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1340

認知閾
2012/05/29

レベッカ・コスタの『文明はなぜ崩壊するのか』(原書房)のなかで、

マヤ、ローマ帝国といった偉大なる文明が亡びたとき、そこでは何が起きていたのか。現代のテロや環境問題といった困難は文明崩壊の前触れなのか。進化論と 脳科学に基づき、文明崩壊の原因とその回避の方策をさぐる。

社会の問題が複雑化し過ぎると人間の脳は理解が追いつかなくなる「認知閾(いき)」 cognitive threshold という状態に達し、以下のような非合理な思い込みや行動に走る傾向にあると述べている。

なぜ人は超自然現象を信じてしまうのか?人間の脳はそういうものを信じやすい認知的傾向を持っているからと説明。巨大で複雑な文明に起きる社会問題をうま く解決するようには、我々の心は進化していないというわけ。ついでにミームの考え方を援用している。ミームというのは、文化的・社会的な行動や考えの中に は、人間の心によく馴染んで広まりやすく影響力の強いものもあれば、そうでない物もあるという考え方。人間は日々の生活を営む上で、情報を得たり思考した り感情を抱いたり行動もする。これを「ミーム」と定義し、また、より広く浸透し、強固に根付いた信念で、他の信念や行動まで抑圧し、影響を与える。これを 「スーパーミーム」と定義している。スーパーミームはあらゆる場面、日常的に我々の心に現れて思考を停止させる。下はスーパーミームの例:

・反対はするが対策はない・・・反対運動による思考停止
・個人に責任を転嫁して問題を解決したと酔いしれる・・・政治家・経営者イジメ
・怪しげな因果関係に飛びつく・・・二酸化炭素温暖化説
・物事の原因が不明でも何か一つにこじつける・・・二酸化炭素温暖化説
・緩和策や応急処置に満足し根本問題を先送りする・・・政治家・経営者
・問題を細分化してより複雑にしてしまう・・・役所の縦割り、学問の細分化、縄張り
・行き過ぎた経済偏重行動をとる・・・過度の市場主義
・何もしないことを罪悪視する風潮になる

文明が衰退するのを阻止するのは、もはや対処療法では無理でスーパーミームを打破し、小さな努力をいくつも重ねる(何でもやる)平 行漸進主義を実行し「ひらめき」が出る脳の無意識活動を鍛えることが必要と力説している。


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