七里浜 の害獣駆除

 

以下の記録は鎌倉市の捕獲許可証をもらい檻を借りての捕獲で捕獲動物はすべて生きたまま市に渡した。

タイワン・リス

哺乳類では、古くは江ノ島の動物園から逃亡したのではないかといわれるタイワン・リスが七里ヶ浜の後背地の広町緑地の山のなかに沢山生息し、樹皮を 食し、森林を荒廃させている。稲村ヶ崎でもよく観光客に餌をねだっている。山のなかを散歩しているとガコガコと大きな警戒の泣き声をあげてくれる。

ここに越してきて、30年近くなるが鎌倉高校まで拡大してきたタイワンリスも我が家の南斜面の緑地までは進出していなかった。しかし2011年10月ころ から鳴き声がこの南面でも聞こえるようになった。

2013年2月には南面のシロダモの木でその姿を目撃。 2013年3月にはエントランス脇に置いてあるパンジーの花の上に置き土産があった直径1cm弱の巨大なもので果たしてリスの糞かと思ったが、少し大きす ぎる。1週間後にカラスが同じようなものをくわえてベランダをよちよち歩いているのを目撃。もしかしたらご近所がネコの餌にしているのをカラスが失敬して パンジーの鉢にやってきてそこで花の上に置き、花をつまんで食べたとも考えられる。



タイワンリスの糞? (2013/3/20)

アライグマ

2010年7月 一時は野生化したアライグマが子供を連れて庭から家の中をのぞいていた。かわいい。近隣で餌を与える人がいるらしく、夜、餌を期待して近寄ってくる。朝起 きると、水鉢の縁やベランダのタイルの上に彼の足跡がついていたり、水鉢の中に糞を残しているのがよくみられた。 足指の数が5本である。

racoon.jpg (3711 バイト)

水鉢の縁に残されたアライグマの足跡 (2001/2/3)

近くの家の基礎の潮風で腐食した通風孔の金網を壊して床下に進入し、天井裏にもぐりこんで子供を産み育てはじめた。親を捕獲しても子が中に残ったのではま ずいと燻蒸剤を焚いたが効果が無い。鎌倉市に有害鳥獣捕獲申請をして捕獲用の罠を借りて親を捕獲しても、子は用心深く出て来ないので困っているという。だ いいち捕獲用の罠にはノラ猫がかかってしまう。鎌倉市では2001年度はアライグマは138匹捕獲されたという。タイワンリスの捕獲数は69匹とか。

アライグマは北米原産の外来種であるため、生態系を乱す。餌は与えないことにしていた。山から出て住宅地をうろついてヘッドライトの中で目が光ることがあ る。また南斜面には彼らがあるく獣道がくっきりと分かる。こうして約10年間仲良く共生した。両隣は別荘のため、アライグマ一家にとっても安全な隠れ家で あったらしく、ファミリーの構成員の数も増えた。自家製堆肥にしようと生ゴミを庭にいけても掘り返すし、水盆の中に糞をするなど迷惑となってきた。 2010年に至り、アライグマが米国ではアラ イグマ回虫が寄生していて、ネズミ、ウサギ、ヒトがその虫卵を 経口摂取すると幼虫移行症を引き起こし、致死的な中枢神経障害の原因となるということを知る。本家の北米では多数報告されている。日本の動物園および観光 施設で飼育されているアライグマには本虫の寄生が見つかっているので、いつ日本で発症してもおかしくない。幼虫移行症とはアライグマ回虫はアライグマ以外の動物で は成虫になれないが、幼虫が体の中を這い回り、脳にはいると致死的な中枢神経障害を引き起こすという。アライグマ以外の哺乳類にとっては恐ろしい回虫であ る。 これは北キツネのエキノコックスと同じ症状だ。エキノコックスも本州を南下中というので注意が必要である。

