杜世忠辞世

出門妻子贈寒衣問我西行幾日帰

来時儻佩黄金印莫見蘇秦不下機


門を出ずるとき妻子寒衣を贈り、問う我が西行幾日にして帰る時、

もし黄金の印を佩びせば、蘇秦を見るに機を下らざることなけん


蘇秦(そしん)は中国戦国時代の雄弁な政治家。張儀と並んで縦横家の代表人物。諸国を遊説して合従を成立させた。戦国七雄のうち秦を除いた六国の間に同盟を成立させ、六国の宰相を兼任した。この時、韓の宣恵王を説いた際に、後に故事成語として知られる「鶏口となるも牛後となることなかれ」 という言辞を述べた。合従を成立させた蘇秦は故郷に帰ったが、彼の行列に諸侯それぞれが使者を出して見送り、さながら王者のようであった。これを聞いて周 王も道を掃き清めて出迎え、郊外まで人を出して迎えた。故郷の親戚たちは恐れて顔も上げない様であった。彼は「もし自分にわずかの土地でもあれば、今のよ うに宰相の印を持つことができたろうか」と言い、親族・友人らに多額の金銭を分け与えたという故事をふまえている。

Rev. February 10, 2014