メモ

シリアル番号 表題 日付

1273

テレックス

2010/03/14

海外の顧客や海外の拠点との連絡はATT社が運営したテレックスを使った。テレックスは不特定の相手方との古典的デジタル通信方式である。顧客やベンダー間では殆ど英語を使ったが、商社はローマ字を使っていた。秘密の内容の場合は、固有名詞を置換する方法を使ったものである。固有名詞の対応表が別途送られてくるので頭のなかで置き換えながら解読した。このテレックスも今では一部機密を擁する軍事指揮通信を除き、ファックスや電子メールの普及に伴いだれも使わなくなってサービス提供は今世紀に入って中断されました。

朝日新聞の特派員だった川上も1973年にテレックスでペシャワルから東京に原稿を送信した苦労話を語った。テレックスでは無論日本語は使えない。ローマ字に書き直して打電することになる。加えてペシャワルでもテレックスを導入しているところは少ない。あるところに出かけて打電を依頼するのだが、ローマ字のテレックスマシンはペシャワルにはない。ローマ字をウルドウ語のアルファベットに書き直してもらって打電した。後日記事になった紙面をみたところほぼ間違いなかったので感銘を受けたという話でした。

NHKでシルクロードのシリーズ物を製作した小笠原は「シリアの田舎の郵便局でローマ字の電文を渡したら「自分で打て」と言われ、自らテレックスのキーを叩いたことがあります。80年代まではヨーロッパでさえ通信のインフラが遅れていて、ポーランドに進出しようとしたスズキ(ニッサンだったかも?)自動車が、あまりのインフラのひどさに、契約を破棄したことがあったと記憶しています。メールが普及した今となっては考えられないことでしたね」と書いてきた。

電子メールは20世紀最後の技術革新であった。


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