まえじまてつお氏との往復書簡

イノベーションのジレンマについて

グリーンウッドさん、

近所の図書館に頼んであった「イノベ−ションのジレンマ」、届いたとの事で1時ころ取りに行き、今一気に読み終わったところです。

HDとか、掘削機とか、ホンダのバイクの米国上陸裏話とか、の例が面白かったです。(しつこいケ−ス・スタデイがHarverd Business School流ですね。)僕の感想は(イノベ−ションにからんでの)企業の盛衰も、「一般化された(今風の)進化論」なんだなあ、と言う事です。
持続的技術を所有する主流企業は、その企業が主流となった環境=市場と技術で最適であったわけで、異なった環境になれば最適との保障はなくなりますよね。環境が変化した時、特に新しい市場ができそうな時、それに合うような新しい技術があると、新しい環境に適応して成長し、ついには隣接既存分野も食い殺すの破壊的技術。進化論での新種の適応放散。

平家物語の書き出し、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。」あるいは、日経ビジネスなどで一時流行した「企業30年説」とも通ずるところがありますね。

生物の進化は、2600万年周期の彗星群が地球に接近する毎に、地球環境が大変化する外乱を受け、その都度種の90-95%が絶滅し、残った種が新しい環境に適応放散したんだ、と言うのが今の説のようです。

この本で扱っている環境の変化は、大地震とか戦争勃発とかステップ状の大きな外乱ではありませんが、日本について言うと、1945年の敗戦、1990年代後半のバブル崩壊と、大きな外乱を受けたように思います。巨大爬虫類時代コソコソしていて後から適応放散した哺乳類が居る一方、爬虫類でもヘビとか、トカゲ、ワニなんて未だにいますから、持続的技術保有者でも生き残るが居るかも知れません。

ちょっと古い話ですが、雲取山は大変だった、との事でしたが、HPによると、その前に木を刈る時にカブレていたようですね。そのような状態で激しい運動をするなんて、無茶ですよ。ご自愛下さい。

まえじまてつお

 

 

まえじまてつおさま、

書評ありがとうございます。むろんヘビとか、トカゲ、ワニなどの持続的技術保有者でも生き残るができますがマイナーな存在としてでしょう。日本もマイナーな国になるのですかね?

雲取山登山に関しては、医者にひどくしかられました。このあいだも今までなんでもなかった山芋でかぶれたので今月の丹沢登山も禁足を食いました。まだ皮膚の一部が赤くなっており、完全に治らないうちは呼吸困難になることもあるので病院にすぐ駆け込めるようにしておけということです。
以上報告まで

グリーンウッド

 

 

グリーンウッドさま、

少なくとも技術・産業面ではマイナーな国になるように思います。

幕末〜明治維新から軍事大国を目指したこの国は1945年に挫折、今度は技術・産業を軸に経済大国を目指すも1990年代後半に挫折。新しい価値観で別な展開があるかも知れませんが、「国」と言う単位で動くかどうか疑問に思います。

音楽、美術、アニメなど、コンテンツ・ソフトの文化面で世界的に活躍する人材が出てくる可能性があるように思います。
但し、あくまでも個人、「国」との意識はないでしょう。

まえじまてつお

2002.5.20

Rev September 03, 2006


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