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336

網野善彦(あみのよしひこ)の見解

98/12/26

●開かれた多様な列島の視点で書いたベストセラー日本史通史「日本社会の歴史」の著者網野善彦の3つの発見

●その1:日本は孤立した島国ではなく、人と物は列島の西南北から絶えず流入している。海は障壁ではなく安定した大量輸送、交易の道だった。

●その2:日本国の成立は国際的には702年のヤマトの中国への使いが初めて倭の国でなく日本の国と宣言した時に始まる。国内的には689年施行の浄御原令で日本、天皇の呼称を正式に発令した時である。従ってそれ以前は倭の国、大王、王、王子が正式。聖徳太子は後世の呼称で正式には厠戸王子が正しい。

●その3:百姓は農民ではない。百姓と水呑みは身分で正業の名称ではない。その例として、大金持ちの回船商人の身分は水呑みということが奥能登の古文書に記録されている。裕福な商人や職人も身分は百姓である。江戸時代の百姓の下のレベルの分類に農人というものがあるが、この農人も養蚕、綿作、織物、薪炭、漁猟、製塩、船持ちなど農間稼ぎをしている。農間稼ぎが生業で、田畑はわずかでも農人とされた。明治政府が戸籍を作るとき、百姓と水呑みを全部農としたことに原因がある。

●以上、1998/11/5朝日新聞特集の記事より。


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