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シリアル番号 表題 日付

1396

廃炉の理由
2013/06/22

●クリスタル・リバー原発
2013/2/11アメリカの電力会社デューク・エネルギー社(Duke Energy Corporation)のフロリダ州クリスタル・リバー原子炉(the Crystal River nuclear reactor)の廃炉が決定した。加圧水型原子炉1基(発電能力86万kW)で許可は1977年3月、期限は2016年12月まである。納入業者はバブ コックス・アンド・ウィルコックスで建設コストは5億ドルだった。2009年9月に20%の新燃料補充をすることになったが、この時以来電気の供給を止め ている。この原発はもともとフロリダ・プログレス社(フロリダ電力の子会社)が所有していたが、2000年にカロライナ電力電灯会社(Carolina Power & Light)が買収、プログレス・エナジー社の中に組み込まれた。2012年7月デューク・エネギーはプログレス・エネジー社そのものを買収したので、ク リスタル・リバー原発もデューク・エナジー直接の所有・運営となった。問題は新燃料入れ替え作業中に発見されたコンクリート格納容器にあった。廃炉は直ち に行われる。クリスタル・リバー原発は2009年以来、“お宝”が逆に頭痛のタネに逆転して苦しんでいた。2009年に20%新燃料入れ替えを行い、同時 に2036年までの操業許可延長申請を行おうとしていた。問題は原子炉にあった。2009年の暮れ蒸気発生器の入れ替えと移動を行おうと大きな穴をコンク リート格納容器にあけた時コンクリートが薄片状となっていることが発見された。これはコンクリート格納容器に構造上の亀裂が生ずることにつながる。デュー ク社によれば核電気保険会社(Nuclear Electric Insurance Limited =NEIL)から払い戻し保険金(reimbursement)としてすでに3億500万ドル(274億5000万円)を受け取っており、追加的にあと5 億3000万ドル(477億円)を受け取ることになるだろう、という。NEILは1980年の創立。これは1979年のスリーマイル・アイランド原発事故 を受けてのこと。1997年やはりバミューダに本拠を置く核相互会社を吸収合併している。2012年12月タンパ・ベイ・タイムズは、プログレス・エネ ジー社が抱えている現在進行中の、クリスタル・リバー原発の問題はNEILに50億ドル(4500億円)の支出を伴う史上最大の保険金支払い請求となるか も知れない、と報じた。現在NEILは保険金請求に対して36億ドルの基金しかもっていない。この保険金請求に対しては加盟各社の追加拠出が必要にあるか も知れない、この場合は電力顧客にそのつけが回ってくることになるだろう、と報じた」.
廃炉法は安全囲い込み(Safe Enclosure)(またはセーフスター《Safestor》):この選択肢は長期間の規制当局規制監督下で最終処理を延長する方法。通常は40年から 60年のオーダーで処理に当たる。実際の破却や廃止措置まで施設は安全管理の状態におく。

●サン・オノフレ原発
2013/6ロサンゼルスの南東約130kmに位置するサンオノフレ原子力発電所の2、3号機の廃炉が決まった。原因は、昨年、交換したばかりの三菱重工業製の重要設備「蒸気発生器」の設計不良。従業員約1100人を解雇し、三菱重工に損害賠償を請求する。

●シッピング・ポート原発。
ピッツバーグから直線距離で約40km。世界で初めて平和的な目的で建設された核施設として知られている。1954年9月6日に建設、1958年5月26 日に操業を開始し、1982年10月1日に操業を終了した。最高責任者はアメリカ原子力委員会(AEC)のハイマン・G・リッコーヴァーであった。この施 設の建設には725万ドル(日本円で8.7億円)かかった。すでに操業を停止し廃炉になっている。

●スーパーフェニックス原子力発電所
スイス国境に近いクレイマルビルのローヌ川沿いに建設された。本格的に稼働を開始したのは1986年であるが、その後燃料漏れや冷却システムの故障が相次ぎ、1990年7月に一旦稼働を停止。
1994年8月に運転を再開したが、その時には実証炉としてではなく核廃棄物を燃焼させる実験炉としての再スタートであった。しかし、最終的にフランス政 府は1998年2月に閉鎖を正式決定し、同年12月に運転を終了した。フランスは後継のスーパーフェニックスIIは凍結したが、新たに高速増殖炉 ASTRIDの開発を進めている。

●日本の原発の廃炉
BWRも柏崎刈羽のように後期になると格納容器がコンクリートだからいずれ同じ問題が立ちはだかる。いずれにせよ今後遅かれ早かれ廃炉コストが電力コスト に重くのしかかる。一方、2020年以降は中国の多量生産で安く供給されるPV+batteryによる分散発電の方が電力会社より安くなるだろうから日本 はますます貧乏に中国はリッチになりそう。この産業のめぐり合わせについて論文が1本かけそう。


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