メモ

シリアル番号 表題 日付

1379

ボーイング787
2013/01/17

バッテリ―仕様

ボーイング787のメーンバッテリーは、自動車やバイク用バッテリーを製造するGSユアサ(京都市)の製品。10年に生産を開始し、電源周 辺機器を担当しているフランスの大手電機企業であり、航空宇宙分野、防衛分野、安全保障分野での情報システムと各種サービスを提供しているタレスに納入し ている。

リチウムイオン電池は電極の材料にコバルトを使用した特殊なもので、従来のニッケルカドミウムに比べて重量や体積が半分以下。軽量で大容量という特性から 787に採用された。電気自動車などに搭載されるマンガンが材料の電池と比べても小さくて軽いという。ブレーキもコンピューターで制御し、多くの電力を消 費する787はこの電池を4セット搭載。駐機中の機体に電力を供給する補助動力装置を起動したり、機器をバックアップしたりするのに使う。

4セットのうちメーンと補助動力装置用の二つは幅34センチ、長さ36センチ、高さ21センチの金属製の容器に8個のバッテリーが直列につながれた状態で 納められ、急激な充電や放電があると発熱するため電圧などを調整するBMS(バッテリー充電システム)とセットで使われる。電気系統はフランスの大手電機会社タレスだが実際に タレスのバッテリーチャージャーを作ったのはアリゾナ州にある飛行計器メーカー英メギット社(Meggitt  PLC社)の子会社セキュラプレーン・テクノロジーズ社のようだ。ただGSユアサが仕様を定め、セキュラプレーン・テクノロジーズ社が設計・製造を行って いる。ところがこれがまた韓国LG社に下請け発注していたという情報もある。

これまでの航空機は115V AC 3PHASE 400Hzであったが(400Hzにすると、トランスやコンデンサが小さくできるメリットがある) B787型航空機に電気系統は電源も230V AC 可変周波数(360〜800Hz)で発電し、230V AC・270V DC・115V AC・28V DC を使い分けている。発電機は
1)エンジン駆動の2つの発電機(STARTER GENERATOR) が左右2組
2)APU駆動の2つの発電機
3)RAT(RAM AIR TURBINE)駆動の発電機
4)バッテリー(メインバッテリーは2ヵ所に分散)
の発電機とバッテリーがある。エンジンが止まったとしても、APU, RAT, バッテリーで操縦は維持できる。

ちなみにトヨタのハイブリッドは250Vの直流。カーエアコンとかラジオは直流から交流にしてつ かっている。

バッテリー以外のフライト計器は直流であろう。これがとまったときのためにバッテリーバックアップがある。もし直流が切れればエルロンや方向舵がうごかなくなり操 縦不能になる可能性があるので油圧をバックアップに使っている(エアバスも同じ設計思想)。

バッテリー事故

日本と米国で一度ずつ。高松空港ではメインは炎上し、APUバッテリーには膨張が見られた。

バッテリー事故の原因

米運輸安全委員会(NTSB)が複数の内部告発者に関心を寄せているという。そのうちの1人、マイケル・レオン 氏は、NTSBの調査官と今週接触し、英メギット<MGGT.L>傘下のセキュラプレーン・テクノロジーズ社をめぐって安全性への懸念を提起 したことで6年前に解雇されたとの自身の主張に関する詳細な資料を渡したと明らかにした。同社は米アリゾナ州に本拠を置き、787型機に搭載されているリ チウムイオン電池向けの充電装置を製造している。

充電電源は交流か直流かは不明だが、交流であるとみるのが普通。ということは充電器は整流器が装備されているはず。そこで使われた半導体がサージ電力なり、 帯電部からの放電または半田つけがはがれたことで破壊されたと考えられる。その回路半導体がサージなどで壊れて短絡し、バッテリーが大電流で焼損したことになる。これなら充電 器をもっとしっかりしたものにすれば良い。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のドナルド・R・サドウェイ教授は8個のバッテリーの温度をきちんと監視し、それぞれを冷却する仕組みが取り付けられていないことが原因ではないかと推察している。

