が出来ない。尤もアナトオル・フランスの書いた物によると、悪魔は木犀草の花で、或坊さんを誘惑しようとした事があるそうである。してみると、煙草を日本へ持って来たと云う事も、満更嘘だとばかりは云えないであろう。よし又それが嘘にしてもその嘘は又、或意味で、存外、ほんとうに近い事があるかもしれない。----自分はこう云う考えで、煙草の渡来に関する伝説を、ここに書いて見る事にした。

芥川龍之介「煙草と悪魔」

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おまけ「木犀草


鑑賞用としてはあまり価値がないが、その小さく白い香りのいい花にヨーロッパでは人気がある。花言葉は『器量より気品』

毒・害

薬・効

<全草、とくに種
アルカロイドのニコチン、ノルニコチンを主成分とする。

症状:嘔吐、下痢、顔面蒼白、呼吸麻痺、痙攣などをおこし短時間で死亡する。成人の推定致死量はたばこ2〜3本分。幼児が誤飲した場合、無理に吐かせようとして水、牛乳等をのませてはいけない。タバコの水溶液のほうが吸収がはやくなるからである。

喫煙:未成年の喫煙防止対策、また禁煙権の観点からか、日本たばこ産業のCMから「喫煙シーン」が消えてから久しい。

キャプション

・安土時代にはどんな病気にも効くという意味で、『万能霊薬』と呼ばれていた。秀吉の息子とお茶々はヘビースモカーだったらしい。

・江戸時代には回虫駆除、外用薬の軟膏につかわれていた。

・吸い殻を崩して『たばこ』の部分だけを取り出し、水に一昼夜つけた液は、家庭園芸用の殺虫剤として使うことができる。噴霧器に入れてアブラムシのいそうな所にかけてやる。結構これで虫が死ぬ。


タマスダレ

  
南米産の帰化植物で、主に園芸用ですが、一部が野生化しています。常緑の多年草で、夏に白色の花を付けます。土中に球形の鱗茎があります。

誤食部位:葉、鱗茎。葉をニラなどと、鱗茎の部分をノビルと間違えたりします。毎年多くの中毒者がでます。

この写真のような植え方は危険ですのでお止めください。 

毒・害

薬・効

<全草とくに葉、鱗茎
彼岸花と同じく、リコリンというアルカロイドを含む。

症状:おう吐、けいれんなど。

薬効の事例はない。

   

     


 ダツラ(チョウセンアサガオ、曼陀羅華)


(左)ダツラの蕾
(右)野菜のオクラ

  

日向の国(今の宮崎県)、本荘八日町という町のはずれにあるお寺があった。そこに職人風の男三人が訪ねてきて、「私達は豊後国(今の大分県)で働いているものだが、明日は私の親の命日だからぜひご回向をしていただきたい」といった。そして住職にひと包みのお金と豆腐とお酒を一樽さしだした。
 親孝行に感心した住職はお経をあげ、そのあと持参の酒を飲むが、三人の男たちはみんな自分たちは下戸だからといって一滴も飲まなかった。住職はまもなく狂乱し深く眠り込んでしまったが、三人の男はその間に金や衣類をみんな盗んで逃亡したという。酒樽のなかにこのダツラの花と葉がはいっていたのであった。

宮崎県の伝承

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もっとも有名なのは、江戸時代の外科医、華岡清州がこのダツラをつかって、文化元年に世界初の全身痲酔手術に成功したことであろう。乳がん摘出手術であった。

  ダツラの実・とげとげしている

毒・害

薬・効

<全草、とくに種
アルカロイドのスコポラミン、ヒオスチアミン、アトロピンなど。

症状:副交感神経末梢を麻痺させ、初めのうちは大脳を刺激して狂乱・興奮状態となりしばらくして酩酊、深い眠りに入る。毒気がなくなると自然に元にもどる。『キチガイナスビ』の別名がある。つぼみをオクラとまちがえて食べる事故や、菜園のダツラが、冬になって地上部が枯失したため牛蒡と区別不能となり収穫され、金平牛蒡にまざって食べた人が重篤な神経性食中毒症状になった事故、また『食べられるハーブ』として売ってしまった例などが近年でもある。

・刻んだダツラを火にくべてその煙りを吸って喘息の発作をかるくするのに利用

・麻薬の禁断症状をしずめる。

・葉と種を煎じたものを酒にまぜて、催淫剤として使用した。