メモ

シリアル番号 表題 日付

1323

璽霊山(にれいさん)

2011/12/11


203高地のこと。

乃木希典は、自作の漢詩で203高地を二〇三(に・れい・さん)の当て字で爾霊山(にれいさん)と詠んだことからこう呼ばれる。

203高地からの観測射撃に使用した二十八糎砲の砲弾が古く、信管の動作不良もあったようで不発弾も多かった。報告を受けた陸軍省技術審査部長有坂成章は 砲弾の全面変更を指示している。海軍側の調査では、多くの艦艇がキングストン弁を開いていた事が確認されていたようで、報告では自沈処理されたとなってい る。

第一次総攻撃前に行われた黄海海戦で、旅順艦隊は既に戦闘不能な程の大損害を被っており、旅順港の施設では修復は不可能だった。結局、戦艦セヴァストポリ だけが外洋航行可能な程度まで修復された(その後セヴァストポリは戦艦の中で唯一観測射撃をのがれたが、日本海軍の水雷艇の雷撃により大破し自沈した) が、他の艦艇は戦闘不能なまま放置され、最後は自沈処理された。したがって喧伝される203高地の「旅順艦隊殲滅のための観測点」としての価値は、実際は ほとんどなかったといえる。



203高地から俯瞰する旅順港

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