コーヒーセレモニーは女性のみによって進められるもので、ほとんどの場合は一家の主帰がその役目を果たします。
彼女はまず部屋の一隅に刈り立ての緑草をまき散らし、屋外から自然の香りと新鮮さを取り入れます。次に、隅にすえられた低い緑台に座り、木炭用の大鉢を横に置きます。そして彼女はその場の心好い環境に趣きを添えるため昔ながらの小型くぽんだ陶上製の容器で呑料を焚くのです。
来客は、彼女に向かって、多くの場合半円形になって座ります。すると彼女は客たちにつまみとして“コロ”とか“ボップコーン”あるいは“ダボ”をすすめます。それから新鮮なコーヒー豆を水洗いした後、全体がむらなく仕上がるよう凹型にくぼんだ平鍋の上で引っくりかえしたり、あるいは“メクヤ”を使いながらまんべんなく妙りあげるのです。
丁度良く仕上がると.その芳香を充分に楽しめるようにお客一人一人の前で妙り上がったばかりのコーヒー豆をゆすって回ります。彼女が家の奥の方に消えると、そこから今度はすり鉢の中で、妙り立でのコーヒー豆がすりこぎですりおろされる音が聞えてくるのです。
それから彼女は、根元が丸くふくれていて、通常、長く細い首が先端の注ぎ口まで続いている昔ながらの陶土製のポットに水を注ぎ入れ、湯を沸かし、コーヒーの粉を加えて、一緒に沸騰させます。(一部の地方ではこれにバター又は塩或はその両方を加えます)彼女はそこで腕のついていない小さいカップにそのコーヒーを注いですすめるのです。バターや塩が使われていない場合には砂糖を加えることも出来ます。
最初のカップは、表す一番敬意を払われるべき人(通常は最年長者ですが)に注がれ、この序列は一番最後まで守られます。
全員が楽しんで飲み終わったを見とどけて、彼女はカップを回収した後、ポットに水を足しし、そのままの粉で二番煎じを沸かします。その間に彼女はカップを水洗いするのです。昔がらのしきたりによれば客からのもとめがあれば三番煎じも許されます。一番煎じは最も強く“アボル”と呼ばれ、二審煎じ、三番煎じばそれぞれ“トナ”、“ベレカ”と呼ばれますが、子供たちは“ベレカ”から飲みはじめることもできるのです。
最後に最年長者が接待側の一字家に対して感謝と祝福の言華を捧げて、コーヒー・セレモニーは終結いたします。
<珈琲屋Beans提供資料より> |