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●オオバコ ●オシロイバナ ●オトギリソウ

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 オオバコ(おんばこ、車前草)


庭の雑草

おほばこの神のたすけやなかりけむ 契りしことを思ひかへるは
(おおばこの葉を死んだ蛙にのせると蘇生するといいますが、「あまがえる」とあだ名のついた私には、そのおおばこの神の助けもなかったのでしょうか、お約束をたがえて来て下さらないのは。それで死ぬほどの思いをしております)
※思ひかへる=蛙 との掛け言葉

蜻蛉日記 中巻末

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枕頭で喚覺ます下女の聲に、見果てぬ夢を驚かされて、文三が狼狽へた顏を振揚げて向うを見れば、はや障子には朝日影が斜に射してゐる。「ヤレ寢過したか…。」と思ふ間もなく、引續いてムクムクと浮み上つた「免職」の二字で狹い胸がまづ塞がる……。 おんばこを振掛けられた死蟇の身で躍り上り、 衣服を更めて夜の物を揚げあへず、楊枝を口へ頬張り、古手拭を前帶に插んで周章てて、二階を降りる。

二葉亭四迷 「浮雲」

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死んだ蛙(生き埋めにした蛙)の上にちぎったオオバコの葉を振り掛けると、しばらくしてからいきなり生き返る。

毒・害

薬・効
  

死んだ蛙を生き返らす、という俗信が平安時代からあったようだ。
この俗信からか、方言でオオバコのことを「かえろっぱ、ぎゃーろっぱ、げーろっぱ」と呼ぶ地方がある。

全草を夏に採取して乾燥し、それを煎じて、せき止に利用することが多い。種子には鎮咳効果のある成分が含まれている。


  

 オシロイバナ

白粉花ということで、花後にできる黒い種を割ると、中に白い粉があり、それが化粧に使う白粉に似ていることから来た名前です。実際女の子がお化粧遊びに使います。

--花のパラシュート--
・子房の部分をそっと抜く
・引き抜いてしまわずに、子房をおもりにしたパラシュートにする


山内昭道 「草花遊びの本」

毒・害

薬・効

<全草、特に種子、根
トリゴネリン、ステロイドのβーシトステロール

症状:誤食した場合強い利尿作用、嘔吐、腹痛、強い下痢。子供の事故が多い。午後4時ごろから咲き出しいい香りをさせることから「Four O'clock」などの名前もある。

黒い種を割ったときにでてくる白い胚乳を、ぬらした指先につけてにきびや吹き出物の上につける。


 オトギリソウ


返り血にみえるかもしれない。



セントジョンズワートの花

花山院(10世紀後半)の御代に、晴頼(せいらい)という鷹飼いがおり、業に精通していること、神のごとしであった。彼は鷹が傷をすると草をもんで患処につける。するとたちまち傷が癒える。人がその草の名を教えてくれと乞うても秘していわなかった。
 ところが家弟が密かにこの草の名を外部の人に漏らした。晴頼はたいへんに怒って弟を刃傷に及んだ。
 これ以来、鷹の良薬が知られ、これを弟切草という。葉にみられる点々はこの刃傷の際の血しぶきだという。

和漢三才図会「弟切草」

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ハーブのセントジョンズワートも同じ仲間である。
(セイヨウオトギリソウ)

人気健康食品に薬効弱める作用
厚生省、業界指導

「いらいらした気分が晴れる」という触れ込みで健康食品として人気がでているセント・ジョーンズ・ワート(和名・セイヨウオトギリソウ)が抗HIV薬などの医薬品の効果を減少させることが分かった。
 厚生省は10日、該当する医薬品の製造業者には添付文書の改訂を、セント・ジョーンズ・ワートを含む食品の取扱業者には成分表示の明記などを指示した。
 厚生省によると薬効が減少する可能性があるのは抗HIV薬のほか強心薬、免疫抑制薬、経口避妊薬、気管支拡張薬、抗てんかん薬、抗不整脈薬など。(以下略)

毎日新聞2000年5月11日付け朝刊

旧厚生省関連HP:
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1205/h0510-1_15.html

毒・害

薬・効

<全草
ヘペリジン。

症状:このヘペリジン1mgをマウスに投与したとき、暗所では特になんの症状も現れないが、日光にあたると痙攣をおこし死に至った。人間もこれを内服して日光にあたると皮膚炎をおこすことがある。

・セントジョンズワートはエイズの治療薬として研究がすすめられている。
また古くから魔よけの草として身につけられ、聖ヨハネの日に摘むと効果がいっそう強くなるということでこの名がついている。
キャプション
・和洋ともに、止血・腫れ物に、乾燥したものを煎じて、その汁を患部に塗る。