言語録

シリアル番号 日付

1342

2010/3/7


名言 爵禄(しゃくろく)百金を愛(おし)みて敵の情を知らざる者は、不仁(ふじん)の至りなり
言った人、出典 孫子
引用した人、他 「間諜に爵位や俸禄、わずかな金を与えることを惜しんで敵情を知ろうとしない者は、兵を犬死にさせる配慮の欠けた人間だ」と富士通の社長を追われた野副州旦氏がIBMのスパイ兼ロビイストとして米国に居た頃の心情。ー経済ジャーナリスト 街風隆

元電電公社総裁秋草篤二を父に持ち、富士通に君臨してきた秋草直之社長がずぼらなシステム開発契約で大損失を出し、倒産の瀬戸際に追い詰められた後、再建を引き受け2003年社長になった黒川氏の下で厳密な管理で黒字体質にしたのが野副州旦氏。そして功績を認められて2008年社長になるが結局、性急な改革をおそれた秋川相談役によって急に2009年社長を解任させられる。

秋草氏は1998-03年まで社長、03-08年まで会長を務め、富士通のドンと呼ばれている。同社で騒動が絶えないのは、「秋草相談役が院政を敷いてきたことが大きい」といわれている。「院政の発端は03年の首脳人事だ。業績不振の責任をとって秋草社長(当時)は辞任するとみられたが、会長、副社長は辞任したものの、秋草氏は会長兼最高経営責任者(CEO)となって最高実力者に上り詰めてしまった。以来、秋草氏が役員の人事権を握り、富士通のドンとして君臨してきた」

ある投資銀行首脳は、「日本で初めて、モノではなくサービスを輸出するビジネスモデルを築く可能性があるのが野副州旦氏の富士通だ。だが、戦略性と実行力を持ち合わせた類いまれな経営者を失ったことで、構造改革案件のほとんどがストップしてしまった」と言う。

だが、改革者が社内すべての人びとから支持されるとは限らない。改革が大胆かつ急進的であればあるほど、穏やかな変化を望む人びとにとっては性急に映り、不安が募る。両者のあいだで摩擦が起こり、軋轢となる。それが高じれば、互いに嫌悪すら生まれ、排除の論理が動き出す。多くの日本組織がたどった道である。「野副は性急過ぎた」と、少なからぬ人が口にする。彼らにとって野副前社長辞任は、「見たい現実」だったのかもしれない。

しかしその代償は富士通自滅の道か?現実に2007年から業績は再び下降線を辿っている。解任の事情が病気による辞任と虚偽の公表したために社長解任は不当との 訴えが野副州旦氏よりだされ、富士通役員会は難題に直面している。株主達はどう判断するのか。

しかし興味深いのは秋草以降の歴代の富士通社長が文系であることである。このような文系支配の企業では技術者はおかしくなってしまい高度な技術開発能力は失われる。NECも日立も降りた後、富士通には無理ではないかと思っていた理研のスパコン開発を民主党が予算仕分けでカットしたのは正しい判断だったことになる。

 


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