ことここに至り、2010年7月捕獲を決意する。市役所に捕獲用のワナを依頼するとすぐ持ってきてくれた。餌をとりに金網の檻に入り、踏み板に乗ると扉が 落ちる仕掛け だ。降りた扉はラチェットをはずさない限り開かない。檻がひっくり返るとラチェットが外れるので平らなところに仕掛けよという。とりあえず1週間貸してく れるという。餌は野良猫が入らないようにリンゴかバナナを一切 れ入れると良いという。翌日が市役所の休日のときはワナをしかけると長くワナに閉じ込めることになり、獲物は直射日光や脱水により死んでしまうので仕掛け てはいけない。死んでしまったら、市は死体の廃棄処理はしないという。

夕刻ワナを仕掛けてすぐ子どものアライグマがかかった。時々、親が近くにいるのかプリュリュウというカワズのような悲しげな鳴声には悩まされた。翌朝直射 日光で死なないようにワナの上にダンボール紙を置く。近寄るとガッと威嚇する野獣性は十分。 ワナの廻りに親の足跡を多数見つける。市はワナ毎アライグマを回収する。そして洗って消毒した別のワナを持ってくる。ワナを仕掛けたベランダの床が汚物で 汚れているので水洗して洗う。 この糞の中に恐ろしい回虫の卵がある可能性大なので下水によく洗い流す。

しかし2日目はかからない。かなり賢い。入り口の方向を180変えたりといろいろ試みる。 ところが、腹が減っては戦ができないとばかりに3日目には今度は母親がかかった。近づいても威嚇することもなく、「やあ、お前か」とでもいいたげな一瞥を くれるだけで、静かにして毛づくろいをしている。係員はオッパイがあるのでこれはメスだ。メスはおとなしいという。2匹捕ったところでワナが不足し、しば らくお休みとなった。

捕獲された母アライグマ (2010/7/27)

しかしまだ新しい足跡がある。アライグマの家族の残り1匹が残っているのだろう。1ヶ月程様子を見たが、毎晩のように玄関側にある水盤をかき回しにくる。 ホテイアオイが水盤から落ちているし、玄関と脇のセンサーライトが点灯するのでそれとわかる。捕獲を再開するとすぐ3匹目がかかった。おとなしいのでメス だろう。

これで菜園の産物も安心して食べられると思いつつ、完全捕獲できたか確認するために再度ワナを仕掛けた。日除けのダンボールをワナの上に置く。夜9時にフ ラッシライトでワナを照らすと4匹目がワナの上に伸び上がって、上に置いた日除けのダンボールの厚紙を持ち上げれば中のバナナをとれるのではと何回も押し 上げているのを見てしまった。4匹目が居たとはおどろき。ダンボールの厚紙をはずそうと夢中になり、反対側に入り口があるのに気がつかない。かなりそそっ かしい。翌朝バナナが黒くなって残っていたから、あきらめてしまったらしい。ダンボールの厚紙を乗せたのが失敗。2日目の夜、ダンボールの厚紙を乗せずに 新しいバナナを入れたが、今度はドアが閉まらず、餌だけ失敬されたのを夜半に気づく。どうも扉が落ちなかったらしい。ラチェットの爪に潤滑油が塗ってない のがいけないらしい。早速新しい餌を入れたが、満腹の君はその後寝込んだと見える。3日目はラチェットの爪に椿油を塗り、バナナを入れる。見事10時頃、 例の泣き声が聞こえたので確認すると4匹目 のアライグマがかかっていた。よく鳴くのでオスなのだろう。はたまたまだ仲間がいるのか?

仕掛け 回数 エサ 入り口方向 捕獲動物 状況
1 バナナ アライグマ
オスの子ども
2 バナナ × 入り口の方向を東から西に変えたりといろいろ試みるがだめ
3 バナナ 西 アライグマ
4 バナナ アライグマ メスの子ども
5 バナナ × ダンボールの厚紙をはずそうと夢中
6 バナナ × 餌だけ失敬された。扉が落ちなかった
7 バナナ アライグマ オスの子ども

タヌキ

野生のタヌキも後背地の山に住みついている。これは害獣ではないが檻にはいることがある。lこれは直ちににがしてやる。1985年頃、広町緑地の小谷ヶ谷 を散索中、その死骸を目撃したこともある。ときどき広町緑地を出て七里ヶ浜 界隈の道路を横断中のタヌキがヘッドライトの中に目を光らせて立ちすくんでいるのを目撃する。2002年11月5日にはそのうちの一匹がついに交通事故死したこともある。

