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1523

脂質の摂取量と寿命
2017/12/13

2017/12/13のTV朝日を観ていたら英国の医学雑誌The Lancetに人が必要とするエネルギーの35%以上を脂質で摂取する人が一番長生きするという研究結果を発表したという。

しかるに厚生省の指針は脂質は20-30%にすべしとなっている。そこでこの厚生省の指針を決めた東大医学部付属病院の深柄和彦氏にTV朝日が取材したと ころ20-30%と決めたのは比較データがあるわけではなく、日本ではそうだからそう決めたのだというはなはだ非科学的な回答だった。桜美林大学の名誉教 授は厚生省の指針は全くナンセンスだと激しく批判した。BMIなどは高齢になったら増える方がむしろ健康なのに年齢に関係なくBMI=22をキープせよな どナンセンスな要求をして年寄を栄養不足にし、かえって短命にしている。そもそも脂質を摂ればついでにタンパク質も摂取できる。古代骨の研究から弥生人の 骨格は縄文人より貧相というのが常識である。縄文人は当然、米を食べていなかったからだ。寿司などはほとんど米を醤油で食しているというのが実態。

我々には進化の過程で獲得した糖代謝と脂質を燃料とするケトン代謝の2つのエンジンがある。脂質を制限してカロリーを炭水化物(糖)でとれば、インシュリ ン分泌で糖を中性脂肪にかえて脂肪細胞に蓄えるので結局、脂質を摂取したと同じ事になる。インスリンの過剰分泌を40-50年継続すると膵臓が疲弊してイ ンシュリンが出にくくなる。こういう人はI型糖尿病になる。膵臓が強い人はメタボリックシンドロームになる。メタボリックシンドロームは動物性脂肪の過剰 摂取が原因ではなく、糖分の過剰摂取が原因なのだ。ここにも犯人の誤認がある。肝臓は糖をグリコーゲンとして1,000kcal相当の備蓄が可能だが12 時間で燃料切れになる。そうするとまた糖質がほしくなる。糖質すなわちごはんを食べるためには塩分の摂取も増えて血圧の急変を生じて早死にする。

脂質は体重の30%も脂肪細胞に蓄えられているため、肝臓のグリコーゲン備蓄が底をついても脂肪細胞中の資質がケトンとなり、血液脳関門を通過しできる。 脳細胞はケトン体のほうがブドウ糖より親和性が強いので脳が活性化される。渡り鳥が長距離弁当もなく飛べるのは筋肉もケトンをエネルギーとしては利用でき るからである。人類も鳥も進化の過程で同じメカニズムを獲得しているのだ。空腹を覚えたら、炭水化物よりナッツなどの脂質をとれば、血糖値を上げることも なく、カロリーを獲得でき血管も傷つかない。

厚生省の指針に素直に従った沖縄は長寿県を返上した。アジアでは香港がもっとも長寿だ。これも中華料理という脂質とタンパク質の多い食事のためであろう。 農水省は米作保護のためか、「脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖、朝はしっかりご飯を食べましょう」と宣伝しているが、これは真っ赤なウソである。これこ そ糖尿病とアルツハイマーを国民に強いているようなものだ。バター悪者説も犯人誤認の最たるもの、むしろ植物油に水素を添加したマーガリンやショートニン グを禁止すべきなのだ。ユニリバーはこの部門を売却するという。

私は10年以上も中性脂肪や空腹時血糖値を下げるために、厚生省の指針にしたがい総カロリー制限を試みたたが、食欲に抗することは できず失敗した。そこで、おかずをたらふく食べて主菜とよび、主食と呼ばれるごはんをやめたら、うまくいっている。こうして農水省と厚生省への不信感は確 信に変わったのである。


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