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99/10/1作成
1999/9/30、東海村で発生したあまりにも有名な臨界事故の現場写真。核燃料サイクル開発機構の高速実験炉「常陽」の燃焼試験用のMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)のウラン部分の製造を担当していたJCOが引き起こした。
ウラン235を一定量以上集めれば臨界反応が開始されるという物理学の基本教育を作業員にせず、生産性を挙げることのみを奨励したため、作業員がこれに応えるべく工夫してバッチ処理量を上げたために発生したジョークのような臨界事故。 バケツで素手で入れたというのだから作業員だけでなく指導する技術者もイロハがわかっていない事故である。日本の程度はこの程度のお寒い事情なのである。
析出容器の寸法は直系50cm、深さ70cmで16kgの溶液格納容積がある。3.5%のウラン235溶液はこのサイズでは連鎖反応は起こさない。事故は18.8%のウラン235を処理しようとしたことから生じた。18.8%の場合は安全のため2.4kgしか入れてはいけないことにしてあったが、それ以上入れてしまったのである。臨界は16kgの溶液が入ったところで発生した。冷却水ジャケットの水とオペレーターの体の水分がファットマン効果を生じたとされている。2人のオペレーターはチェレンコフ光を見たと証言して死亡した。
臨界状態は17時間後に決死隊が屋外の水配管を壊して冷却水ジャケットの水を抜くことでとめられた。
日本で臨界事故が起こりうるというこの事故で日本政府が喧伝してきた原発安全神話は崩壊したといえるだろう。茶番劇として事故調査委員会委員長の元東大学長の吉川弘之氏が報告会で「直接の原因は全て作業者の行為にあり、責められるべきは作業者の逸脱行為である」と述べたのは政府にすりよる学者の悲しいサガではあったのだが。
ー高木仁三郎「原子力神話からの解放」
詳しくは「失敗知識データベース」でJCOで検索。
Rev. October 13, 2009