シリアル番号 | 表題 | 日付 |
611 |
クリスティー戦車 |
2002/5/12 |
ノモハンで突如出現したソ連の新鋭BT型戦車に日本軍は全く手の出しようがなかった。このBT戦車は米国で世界初のFFドライブ車を設計したクリスティーが設計した戦車で高速性能を特徴としている。キャタビラーを付けて64km/hの速度がだせた。日本の89式戦車は26km/hしか出せなかった。
米国を含む世界中の陸軍指導者は匍匐前進の戦術からの発想で高速戦車には興味を持たなかったがミハイル・コーシキンがクリスティー戦車をデッド・コピーした。ノモハンで日本軍の火炎瓶に手をやいたミハイル・コーシキンはノモンハン後ガソリンエンジンをディーゼル・エンジンに換装した。そしてやがてこの戦車は第二次大戦での最優秀戦車といわれるT34型になる。1941年7月東部戦線のドイツ機甲部隊は突如出現したT34型戦車に恐怖のドン底に突き落とされる。
スターリンによる赤軍の大粛清により先見性のある軍幹部が居なくなった間もコーシキン以下の技術陣は黙々研鑚を続けた。
ノモンハンで負けた日本軍は何も学ばず、戦車を改良することはなかった。
鈴木孝著「エンジンのロマン」