スターリング・エンジン

この小型モデルは学研社の組み立て式の市販品 を組み立てたものである。 スターリングエンジンは外熱式往復動熱機関である。いろいろな形式が考案されているが学研社のものは耐熱ガラス製試験管 をシリンダーとし、試験管の開口部をクランクケース側とし、シリンダー外壁には放熱用のフィンを装着してヒートシンクを構成している。そして蓄熱材をディスプレーサーとして加熱冷却の伝熱面の制御を行うものである。

本方式以外にもソリッドのディスプレーサーを使うもの、ピストンとディスプレーサーを別のシリンダーに組み込み両者をパイプで連結するものなど多種ある。

作動の詳細は ヒートソースであるアルコールランプでの底を加熱する 。ガラス製シリンダー中には細いロッドに連結されたステンレスワイヤーメッシュ製の蓄熱材(ディスプレーサー)が挿入され、リバース・ダブル・クランクによりシリンダー内を往復運動させる。試験管の開口側半分は冷却部となっていて開口部にピストン挿入されている。中の空気がランプで暖められるとピストン は押し出されてクランクが回転運動に変換する。リバース・ダブル・クランクが蓄熱材をピストンより45度早い位相で往復運動させる。ピストンがシリンダー中の空気 を圧縮して上死点に達して膨張に転ずるとき、一足早く上死点に達していた蓄熱材はピストン側に動き始め内部の空気は蓄熱材とシリンダー内面により暖められる。ピストン が膨張工程を終え下死点で圧縮に転じようとすする時、いち早く蓄熱材は上始点に移動して加熱を止め、冷却を優先する環境を作る。

1970年代のオイルクライシスの折、GMなどによって熱効率の高いスターリングサイクルエンジンが研究されたが、大型で重く、自動車エンジンとしては不適と判断された。 耐熱材、ヘリウムなどを高圧に封入しつつ動力を取り出す仕掛けがなかったためである。フリーピストンなどの封入を維持し動力は電磁気的にとりだせば、また新たな展開があるかもしれない。

しかし外熱式閉回路のガスタービンは熱力学的にはスターリングサイクルと等価なため開発はこちらになるのだろう。

しかし外燃機関のため、 何でも燃せる特長を利用してヨーロッパ製の60kWのエンジンを輸入して小規模バイオマス発電などに実用化されつつある。

2006/11/21浮上中タンカーと接触事故をおこした海上自衛隊の練習潜水艦あさしお(2,900トン)はスターリングサイクルエンジン駆動である。 主要寸法は78x10x10.5x7.7(長さ、幅、深さ、喫水)であったがスターリングサイクルエンジン搭載にしたため全長が8.5メートル伸びた。

Rev. November 26, 2009


 

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