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926

神経伝達物質

2005/02/13

神経伝達物質神経細胞のニューロン間で信号をやりとりするために必要な物質。精神活動の面で重視されるのはγ-アミノ酪酸(GABA、γ-aminobutyrate )、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン。特にドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンを総称してモノアミン神経伝達物質と言う。モノアミン神経伝達物質は、情動に大変大きな働きを起こし、また多数の脳内の部位に大きな影響を及ぼす。人間は何らかの刺激を受けると、大脳でまず解析し、その後海馬に送られる。海馬から「パペッツの回路」(海馬体-脳弓-乳頭体-視床前核-帯状回-帯状束-海馬傍回-海馬体という閉鎖回路)と呼ばれる各部位をめぐる流れに乗り、そこで感情が生まれる。生まれた感情はふたたび大脳に取りこまれ、長期記憶などになる。

<ドーパミン>
快感を増幅する神経伝達物質といわれ、脊椎近くにある腹側被蓋野”A-10と呼ばれる”という原始的神経核からはじまって、高度な人間らしさを司る前頭葉まで達している神経路が快感神経系と呼ばれている。この快感神経系のスイッチを入れるのがドーパミンでA-10神経系で作られる。快楽神経系が興奮すると、ヒトは快感を感じ、身体の動きが活発になり、ユーフォリア(多幸感。ハイな感じ)になる。ドーパミンは覚醒剤ととてもよく似た構造を持つので、覚醒剤を使用するとドーパミンが放出された時と同じような「ハイな感じ」を得ることになる。ドーパミンを抑制するのがGABA(ギャバ)神経と呼ばれる神経系で、ドーパミンを細胞内に取りこむことでドーパミンの過剰消費を防ぐ。しかし、このGABA神経による抑制機構が快楽神経系の末端(前頭葉)では欠けているため、ドーパミンが前頭葉で過剰に消費されることがある。また、GABA神経には脳内麻薬様物質(オピオイド)を放出する神経細胞がつながっていて、麻薬様物質の放出を受けると、GABA神経の抑制作用が弱められてしまう。

<脳内麻薬様物質(オピオイド) >
最期にもたらされる残酷な救い物質といわれる脳内麻薬様物質(オピオイド)は交感神経系の興奮によって、GABA神経系から分泌されるエンケファリン、β-エンドルフィンなど。オピオイドは阿片などの麻薬に極めて近い構造をもつ。オピオイドの大量分泌により、精神活動の麻痺や感情鈍麻といった状態に入る。これは、闘争も回避もできない深刻なストレスにさらされた生物に「最期の救い」をもたらす。精神活動の麻痺や感情鈍麻によって、完全な降伏と受身の態勢をとり、現実感のなさによって、生物は「静かに捕食者の餌食」となる。長期間反復的に回避不能のストレスにさらされた個体は、退薬症状(禁断症状)を呈す。オピオイドの過剰放出は、大脳辺縁系の扁桃体、海馬などにダメージを与える。扁桃体に損傷を受けた個体は、「恐ろしいもの」「いやなもの」に直面しても、避けようとしなくなる。マラソン中にオピオイドが分泌されることはわりと有名で、マラソンによってオピオイドが分泌された状態のことを「ランナーズ・ハイ」と呼ぶ。

<ノルアドレナリン>
意欲と生き残るために必須の神経伝達物質と呼ばれる。脳幹の青斑核からはじまって、大脳辺縁系、視床下部、小脳などに広く分布している神経系が、アドレナリン作動性神経系と呼ばれている。アドレナリン作動性神経系とA-10神経系は相互に連絡しあうことが知られていて、片方の興奮が他方に伝わるという関係になっている。ヒトは恐怖・驚愕の体験に遭遇すると青斑核からノルアドレナリンを分泌し、闘争か逃避かの態勢に入り、ストレス体験を終息させるための行動に入る。

<セロトニン>
落ち着きと安定感をもたらす神経伝達物質と呼ばれる。 脳幹の縫線核から網様体の、比較的せまい範囲にあるのがセロトニン作動性神経系である。せまい部位にあるが、他の神経系と連携しているので、広い範囲に重要な影響を及ぼす。セロトニンは他の神経系に抑止的に働くことで、過剰な興奮や衝動・抑うつ感を軽減する。セロトニンが不足すると、鬱状態になったり、暴力的になったりする。

<テストステロン>
アンドロゲンに属するステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種。哺乳類のオスでは睾丸から、メスでは卵巣から主に分泌されるが、副腎からも微量ながら分泌される。 筋肉増大、タンパク質同化作用の促進、体毛の増加の作用をもつ。 女性の男性ホルモン分泌量は男性の20分の1で、陰毛の発毛に関与する。胎生期、妊娠6週目から24週目にかけて大量のテストステロンが分泌される時期があり、これに曝されること(アンドロゲン・シャワーと呼ばれる)によって、脳は女性的特徴(ホルモン分泌の周期性)を失う。なお、男性外生殖器の形成に関係するのは、5αリダクターゼにより、代謝されたジヒドロテストステロン (DHT) によるもの。思春期以降の男性では睾丸からの分泌が顕著に増加し、男性的な身体の特徴が形作られる(二次性徴)。一般に30歳ごろから減少しはじめ、年1?2%の割合で減少する。テストステロンの減少は男性更年期と呼ばれるが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化せず、身体や精神に与える影響も個人差が大きい。テストステロンの減少率は個人差が大きく、70代になっても、30代の平均値に匹敵するテストステロン値を維持している男性も多い。テストステロンの多い男性はタンパク質同化作用が高まることにより太りにくくなるという説がある

<エストロゲン>
一般に卵胞ホルモン、または女性ホルモンとも呼ばれる。卵巣の顆粒膜細胞、外卵胞膜細胞、胎盤、副腎皮質、精巣間質細胞で作られ、思春期以降分泌が増加し、プロゲステロンとともに月経周期に応じて濃度が変化する。女性の性活動、二次性徴を促進する働きがある。更年期以降は分泌が減少する。女性の尿には、大量のエストロゲンが含まれるため、下水処理水も多量のエストロゲンを含むことになり、環境ホルモンの環境への排出が問題になったことがある。

人の性格と神経伝達物質ヘレン・フィッシャーの「運命の人」Why Him? Why Her?)
ドーパミン:冒険型
セロトニン:建設型(日本人に多い)
テストステロン:指導型
エストロゲン:交渉型

性格の相性
冒険型=建設型
交渉型=指導型

交配と生殖のため進化した脳内システム
@恋愛
A性欲
B愛着

Rev. August 22, 2009


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