メモ

シリアル番号 表題 日付

320

「自分で決める」を嫌う社会

98/10/12

●谷岡一郎・大阪商業大学学長(社会学)「ギャンブルは資本主義の本質と強く結びついている。保険は誕生当初からギャンブルそのものだったし、株も 先物も不動産投資もギャンブルと変わるところがない。ギャンブルを否定したら国際的競争力の獲得はありえない。ギャンブルの怖さを知らなかったからこそ、 多くのエリートがバブルで失敗した。

●山野浩一・作家、競馬評論家、「日本の社会の底流に今もあるのは江戸の儒教観。その上に官僚支配がのっかり、人民にはなるべく自分で決めさせない ようにしてきた」「英国はローマ教会の教義を離れ、自主的な理念のもとで自己決定することの重要性をいち早く学んだ。未来へ、未知なるものへ賭ける「射幸 心」が英国流デモクラシーを鍛えてきたんです」

●「投機」と「思索」をおなじspeculationという言葉を当てている英国では「自分で決める」ことと「天に任せて決めてもらう」の価値観が日本と逆。

-朝日新聞文化欄特集ギャンブルを問うより

●資本主義の下では社会格差が拡大し社会正義が破綻する。そこで所得税を累進性にして分配正義を 維持してきた。ところが経済のグローバル化にともない、自国の産業振興のために各国は再分配課税をすてて消費税増税に走った。社会正義はしたがって社会保 障制度で確保するという方向に行かざるを得ない。欧州では左派・リベラルが福祉国家の充実と引き換えに逆進的な消費税を容認してきた。しかし福祉国家を逆 進的な租税でファイナンスするというパラドックスを受け入れられなかった民主党は分裂してしまった。そして不幸にも自民党の公共事業を軸とする「公共投資 国家」に逆戻りして無駄な投資を継続し財政の破綻に向かってまっしぐら。

ー諸富徹京大教授

Rev. August 14, 2014


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