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1154

カイラル対称性

2007/09/17

現在の素粒子理論では、すべての素粒子は本来質量をもたない。クォークが質量をもつ仕組みには2段階あり、1つはヒッグス粒子の関係するヒッグス機構、もう1つがカイラル(Chiral)対称性の自発的破れである。前者が物質の質量の2%をあたえ、これを種として後者が残りの98%をもたらす。

南部陽一郎氏(シカゴ大名誉教授)が1961年に超伝導の理論にヒントを得て提唱した「カイラル対称性の自発的破れ」という仮説を提唱した。超伝導のBCS理論では、上向きスピンをもつ電子と下向きスピンをもつ電子がペアを作って金属中を埋めつくしている。ペアとしての運動では電気抵抗をゼロにするほどスムースに動けるが、個別の電子は実効的に大きな質量をもつ。南部氏が量子色力学において提唱したのは、クォークと反クォークの対が宇宙全体を埋めつくす(宇宙の超伝導状態)ことによりカイラル対称性が破れ、個々のクォークが実効的に大きな質量を得る、というアイデア。スムースに動けるペアとしての運動は比較的軽いパイ中間子として解釈される。

カイラル対称性とは質量ゼロの粒子がもつ対称性で、粒子のスピンの右巻きと左巻きとに区分される。粒子のスピンは光速で飛ぶ場合に厳密に定義され、粒子の固有の性質と見做される。

CERNの加速器LHCやフェルミ国立加速器研究所のテバトロンはヒッグス粒子の質量を測定しようとしている。

電弱力と強い力を一つの理論で統一する大統一理論には未知の超対称(SUSY)粒子が空間に潜んでいると考えられている。

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