シリアル番号 | 表題 | 日付 |
748 |
シックイとセメント |
2003/08/20 |
石灰石を800-900度Cで焼くと炭酸ガスを失って生石灰になる。これをい水を加えて消石灰としてペースト状にして使う。炭酸ガスと結合し硬化する。アジア・日本など多雨の地方で使われる。
石膏を150-200度Cで焼くと水分を失って焼き石膏となる。これに水を加えてペースト状にして使う。余分な水が蒸発すれば硬化する。石膏を原料とする漆喰は水に2%溶け雨の多いところでは使えない。地中海地方で家を白く塗るのに今でも使われている。
ローマ人は生石灰と火山灰を混ぜてセメントもどきを作った。パンテオンのドーム(紀元110年)はこれで作られた。2,000年後の今でも健在。セメントはローマの滅亡とともに忘れられ18世紀に英国で再発見された。ポートランド島産の建築用石灰石、ポートランド石に似ていたのでポートランド・セメントと呼ばれた。
現代のセメントは石灰石と粘土を1,500-1,600度Cで焼き、主としてケイ酸塩を作る。水と混ぜペースト状にして使う。ケイ酸塩の水和反応で硬化する。
地中海は昔はテチュス海と呼ばれ今の5倍あった。しかしアフリカプレートとユーラシアプレートの衝突により小さくなると同時に海底に堆積した砂岩とか石灰石を地表に隆起させた。
エジプト人はこの石灰石を使ってギザのピラミッドを建造し、砂岩を使ってルクソールの神殿を造った。堆積岩は堆積した状態、すなわち水平に積み上げると強いが縦にすると弱くなるため柱も円盤状の砂岩を積み上げねばならない。また梁を長くできず、太い柱ばかりの神殿となった。
ギリシア人はプレートの衝突による圧縮と褶曲と地熱によって変成され強度が増した石灰岩、すなわち大理石が近くにあったので細い柱、長い梁の神殿を造ることができた。アクロポリスのパルテノン、エレクティオン神殿がそれである。
ローマ人はアフリカプレートが沈み込んでマグマとなって噴出した火山灰からセメントとコンクリートを作って安いレンガを使ってアーチを作ることができた。大理石は表面の装飾用に成り下がった。こうして造られた代表建造物はパンテオンである。
BBC TV番組
Rev. October 12, 2007