越後

平標山と仙ノ倉山

2002年の10月初旬、wakwak山歩会は紅葉を愛でに谷川連峰の最高峰の最高峰、仙ノ倉山(2,026m)と連峰西端の高峰、平標山(たいらっぴょう、1,984m)に一泊登山を行なった。事前情報ではゆったりとした山容全体と紅葉に色づく秋もすばらしく、二つの山にまたがる稜線に広がる池塘がよいとのことであった。

第1日

メンバー4名はJR橋本駅に集合。車で新しく完成した日の出ICに向かう。ここから月夜野ICまで高速道をゆく。以後17号線で苗場に向かう。若い頃、車で苗場にスキーに来たことがあるが、40年ぶりの訪問である。トンネルは狭く、大型トラックの接触跡が延々と続いている。 夏の苗場は人気がなく、まるでゴーストタウン。レストランはほとんど開いていない。ようやく1軒見つけ昼食。

平標山と仙ノ倉山へのアクセス(紫)

12:30 苗場ふれあいの里駐車場出発。ふれあいの里には大型の別荘が若干あるが、いずれも巨大で企業所有と見受けられた。あまり使われた形跡はない。約1時間林道を歩く。林業専用の林道のため、許可車以外は 歩行者も歩行禁止との群馬の某営林署の看板がある。その先の登山道(道元新道)にたどりつく道はこれしかないのだ。どういう考え、または法律があってこのような掲示がだされるのだろう。役人の傲慢さ、または浅慮にはあきれる。はたまた反対する政治家対策なのか?いずれにせよ罰則はなさそうだし、摘発するおそれもなさそうだ。大勢歩いている。

登山道の入り口には泉が湧いている。ここから山の斜面を約1時間急登坂すると稜線上にある平標山の家に着く。(Hotel Serial No.234) 小屋の向こう側に出てアット息を呑む。平標山の家はちょうど森林限界線上に位置し、眼前に平標山と仙の倉山が一望に見渡せる。台風一過の好天気で遮るものがない。それに平標山と仙の倉山はなだらかな女性的な山で、全山クマザサに覆われまるでビロードに覆われたようだ。谷間には泉から流れだした水がカスケードとなって流れ落ち、ダケカンバがところどころに群れを作っている。

担ぎ上げたウイスキーで喉を潤したのち、仲間が湯を沸かしてくれたので、猿ヶ京のセブンイレブンで購入したインスタントのブタ汁を作り、弁当を夕食とする。最新式の携帯LPGストーブは着火装置内蔵である。管理人は暗くなってから帰ってきた。万太郎まで出かけて登山道の笹刈りをしていたという。「村役場の役人は管理人は週末しか居ないといっていたよ」というとがそれは間違いで常時居るという。「役場など何も分かっていない」とつぶやく。確かに素泊まり料金の投入口も用意してないので管理人が居なければ支払い方も無いわけだ。宿泊名簿にサインし、素泊り料を支払う。夜間照明はトイレのみのため、日没とともに就寝。満天星空。auとツーカーとも携帯は使えない。

第2日

5:00起床。日の出を拝む。湯を沸かし、カップヌードルと昨日買った稲荷寿しで朝食。平標山に向け6:15に山の家を出発。木道が完備して、登山路の保護がゆきとどいている。朝日に輝く山並みが美しい。特にクマザサに覆われたなだらかな斜面に立つダケカンバの一群に目を奪われる。仙ノ倉山も平標山と同じくなだらかな斜面をもつ巨大な山だ。その向こうに厳しい崖をもつエビス大黒ノ頭が見える。岩肌は緑のコケにでも覆われたように見える。

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平標山登山中に見られたダケカンバ

小一時間で平標山の山頂に到着。山頂から西に苗場山が遠くにかすんで見える。山頂から一段下がったところに池塘が見える。

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平標山北側の池塘

小休止の後、仙ノ倉山に向かって縦走開始。仙ノ倉山にかけての稜線に広がる沢山の小さな風食ノッチがある。もやがあって遠くはよく見えないが、快晴で風も無く、のどかな散歩の気分である。

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仙ノ倉山から平標山とその向こうに苗場山を望む

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平標山を背にして (クリさん撮影)

平標山の家から見た仙ノ倉山はじつはその前山で本当の山頂はその向こうにあった。前山と山頂との間の南の谷はようやくV字渓谷がなだらかな斜面に切り込み始めたように見える。9:00に山頂着。我々より早く1人到着している。若い人だ。山小屋に泊まったのは我々だけである。「駐車場から直接来た」と言ったので、5時の夜明け前に出発したのだろう。東に谷川岳が見える。あの一の倉沢のような崖はみえずなだらかな山に見える。眼下に荒々しいエビス大黒ノ頭が見える。

来た道を平標山に向け引き返す。平標山を巻く道は植生保護とのことで立ち入り禁止である。再度平標山に登る。ここからはauの携帯は下界と繋がる。帰路の風景は日光の差す方角が変わり、また別の趣がある。平標山の家で昨日買った硬くなりかけのおむすびを摂る。管理人に挨拶して下山開始。大勢登ってくる。週末は14名の宿泊予定だという。途中50kgのLPGボンベを背負った若い強力が休んでいた。早足で歩き、14:00には駐車場を出発できた。

新治村の村おこしの湯、奥平の湯変じて1997年完成した遊神館で汗を流す。(Hotspring Serial No.173) 途中、新治村のたくみの里を通過するが、竹細工、陶芸、手すき和紙造りなどの伝統芸を披露してくれるなかなか面白そうなところだ。落ち葉のこびりついた天然なめこと真っ赤な生唐辛子を土産にする。

2日間の総歩数は29,000歩。

スケジュール

第1日目

7:30JR橋本駅 東口 → 八王子・日の出IC・圏央道・関越道 → 月夜野IC → 国道17経由 → 苗場で昼食 → 12:30昼食苗場ふれあいの里駐車場出発 → 15:00平標山の家着、持参の夕食、泊(標高1,656m)

第2日目

6:15平標山の家出発 → 平標山 → 9:00仙ノ倉山 → 11:30平標山の家で昼食 → 14:00駐車場出発 → 新治村たくみの里、遊神館温泉 → 月夜野IC → 関越道・八王子経由(高坂SAで夕食) → 19:00JR橋本駅着

October 5, 2002

Rev. March 24, 2006


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