カルネの取得

国境を越えて自家用車または自動二輪などを関税なしに持ち込むための国際協定を取り仕切る組織はAIT&FIA Customs Secretariatというが、そこの情報によればアメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国はカルネ(AIT/FIA Carnet de Passages en Dounane)なしに自由に持ち込める。しかし日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、南米、アフリカなどはカルネという書類が必要となる。

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カルネの表紙(A4)

日本ではカルネは社団法人日本自動車連盟(JAF)が発行してくれる。以下カルネ取得までを段階を追って説明する。

(1)申請にはまずJAFに電話して申請書類一式を郵送してもらうことから始める。

(2)居住地の役所に行き、外国を自家用車(バイク)で旅行しようという本人と、一緒にその国に旅行せず、かつ印鑑証明をとれる親族などの印鑑証明書を各2枚取得する。

(3)当該車両の車検証とパスポートを持ってこの車検証を発行した運輸局陸運支局に出向き、登録証書(REGISTRATION CERTICICATE)という英・日対訳つきのハガキ大のピンク証書を1枚取得する。内容は車検証を英訳したものと思えばよい。発行者の英名はDirector-General of Kanagawa Land transport Branch of Kanto District Transport Bureau, Minister of Transport Japanとなっていた。需要が少ないため発行システムは自動化されておらず手書きである。発行日付はゴム印を不用意に使うので西暦表示でなく平成表示である。JAFに指摘された時はすでに遅く、ニュージーランドで問題にならないことを祈る。陸運支局の門前にいる代書屋は全く役立たず。陸運支局でも職員が不慣れで窓口をさがすのも一苦労であった。ただ役所も気を使って発行料は無料である。

(4)車に積んでゆくスペアパーツやパーソナルアイテムズリストを作成する。当然無税にするためである。持ち帰りが条件となる。そしてその単価と合計を円表示で示す。これにも厳格な様式があって、JAFのサンプルと全く同じに作成しなければ作り直しさせられるはめになる。特に表は欧米方式の枠なし、アンダーライン方式で円の数値の前に¥マークをつけるのがポイント。全てExcelで作成可能。工具一式と盗難防止ケーブルロックなどはパーソナルアイテムズリストに入れるのだそうである。

(5)JAF様式に厳密に従って、旅行計画書・旅行ルートを作成する。人は飛行機、車は船で出入国の日時が違う。これを全て明記しなければならない。飛行機は予約した日。船もバイクの場合は積載日と出港日はおなじであるが、積載日を記入しなければならない。ただ車の帰りの船が確定していないときはおおよその推定日でもOKとのこと。ルート図用の地図はスキャナーで読んで、Wordに貼り付け、ここに矢印でルートを記入して作成した。

(6)近くのコピーマシンで車検証のコピー1枚作成する。

(7)カルネ申請書用紙に記入し、本人と保証人の実印を押す。JAF会員番号があると会費より大きな手数料の値引きがあるので会員になる。本人の生年月日も含め年はすべて西暦で記入することがポイント。パスポート番号、E-メール、携帯すべて記入すること。カルネ枚数は1国だけなら5枚物でよし。2枚使うだけだそうである。担保は掛け捨て保険とする。国際ナンバープレート、Jマークなど全て申し込むとJAFが作ってくれる。

(8)車両に関する記載は車検証の通りに記入する。エンジン番号は車検証には記載ないので、エンジンの刻印から読み取る。年式はメーカーの年式ではなく日本ではじめて登録した年の西暦を記入する。通関業者に電話し最初にカルネを使う日を確認してその日を西暦で記入すること。メタル製の工具箱などは特記する。ロックしないでおかないと通関の時、鍵を壊されるそうである。長大な無線アンテナは折り曲げておけば自走ができないし、立てておけば邪魔になるようであれば小型のものに交換しておいたほうが無難のようである。バイクではスペアパーツはプラグがあるが、無しですますことにした。輸送費には保険は含まない片道料金を記入せよと言われ、ランプサム契約しているため往生した。

(9)誓約書は本人と保証人のサインと実印の捺印のため問題なし。

(10)自動車一時輸入書類保証保険申込書の記入も本人と保証人のサインと実印の捺印のため問題なし。

(11)自動車一時輸入書類保証保険申込書付属告知書は書き込んではいけない日付けがあるので注意が必要。

(12)以上の書類全てと実印を持って文京区のJAFに出向き、1階で会員登録し、4階で申請書を提出する。ここで書類の不備が見つかればそこで修正し修正印を押す。

(13)10日後、JAFに出向き、カルネ、国際ナンバープレート、Jマークを受領する。このときクレーム処理預り金を預ける必要あり。(預り証は大切に保管すること)

(14)通関業者に船の予約とオールリスク海上保険を付保するために車検証のコピーと車の時価をファックスする。保険料は時価x1.1x0.0065である。

(15)船への積載日の7日前の12月17日、大黒埠頭の運送業者に自走またはトラックでバイクを持ち込む。

(16)運送業者に渡すまでは日本のプレートで自走し、手渡す直前に国際ナンバープレートに交換し、自国プレートは持ち帰る。帰国後は逆の操作をする。国際ナンバープレートを保管しておけば次回にも使える。国際ナンバープレートは2本のナンバーをアルファベット表示したものである。

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国際ナンバープレート

(17)船への積載、アンロードは全て自走で行うためエンジンキーを、通関のため、カルネ原本(盗難車の輸出防止のため税関が使う)と車検証を運送業者に渡す。通関後はカルネはまとめてNZに送る。

(18)自車持ち込みの場合は国際運転免許の取得は必須ではないが、レンタルの場合は必須。

(19)ニュージーランド到着後、自動車保険に加入する。(円換算はNZ$=60円)

持ちこみ車に対してはニュージーランドで有効なバイクの対人・対物賠償保険はニュージーランドでACC(事故補償機構)に任意保険の手続きする。


対人対物、合わせて1事故につき、NZ100万ドルまで(約6,000万円)
同乗者(死亡時)は、NZ10万ドルまで(約600万円)
車輛保険は一律、NZ6万ドルまで補償(約360万円) 
本人(ライダー自身)の補償は含まず。
車輛の免責額は、NZ1000ドル(約60,000円)
盗難の場合は、NZ1500ドル(約90,000円)NZでは過去に虚無申告があった為「盗難」に別枠がきめられた。
保険料は対人、対物、同乗、車輛のセットでNZ$381(約22,860円)。

(20)ニュージーランド到着後、現地にて走行許可証を取得する。

(21)帰国後、車と使用済みカルネを運送業者からうけとったら、カルネから英訳登録証書を取り外したカルネ原本とクレーム処理預り金の預かり証をJAFに返還すれば(郵送可)、3万円の預り金を返してくれる。英訳登録証書は別途陸運事務所に返却する。

(22)もし預かり証を紛失してしまった場合は、クレーム処理預り証紛失届に必要事項を記入し、3ヶ月以内の印鑑証明1通を(21)に添付すれば預り金を返してくれる。

2001/12/20

2002/9/10追補


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