リチウムイオン電池はコンパクトな一方、電池内に細かい金属粉など不純物があると、内部でショートを起こし発火する危険性も指摘されている。06年にはソ ニーがパソコンに使うリチウムイオン電池に不純物がまじり、発火する恐れがあるとしてリコールした。今回はバッテリーに何らかの異常が起きたとみられる が、他の電気系統の不具合でバッテリーに過剰な負荷がかかったことが原因の可能性もある。

最も新しい疑惑は元ソニーの技術者からのものでリチウム電池は振動に弱い、787が頻繁な着陸などの振動を継続的にうけるとある時発火することがあるという。

リチウム電池内遺物混入での短絡も否定できない。これでも電圧降下が生じる。今回は湯浅電池側にもBMU(電池監視装置)のロジック板が2枚入っ ていた。でもこれは温度が電流などを計測して送るためのもので大連流遮断機能は持っていない。古典的なヒューズを入れることを禁止されているのだろう。

2013/2/21になり、運輸委員会はメインと補助動力装置のバッテリーがつながっていたと発表。初期の設計図でもこの間違いがあったという。今は修正 されている。これがつながっていると意図しない電流が流れる恐れがあるという。緊急着陸後、スイッチを切ったのに、主翼両端と機体最後部にあるランプが点 灯したままになっていた。

2013/6/10 阿部氏から個人的な解釈として...(間違った認識があるかもしれませんが)

1.大容量リチュウムイオン電池で急速充電が必要な場合セルの膨張を防ぐため、かなり頑丈な容器に詰め込んで収納する必要があり、今回のようなスカスカの 容器ではセルの膨張により、容量低下→充電時の発熱→発煙となることは自明と思います。実際、バスに搭載しているリチウム電池はほとんどケースの重量とい う感じです。
2.この問題を解決するにはケースを頑丈なものに交換するべきですが、航空機では大問題であり、現在のこて先の対策しかできないことになります。
また、電池をぎゅうぎゅうづめにすると、放熱問題が起き、チューブを張り巡らせて水冷にしなければならないわけで、これも重量増加、リスク増加、装置の大型化など航空機で使用するには不適なシステムとなります。
3.運用上、急速充電を行わないようにすれば問題は起き難いわけですが、メーカーとしては急速充電できませんとは言えない事情もありそうです。実際、全ての2次電池で緩速充電と急速充電では電池の型式が異なります。
4.以上の問題について、当然ボーイングや電池メーカーも知っていたと思われますが、認めてしまえば大きな責任問題となり、航空機メーカーに莫大な慰謝料を支払うことになり、決して原因は認めないことでしょう。

2014/7/5 運輸安全委員会は冬の低温でバッテリーの電解液が低温で電気を伝えにくくなることと金属リチウムがトゲ状に析出したためショートしたこと、充電電圧が一定でなかったことなどが熱暴走の複合原因と公表。


バッテリー事故対策

充電器に問題はないので、電池ということになる。しかしバッテリー発火の原因はバッテリーの構造と原理が複雑系のため特定できない。原因は不明な るもボーイングとしては@できるだけその複雑系を単純化するために8個のバッテリーを束ねないで切り離し、間を空気が流れるようにした。そして温度計を8 個のそれぞれにつけた。そでも失敗したときのためにA機外に燃焼ガスを廃出できるようにバッテリーはステンレス製の箱にいれ、ダクトをつける。これなら火 災の危険はないし飛行機は墜落する危険も少ない。前方貨物室のバッテリーが燃えてしまっても後方貨物室のバッテリーは生き残っているはず

原子炉規制委員会の採用したフィルタード・ベント対 策とにたようなもの。実績のあるニッケル水素電池には戻るには機内全部の電気系統の設計に影響です のでこういう改良で規制当局の認可を取得できそうだというころだろう。