いまでは野生のタヌキと在来のリスはアライグマとハクビシンに生活圏をうばわれたのかと思っていた。ところが、アライグマを退治したらチャッカリと帰って きた。というより活動時間帯が明け方らしい。玄関口の水盆で遊んだ形跡があるのでアライグマの5匹目がいるらしいことが分かったが、3回とも檻には入らず 、外からバナナを食べようとした跡ばかり残っている。檻に入ろうとしないようなので通り道である西側に入り口を向け、入り口にも小さな餌をおくと4回目に してようやくつかまる。しかしこれは狸であった。市の係官は駆除対象でないので逃しますかと聞く。飼ってもおけないのでそのまま逃がす。 はじめおずおずと檻からでるが自由と確信するとサッと姿を消した。タヌキ回虫は人への病原性は認め られていないそうなので問題ないだろう。 そういわれてみればタヌキの足跡は細長いアライグマに比べ丸っこい。

タヌキ (2010/9/8)

仕掛け 回数 エサ 入り口方向 捕獲動物 状況
8 バナナ × 檻を引っ張った形跡。入り口に気が付かないのか、用心しているのか
9 バナナ × 檻を引っ張った形跡。入り口に気が付かないのか、用心しているのか
10 バナナ 西 × 一切の形跡なし
11 バナナ 西 タヌキ
明け方3時以降にタヌキがかかった。これは在来種で害獣指定ないため逃がす

鎌倉市のほうからは野獣捕獲許可申請書を提出するようにと書類を送ってきた。 ウシ型結核は牛だけでなくアナグマにも感染することが分かっており、イギリスで感染源淘汰のためにアナグマ駆除が行われてた。ところがアナグマを殺せば殺 すほど、牛の結核が増えることがネイチャーに報告されている。この理由としては、アナグマ狩りを行った周囲の牛結核は減るのだが、近隣の地域の結核は増え る。すなわちアナグマが処分を逃れて移動するためではないか、といわれている。こういうのを本当のイタチごっこというのであろう。

ハクビシン

2011年に入り、またテラスに足跡がのこるようになった、アライグマ(長い)とタヌキ(丸い)と中間でどちらか判別がつかない。足跡が丸いか細長 いかで判定しようとしたが中間で判別がつかない。タヌキを捕獲しても無意味だと決心がつかなかった。(後でアライグマとハクビシンの足跡の足指の数は5 本、タヌキの足跡のそれは4本と知る)しかし、あまりに傍若無人にテラスを汚すし 、庭を掘り返すので、再び市に連絡して檻を借りる。なかなかしぶとくかからない。餌だけ失敬して逃げてしまう。餌のつけ方をいろいろ工夫して4回目にして ようやくかかる。しかし驚くことにこれはハクビシンであった。まだ子供のようで、はやばやと夜の8時にかかっていた。近寄るとガッと威嚇するのはアライグ マのオスとおなじ。市委託業者によれば今日の回収は3頭目だというから、鎌倉だけで年に1,000頭は捕獲されている計算になる。

ハクビシン (2011/3/4)

仕掛け 回数 エサ 入り口方向 捕獲動物 状況
12 バナナ 西 × 檻を引っかく音を聞くが。入り口に気が付かないのか、用心しているのか入らない
13 バナナ × ラチェットに食用油を塗るが、落とし戸が閉まらない。バナナを檻の外に持ち出して皮をきれいに剥いて 食べる
14 バナナ × 檻に入った形跡なく、檻の隙間からバナナをみじん切りにして掻き出して食す
15 バナナ ハクビシン
檻の隙間から掻き出されないようにバナナを檻の天井から釣ったところ、午後8時には捕まえることがで きた。ハクビシンのようだ。

