南アルプス 

赤石岳・悪沢岳

赤石岳(3,120m) と悪沢岳(正式名:荒川岳の東岳3,144m)は過去2シーズンの計画にあげながら、雨で流れた。にもかかわらず赤石岳と悪沢岳はそろそろ年齢的に限界とwakwak山歩会は2006年8月、3度目の挑戦をすることにした。

メンバーのマーさんが44年前、百間洞山ノ家から赤石・悪沢を越えて二軒小屋まで歩いた日、登山者に会ったのは悪沢岳山頂での一人だけだったという。いまでは交通も山小屋も整備されて大勢の人が挑戦しているという。

今回は静岡からバスを乗り継いで、椹島(さわらじま)ロッジ前泊、赤石岳と悪沢岳を縦走して椹島にもどる4泊5日の日程を組んだ。

赤石岳→悪沢岳(荒川東岳)縦走ルート

第1日目

8月6日(日) 8時30分、JR 小田原駅 新幹線ホーム集合。JR新静岡駅9:50発の静鉄バスで 畑薙(はたなぎ)第一ダムに向かう。静岡市の西を流れる安倍川を遡り、途中西に向かい笠張峠を越えて大井川筋に入るコースである。3時間30分かかる長帳場だ。マイカーが入れる最奥部の駐車場際で13:30発の東海フォレストの送迎バスに乗り換え、椹島ロッジに向かう。

安倍川はアベカワモチの発祥の地とか。川筋は茶の産地のようである。安倍川筋を遡れば最奥部に梅が島温泉があり、阿倍峠を越えれば身延山に至る。

東海パルプの子会社である東海フォレストは赤石、荒沢界隈の山林の所有者であるが、現在は山小屋と送迎バスを管理するだけで林業は輸入チップに太刀打ちできないためか休眠中のようだ。道路は静岡市道だそうだが、殆ど未舗装である。更に1時間走って14:30椹島ロッジ着。(Hotel Serial No.356)標高1,123mあるというのに深い谷底にあるロッジは蒸し暑い。

ロッジ別館は建設現場にある巨大な飯場という風情で130人は収容出来そうな2階建ての建物であった。生ビールのサービスがあることに気がつかず、一風呂浴びた後、缶ビールで喉を潤す。食堂は時間シフト制だ。

第2日目

8月7日(月) 4:30起床、5:30出発。東尾根(大倉尾根)に取り付いて本日の目標地点である標高2,540mの赤石小屋に向かいただ黙々と登る。 蚊が居ないので半ズボン、半そでTシャツにして正解。暑さを感じないクリさんにもズボン下とシャツを脱ぐように勧告した。

小休止 マーさん撮影

森林はミズナラ、ツガ、モミで構成されている混交林である。斜面は急である。赤石岳の名は赤色の石が多いためと読んだが確かに丹波石のような赤石が登山路にあるのを見た。

単独行の60代の女性と50代の女性3人パーティーとほぼ同じペースで登ることになった。単独行の女性は我々と同じ赤石→荒沢縦走ルート、3人パーティーは赤石→聖縦走ルートとのこと。 赤石→聖縦走ルートは赤石→荒沢ルートよりキツイので相当山に魅せられた山姥達らしいとにらんだ。

7時間かけて12:35赤石小屋着。(Hotel Serial No.357)登坂速度202m/hであった。飲料水消費量はペットボトル2本。

左赤石岳 右小赤石岳 2006/8/6撮影

朝焼けの赤石岳 2006/8/7撮影

赤石小屋は正面とヘリパッド周辺のシラビソを伐採して視界を確保してくれているため、眼前に赤石岳、その後ろ南西に聖(ひじり)岳(3,013m)と兎岳(2,818m)、北方に荒沢岳をみることができた。この4月、沢口山から遠方はるかに垣間見た赤石、聖、兎岳を眼前に見ることができた。これらの山はこの山深く入った者しか目にすることはできない秘境の山だ。北アルプスのように雪が多くないので山頂近くまで樹林帯がせまり、アルペン風の厳しさは少ないが3,000m級の巨大な山塊であることは身にしみて分かる。

富士見平から赤石山頂に至るコースを眼前にして奥穂高のザイテングラードを思い出し緊張感を覚える。ラクダ の背をトラバースし、赤石岳と小赤石岳(3,081m)の中間にある小ピークに取り付き、そこから稜線をたどるようだ。

今回の我々の予定コースは第3日に赤石山頂を極めた後、小赤石岳経由、荒川小屋泊。第4日に前岳→中岳→悪沢岳(東岳)→千枚岳→千枚小屋泊である。

小屋の入り口に朝6:00のラジオ放送で作成した天気図が張ってあり、台風7号が紀伊半島に接近中と分かる。出発時、気がつかなかった。980ミリバールで小型で15kmで西北に向かっている。不吉な予感で胸騒ぎがするが、カンチューハイで気を紛らす。

左中岳 中央悪沢岳 右千枚岳 2006/8/6撮影

19:00のNHK-BSのTVで台風7号の予想進路を見て、向こう2日間は山は雨と判明、下山を決意。 台風の後は素晴らしい天気が待っているはずだが、2日間なにもすることなく山小屋に閉じ込められるのは耐え難い。殆どの登山者が同じ判断をしたもよう。

中央聖岳 右兎岳 2006/8/6撮影

朝焼けの聖岳 2006/8/7撮影

消灯後、21:00までは満天の星で、懐かしい、サソリ座と赤いアンターレス、そして北斗七星がくっきりと見えた。23:00頃には星は見えなくなった。明らかに予報通りの展開である。

第3日目

8月8日(火) 4:00起床、4:30朝食後、5:00下山開始。途中雨が降り出し、完全装備で下山。9:30椹島ロッジ着。4時間30分かかったことになる。下山速度315m/h。ストック2本を使って脚を保護した結果、膝を痛くすることもなかった。

椹島ロッジでシャワーを使い。10:30送迎バスで出発。途中落石は丁寧に道路から除外しながら下る。落石の劈開面が作る鋭利なナイフエッジがタイヤをバーストさせるためという。 運転手は「落石の始末3分、パンク30分」という格言をつぶやいていた。同じ運転手がバスを止め、路傍に咲くフシグロを教えてくれる。これを見るのは軽井沢町植物園に次いで2度目だ。

フシグロ

帰路は完全逆コースをたどって静岡駅着。普通列車で小田原に移動し、久しぶりに海鮮問屋”ふじ丸”で反省会。(Restaurant Serial No.227)

August 11, 2006


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