ハーブガーデン訪問:『高崎市染料植物園』

今回はめずらしく、“口にいれないハーブ”をあつめた
ハーブガーデンを御紹介します。

(訪問月 1月)

『花色木綿』という落語を御存じですか? 

家に泥棒にはいられた男が、大家さんにその被害報告をいたします。(といいつつ実はなにも盗られていない)
大家「(途中略)それで、裏はなんだ」
男 「裏は、、どうも道が悪くてしょうがねえ」
大家「その裏じゃァねえ、(盗まれた)布団の裏(裏地)だよ」
男 「大家さんとこのは?」
大家「うちのは丈夫であったかいというので、花色木綿だ」
男 「あっしのところも、丈夫であったけえってンで花色木綿だ」
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さてさて、この落語を初めて聞いた時、私は「“花色木綿”ってなに?」と首をかしげた。
「“花色の木綿”だとするとー、じゃ“花色”ってどんな色??」
自分の布団のカバーをはずし、しげしげと裏を返して、
「クリーム色かなあ?? “花の色”っていうくらいだからそうかもー」なんて、勝手に思い込んだりもした。

この謎が解けたのはそれから何年もたってからである。

そしてその謎がとけたとき、蘇芳、檜皮、浅葱、鈍色、利休鼠、といった色を表現する美しい日本語が、他にもたくさん存在することを知った。その美しい繊細で微妙な色が、ほとんど植物によってもたらされることも知った。自然の営みに驚き、先人の知恵に感服した。

そしてさらに最近、そういった染色に使う植物もハーブとよばれることも知ったのである。

高崎市染料植物園

アクセス(自動車)関越自動車道高崎IC(or前橋IC)下りる。高崎観音をめざして約30分。
(電車)JR高崎駅西口下車 市内循環バス『ぐるりん』で15分。染料植物園下車

住所:群馬県高崎市寺尾町2302-11

TEL:027(328)6808

入園料:無料
   (ただし染色工芸館は大人100円要)

営業時間9:00〜16:30
   休園日は毎週月曜・祝日の翌日・年末年始


*高崎市を見下ろす白衣観音の足下にある植物園です。お子さま連れのときは、ハイキングをしたり、遊園地もそばにあります。

園内図

高崎市染料植物園は、古くから伝えられてきた日本の染色文化やその魅力を多くの人々に伝えるために造られた植物染色のテーマパークです。園内は『染料植物の道』をメインに、昔から衣服などを染める原料につかわれてきた代表的な染料植物がたくさん植えられています。

今回なにもこんな冬枯れの園に行かなくてもよかったんだけど、その分想像力を働かせるということで御勘弁を。



『染料植物の道』

・この道では古代から現在までの染色の歴史と、その時代に主に使われた染料植物を実際に見る事ができます。

枯れ葉の間から
芽を出し始めたヤマアイ


古代から中世にかけて使われた
日本最古の染料。
これでできた色が『青摺』
かなりな毒草でもある(^^ゞ

・各植物に添えられた案内解説板により、媒染剤による色の違いなども知ることができます。

『平安・鎌倉の染料の道』から温室&園全体を眺める

■■染料の歴史や知識を深め、ぜひ体験もしてみたいという方は『染色工芸館』

ここの展示物をみると、日本人の色にたいする美意識の粋が集められているような気がします。

古代色を実際に草木染めで再現しているのは群馬県重要無形文化財に指定された山崎青樹氏。古代人も然る事ながら山崎氏の労作も見事です。

お勧め本:
 『草木染 日本色名事典』山崎青樹著 美術出版社

推古朝と大化の改新ごろの冠位による服色
だれでも平気で紫なぞ着てはいけなかった時代
(デジカメでは色がきれいにでませんねえ。
もちろん再現は山崎氏の手によるもの)

植物で絹糸を染めたもの。
この植物からなんでこの色が?という驚きもあり、
同じ植物なのに媒染でこんなに違うのか、
という驚きもあって面白いです。

■■鹿児島・沖縄や熱帯地方で使用されている染料植物は『温室』で観察する事ができます。

←『ブラジル』という国名は染料の赤に由来するそうで、そのもととなる植物がこれです。

----------植物解説板から---------

カエサルビニア・エキナタ(ブラジルウッド)
Caesalpinia echinata

ワイン色の染料植物として中央・南アメリカで栽培され、ブラジル東部の海岸沿いの森林に成育しブラジルウッドの名前でもしられている。

スオウ(赤色植物染料)は、ポルトガル語で「燃えるように赤い」を意味する「ブラサ(brasa)」に由来する「ブラジル(brasil)」の名で呼ばれていたが、そのスオウに似たこの植物が生えていたことからブラジルという国名がつけられたといわれる。


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