メモ

シリアル番号 表題 日付

960

ボルスタレス台車

2005/05/07

●名前の由来
旧式台車(まくらはり式台車、ダイレクトマウント台車):車体と台車枠の間にまくらはり(ボルスタ)があるもの

新型の新幹線、在来線に使われる台車(ボルスタレス台車):車体と台車枠の間にまくらはり(ボルスタ)がないもの

●車体−台車間のけん引・ブレーキ力の伝達経路

ボルスタ台車:車体−ボルスタアンカー−ボルスタ(まくらはり)−中心ピン−台車枠

ボルスタレス台車: 車体−中心ピン−けん引装置−台車枠

●車輪と車軸が一体になって回転し車輪踏面に勾配がある場合に必然的に発生する台車だ(蛇)行動は限界速度を超えると急に激しくなり、収束することがない。その対策は

ボルスタ台車:側受けの摩擦で減衰させる⇒信頼性低い

ボルスタレス台車:ヨーダンパをつけて減衰させる。ヨーダンパの特性をだ行動のような高い振動に対しては固く、曲線通過時のようにゆっくり変化する場合は柔らかくなるように工夫

●空気ばね

ボルスタ台車:車体−まくらはり間に設置。横剛性(復元力)の大きいものが使わる

ボルスタレス台車: ボルスタレス式台車が車体に対し回転するためには空気ばねが横方向にずれるような変形をしなければならない。従って低横剛性の空気ばねをつかう

●台車・車体間を結合し、駆動力や制動力を伝達するけん引装置

ボルスタレス台車: 1本リンク方式。前後力を確実に伝達しながら、車体・台車間の上下、左右、ヨー(台車旋回)等の動きを拘束しないようにリンクにはゴムブシュ等を入れ、かつ横振動吸収のための左右動ダンパや大きな変位に至らないようにゴム製のストッパ等を取り付けるなどを工夫がされている。

以上参考資料から

●JR西日本の横転事故との関連に関する私の考察
ボルスタを省略することで軽量化し、ヨーダンパーで蛇行行動に対して対応できたが、低横剛性の空気ばねを使わざるを得ず、急カーブで重心の横移動が生じ やすい。半径300mのカーブで108km程度の進入速度で横転事故を発生させた可能性は車体、台車の軽量化と空気ばねの柔軟さに起因する重心の移動のしやすさのから考えられるのだろう。空気バネのパンクも考えられるし、両側の空気ばねを結ぶ均圧ラインと均圧バルブの作動が正常であったかも検証が必要だろう。

新技術はかならず欠点を伴うもので、この弱点を補完するATS-P導入などの対策なしにこの台車を導入した技術陣の想像力の欠如とスピードアップの鞭を振るい続けた経営陣の無知がなせる業かもしれないなとおもう。

対策としてはカーブでの制限速度を守るATS-Pなどのバックアップシステム導入か、台車ー車体の回転方向には低横剛性を持つが、台車ー車体の横移動ならびに 車体と台車の捩れに高剛性をもつ空気ばね (上面板に前後方向と左右方向とで異なる勾配を付けて回転方向に柔らかく左右動に対して適度に固くすることで異方向の剛性を持たせることは行われているが不充分)の開発、または横移動 を防止する左右動ダンパの強化ならびに車体と台車の捩れを制限する新たなダンパーの設置など考えられる。今回はヨーダンパーが車体と台車の捩れを制限する 役割を担って耐え切れずちぎれた可能性がある。


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