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944

クオリア理論

2005/06/30

ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院客員助教授、東京芸術大学非常勤講師の脳科学、認知科学者茂木健一郎氏のかがげる「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を説明せんとするもの。

松岡正剛の千夜千冊で紹介シテイル茂木健一郎著「脳とクオリア」には;

モギ君が本書で提案していることは、乱暴に要約していうと、「私」の意識や認識は発火したニューロン間の"連絡関係"によってつくられていて、このときの脳の中のモダリティを決定的にしているのがクオリアではないかということである。

モギ君はこのことをできるだけ論理的に導くために、次の手順をとった。第1には、脳科学と神経生理学上のさまざまな研究事実とそこから組み立てられたいくつかの仮説を検討して、そこから何を切り捨て、何を採用するかということを決断する。

第2には、マッハの原理やミンコフスキー時空モデルなどを援用して、ニューロンの反応選択性がもつ本当の「意味」を絞りこむ。マッハの原理もミンコフスキーの幾何学も、そもそもがアインシュタインの相対性理論の下敷きにあったものだから、これらはとびきりマクロな世界観のための材料なのに、モギ君はそれを一挙にミクロのニューロンのしくみの説明に用いてみせたのである。

そして第3に、これらを存分に準備したうえで、発火したニューロンのネットワーク間の中におこっているであろう「相互作用同時性」と「統合された並列性」こそが、「私」の意識や心を組み立てている最も重要な特徴であることをいくつかの道筋で論証する。

茂木氏の対談集「脳の中の小さな神々」は知性の本質は渋谷でナンパすることにある?、人間の脳は不確定性に対処するためにできた、脳を見張っているのは誰だ?、科学革命はいかにして起こるかなど刺激的な言葉がでてくる。


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