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1397

永続敗戦論
2013/07/03

2013年06月16日の朝日の水野和夫の書評

「原発敗戦」を書いてから白井聡(さとし)氏の「永続敗戦論」を2013年06月16日の朝日の水野和夫の書評で知った。

いわく:日本はいまだに敗戦を意識していない。というかなかったことにしている。8月15日は「終戦の日」といい天皇の「終戦詔勅」は「敗戦詔勅」とは言わない。この敗戦を終戦とすり替え る目的は戦前の権力構造を温存したほうが日本統治がうまくゆくと米国(「終戦のマッカーサー」に描かれたように大統領の椅子をねらっていたマッカーサー)の判断に悪乗りしている。そして日本の権力機構はこの米国の態度にホットしている。かくして 国民を必敗の戦争に突っ込んだ責任は問われず、うやむやになっている。

日本の自称愛国者たちは対米従属状況により発生する「主権の欲求不満」を埋め合わせる代償行為として中国や韓国を挑発する行為に興奮するという現象を起こしている。

一方、左派リベラルは「平和がいいよね」などという政治的には稚拙なキャンペーンしかできない。

日本の自称愛国者たちには「江戸時代はみんな平和にやっていたのに、無理やり開国させられ、富国強兵して大戦争をやったけど、最後はコテンパンに叩きのめ され、侵略戦争やったロクでもないやつらだと言われ続ける。なんでこんな目に遭わなけりゃいけないのか、近代化なんてしたくてしたわけじゃない」と、欧米列強とい うか近代世界そのものに対する被害者意識がどこかにある。

敗戦の事実すらなかったことにしているこの国には、思考の基盤がない。英語が下手なのは、言うべき事柄がない。独立して在るとは「言うべき言葉」をもつこ とに他ならない。ただし、仮に言うべきこと見つけても、それを発するには資格が必要だ。ドイツだって「俺たちだけが悪いのか」と内心いいたいであろう。で もそれをぐっとこらえてきたからこそ、彼らは発言できるし、聞いてもらえるのだ。これを人種的偏見にこじつけるのも被害者意識のしからしむところだ。

日本の自称愛国者たちは、広島と長崎に原爆を落とされたことを「恥ずかしい」と感じている節はない。被爆のような最悪の事態を招来するような「恥ずかし い」政府しか我々がもちえなかったことを端的に示しているはずなのに。原発事故も、政官財学が一体となって築き上げてきた安全神話が崩壊したのだからまさ に恥辱の経験だ。「仕方がない」で万事をやり過ごそうと、私たちの知的・倫理的怠惰がこういう恥ずかしい状況を生んでいる。恥辱の中に生きることに拒否し なければ未来はない。

朝日文芸批評ー終わりと始まり―名誉ある敗北、洗い 流せぬ恥と共に

「永続敗戦論」を受け、池澤夏樹は大野晋の定義する「恥」とは自己の能力・身分・地位・経済状況・勝負・男女関係において劣っていることや失敗などを他者に知られる ことで生じる、名誉を喪失したと思う気持ちやその行為。また、その保つべき名誉を重んじる心。とすればその名誉を回避してしまった。アメリカに負けたのは 歴然としている。原爆はその象徴だ。だが中国にだって15年戦争をして負けた。なによりの証拠に日本兵は今中国に一人もいない。福島第一の崩壊は東京電力 にとって究極の恥であったはずだ。しかし東電はもちろん、一連托生でやってきた財界も自民党も恬然(てんぜん)として恥じ ることを知らない。今から原発を海外に売るのは真珠湾の作戦計画を売るようなものだ。当初は勝っているように見えても最後には放射性廃棄物の山に埋もれて 敗ける。名誉を重んずるとはやせがまんすることだ。それがなぜか敗戦時にはできなかった。そして今も。

朝日―オピニオン

従軍慰安婦は直接的には軍の関与はなかった、南京大虐殺は幻であると考える安倍首相では日米安保は機能しないのでは?従軍慰安婦に関する橋下発言で、安倍 首相のイデオロギー的な勢いは止まったとみていい。そこに上海株が暴落が起きている。中国の経済崩壊が日本に波及する可能性も否定できない。

Rev. August 21, 2013


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