ELT(緊急時の位置信号を発信する装置)発火

2013/7エチオピア航空の787がヒ−スロー空港で駐機中発火。内臓リチウム・バッテリーが発火したと考えられる。

カーボンファイバー機体


石綿の発癌性は石綿繊維が非場に細かく、肺の奥まで到達することが原因と言われています。5ミクロン以下の物質で分解されないものは肺癌の原因になると考 えてよい。炭素繊維は4ミクロン以上という大きさで、微妙な所だが、実際に素手で取り扱うと1週間くらいチクチク痛いので、皮膚の隙間にとどまり易いと感 ずる。(ガラス繊維は風呂に入ればほぼ洗い流せる)このため、肺に入った場合排泄され憎いと想像され、皮膚炎など人体への影響は無視できない。カーボンナ ノチューブなどはほぼ発癌物質と言われている。

10年以上経過した場合、炭素繊維材料の問題として、経年劣化の問題が大きくでてくる可能性がある。 結果補修費などランニングコストがどうなるか未知の領域になるため、注意が必要。

フライ・バイ・ワイヤー

タイヤのブレーキまで電化している。ただ操縦系統はいまではエアバス(初期は電気系のみで落ちた)も電気系と油圧系の両方を持っている。電気信号 に変えるのは時代の流れでやむをえないが、2重化しないと信頼性を確保できない。電力会社向けにガスパイプライン系の制御回路を2重化し たが、その切り替えモジュールをメンテナンス時引き抜いてしまい、発電所を止めた事件がある。このように多重化しようにもできない部分は残る。最後は手動と訓練が救うと いうこと。 パイロットはそういう訓練を受け、国家免状をもっているが、原発は素人が運転してもよいことになる。まず経営者からして素人だ。

機体や翼が良くしなるという特徴があるため、内部配線などストレスがかかり安いと想像できる。 このため、センサー信号の異常、配管のシール不良、電力 ラインのショート等の危険性が高いのでは?(カーボン繊維複合材は基本的には絶縁材であり、アルミのようにアースを取ることができないため、ノイズに弱 い面がある)

カーボン繊維自体は導電性だが、複合材にすると絶縁材となる。このため航空機など帯電すると困る場合は、銅繊維を織り込んだり銅箔などをサンドイッチする ような対策がとられる。ただし、機体に落雷した場合は、局部的に燃えることがあり、避雷針などの対策が重要。また、外部からの電磁ノイズの影響は、シール ド(遮蔽)材の厚さに影響されるため、機体のアルミ材が強力なシールドとなるのだが、複合材の機体では、金属箔のシールドを施す程度になってしまうため、 遮蔽効果は限定的になる。化学プラントの制御もいまは全て電気信号に切り替わったが、寿命は20年が限度。原発も同じ。寿命は金属が一番ながくコンクリー トやプラスチックは短い。

電気系の脆弱性は原子力でも同じで、どんなに規制委員会が頑張ってもというか頑張れば頑張る程、二重化、第二の制御室などと新しい電子系を導入させるため、やはり事故はなくならないということを教えている。これが「原発敗戦」で警告したこと。

燃料系

ボストンと成田で意図せず英国製の燃料タンクの燃料弁が開くなどの報告があり、弁操作電気系の故障をうかがわせたが、弁開閉用の英国製の電気モーターが誤動作していたとの報道があった。

成田の事故は弁の駆動装置で塗装すべきでない部分に塗装され、これがはがれて駆動装置が動かなかった。ボストンでは小さな異物が弁につまっただけのこと。

2013/7 ボストンのローガン国際空港を離陸したJALは燃料ポンプ異常信号で引き返す。

空調

エンジン抽気(BLEED)を使わず、与圧や防氷を電気で行う方法

エンジン

IHI製2軸ロールスロイスエンジン。ターボファンを低速で回転させて効率向上、バイパス空気とジェット噴流がよく混合するようなギザギザのカバーが特徴。

現場から遠い文系マネジメント

これらのトラブルの原因はマネジメントがシアトルから離れ、文系支配になってしまい、飛行機野郎の心ががばらばらになってしまったことが原因と英コンデナスト・トラベラー編集長クライブ・アービングは指摘する。エアバスはしっかりと階段を上ってきた理系がトップとなって全体を掌握している。

Rev. August 5, 2014


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