メモ

シリアル番号 表題 日付

304

ハード・ポート

98/7/26

●現在では取舵一杯のこと

●反対は Hard to starboad で、面舵一杯のこと

●タイタニックの字幕でマストの見張り員から船首右舷に氷山発見の緊急報告を受けた当直航海士が機関後進全速のテレグラフを引き、操舵手に「ハード・ポート」という緊急操舵号令を叫ぶ。操舵手が急いで左に舵輪を左に回すシーンで字幕は面舵一杯と翻訳。

●あまりにも簡単なことなので、翻訳者が間違いを知っていて語感からあえて面舵を選択したたのではないか?

●しかし時代考証に厳密なら英語台本はハード・スターボードというべきだったということになる。当時英国では左に曲がるときハード・スターボードといったのである。これは帆船で左に曲がるときは舵柄(ティラー)を右に押す必要があるためで、英国ではこう言ったのである。しかしフランスでは反対の言い方をしていて水先案内のトラブルが発生した。1928年にロンドンで開かれた国際海上衝突予防規則の改正に関する国際会議で操舵号令は船首を向けようとする方向を基準とするとの統一が計られてから、英国では反対となったのである。

●しかし、英語台本が時代考証に厳密にハード・スターボードと言ったとしても日本では昔から左への回頭は取舵だったのだからやはり日本語訳は取舵とするのが正しい。

●ちなみにポートサイドは接岸する側という意味。

●スターボードとは語源的にはステア・ボードで舵(ステア)をとる甲板(ボード)である。バイキング船もゴンドラも櫂で舵を取り、すべて右側に舵取りが足っている構造である。

●参考文献ーわれら船乗りー海の慣習と伝説ー杉浦昭典著

●日本船舶職員養成協会講師 浜口公生


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