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1317

フラクチャリング

2011/8/19


今天然ガス産業はシエールガスプームに沸き立っているが、日本での原子力と住民との関係とまったく同じことが米国で生じている。

小さなエネルギー調査会社を経営していたジョージ・ミッチェル氏が開発したフラクチャリング技術(高圧破砕)をハリバートンが展開しようとプッシュとチェ イ二一が特別 法を作ってしまった。これでシエールガスブームがきたのだが、この特別法はEPAなどが環境汚染を摘発できないような法体系になっている。結果として開発 ブームになり、広範な地下水汚染を発生させてしまった。フラクチャリングには塩酸、グリコールエーテル、エチレングリコール、イソプロパノール、生物腐食 防止剤トリク口ルべンゼン、ブルタラアルデヒド、腐食防止材ジメチルホルムアルデヒド、摩耗減少材/潤滑材ポリアクリルアミド、鉱物油、塩化カリウムなど をなどを水にま ぜ、これにプロパント、すなわち砂とかセラミックビーズを混ぜて地下の頁岩層に高圧で注入し、地層に10m程度の長さの割れ目を入れるのだ。むろん水は事 後回収するのが 50%は地層中に残る。掘削井のケーシングが地下水層を通過するときセメンティングに漏れがあるとき、隙間から破砕水が漏洩して地下水を汚染するというの で米国で環境破壊として話題になった。農家の井戸水層ににじみ出てくる。結果、飲料として使えなくなるばかりでなく、牛の健康維持もできなくなり、メタン ガスまで井戸にでてきて爆発し、自 家用水道栓から火を噴く。回収した水も池にためて空気中にスプレイするだけのため、大気汚染もひどい。などなど。ただこれも水溶性ガス層のガスが シェールガスと間違われたことも一因だ。基本的にはシェールガスが環境破壊することは防止可能。

地質の専門家にH氏によれば頁岩(Shale)といっても、日本の山にある頁岩は粘板岩(Slate)と呼ばれる硯石のような岩石である。硯石には細孔が ないため、水圧をかけて破砕することはできない。シェールガスを算出するようなShaleは、Sandy ShaleまたはSilty Shaleのカテゴリーに分類される岩石で、もともとガスを含む孔隙を持っているのだが、その孔隙が連続していない。そのため水圧をかけて破砕して、孔隙 を連続させてガスを産出させる。シェールガスを含むようなShaleも、時間・地熱・地圧を受けると硯石のような岩石に変化するという。

さてワイオミングの農民相手なら東電のように 買収でやりくりできるが、大都市近傍では多分新しい法律ができて開発にストッブがかかるのではと予想される。するとコストアッブになり、やはり自然エネル ギーを開発しなければということになると私はおもい友人Hに聞いた。次はHの回答。
 
Shale Gas 生産効率向上に必要な Water Injection に依る地下水汚染は当初から問題視されていて、地下水汚染防止技術の開発がShale Gasの将来を決める、と言われていた。この問題からShale Gasがガス市場に投入され始めた2008年初め頃には、Shale Gas生産には限度があり、大した量にはなるまい、と言うのが Major Oilsを含む関係者の大方の見方であった。が、US/Canada におけるガス生産量の落ち込みが顕著になって来るに連れてShale Gas生産量が急速に伸び、2010年半ばころには米国ガス消費量の10-15% を占めるまでになった。結果として、LNG Spot Market Price は15-16 $/mmBTU から6-7$/mmBTU(米国内では(5$/mmBTU前後)の水準にまで急落した。
 
この急進の背景には、エネルギーの外国依存脱却と言う米政府のてこ入れがある訳だが、Shale Gas田開発の前提である地下水汚染防止が十分になされていないと言うのは大いに問題。広範囲且つ長期に影響が及ぶ、と言う点では原発からの放射性 物質漏洩に似ているが、Shale Gas生産に伴う地下水汚染問題の発生は不可避ではなく防止出来、問題が起きたとしてもその影響度合いは放射能汚染とは桁違い。が、地下水汚染問題が開発 中止の主因となった Oil Sand Projects の例もあるし、Shale Gas生産量の伸びはかなり鈍って来ると思うが、Shale Gas生産量鈍化が直ぐに再生エネルギー利用発電設備建設に結び付く、と見るのは早計で、再生エネルギー利用技術開発の今後の進み具合に依るであろう。

2011/9ロンドン滞在中にBP会長だったブラウン卿が率いるCuadrilla ResourcesがLancashirのBlackpool近くのFylde Coastで3本の試掘井をほり200tcfのシェール・ガス田を発見と報じられた。回収率10%として20tcfに達し英国需要の56年分に相当として いる。BlackpoolからPrestonにかけて広がっているという。採掘はhydraulic fracturing (fracking)のため環境汚染防止が重要となる。

October 10, 2011
Rev. November 19, 2011



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