実は2002年ころからハクビシンも出没するようになっていた。中国原産の外来動物(在来種との説もある)という。夜行性で、昼間は住処に潜んでい る。2002年2月27日には昼間水呑みに現れた。ネコを少し 大きくした大きさである。鼻スジが白く、尾に縞模様がないのでアライグマではない。後ろ足がカンガルーのように大きい。アライグマ程かわいさは無い。夜は ハクビシン、昼はノラ猫とすみわけていたようだ。しかしアライグマ一家が出現していから居なくなった。ただ崖の下のお宅ではハクビシンしか見なかったとい う。

ハクビシンは屋根裏に入り込むと糞尿が屋根裏に溜まり、異臭、ダニなどの被害がでる。また菜園を荒らすということもするのでやはり害獣で、駆除しな ければならない。

捕獲再開

2011年3月福島原発事故で捕獲どころではなくなり、2013年2月まで2年間何もしなかったが、次第にベランダに残る足跡が増えてきた。ダニも 運ぶということで、やむ を得ない、捕獲再開を決意。市役所にアライグマ、ハクビシン、タイワンリス捕獲許可証をもらい、罠をしかけるとすぐアライグマがかかった。以降1週間の記 録は下記のとおり。

仕掛け 回数 日 時
エサ 入口方向
捕獲動物 状況
16 13/2/21
リンゴ

アライグマ
おとなしい個体であった。多分メス
17
13/2/22
リンゴ
x
足跡が多数あり、エサのリンゴは盗まれた。エサ1個では扉が落ちる前にエサだけくわえて持ち去ること ができるようだ。次回から2個にしよう。
18 13/2/24
リンゴ
x
エサ2個にした。しかし、新しい足跡もなく、獲物は来なかったようだ。
19 13/2/25
リンゴ x
エサ4個にした。しかし、新しい足跡もなく、獲物は来なかったようだ。
20
13/2/26 バナナ
x
バナナ4つに切ったが、雨のためか、御出馬なかった模 様。
21
13/2/27
バナナ

X
バナナ4つ切り、よく見れば足跡アあり、しかし罠には そっぽ。エサを再びリンゴに変えるか。
22
13/2/28
リンゴ

X リンゴ3つ切り、春一番の風で罠のドアが落ちていた。エ サは手つかず。
23
13/3/2
リンゴ

x

週末は役所が休みのため2日休憩。仕掛けの蓋を落したが エサはそのまま。日曜日の朝みると檻自体が移動している。餌は手つかず。これならまだ見込みはある。
24
13/3/3 リンゴ

x
みごと してやられた。3切れのリンゴのうち2個は失われ、罠の扉は閉じ檻全体が180度向きを変えていた。かなり大きな個体らしくドア半開きのなまもがいている うちに後ろ脚で檻が180度回転したらしい。次回はエサを天井からつろうと思う。鎌倉市にもっと大きな檻があるかどうか?
25
13/3/4
リンゴ

x みごと してやられた。3切れのリンゴのうち2個は失われ、天井からつ吊るした1個も取られた。罠の扉は開のまま。踏み板が小さすぎて首をのばせば餌だけ失敬でき てしまう。
26
13/3/7
リンゴ

x 気を取り直してリンゴを刺したフックに凧紐をつけて天井 から吊るし、この紐の他端を檻の蓋を止めている爪に結んでリンゴに食らいついたら蓋が落ちるように改造。しかし強風に重いリンゴがゆれてヒンジ型扉がし まってしまう。

ヒンジ扉からスライド扉の罠に交換

26回使ったヒンジ扉は45°に閉まりかけのの段階で尻が外にでていれば後ずさりして逃げられる。市に別のタイプないか問い合わせると扉が垂直に落ちるス ライド扉の罠をもってきてくれた。エサの乗ったトレーを引っ張るとラチェットが外れ扉が落ちる仕掛け。これで11回仕掛けたが姿を見せる気配がないので、 中断し、檻は市に返還。しかし、檻撤去後3日目の2013/3/28にはベランダに足跡があったので警戒して出没しなかったことのようだ。



ヒンジ扉は逃げられるのでスライド扉の罠に交換

仕掛け 回数 日 時
エサ 入口方向
捕獲動物 状況
27-38
13/3/10-26
リンゴ

X
出没気配なし


2001/2/3

Rev. March 28, 2013


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