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シリアル番号 表題 日付

1142

ナグ・ハマディ写本

2007/07/14

1945年にエジプトで発見された古文書写本。エジプトはアスワンから北東約225キロメートルに位置するナグ・ハマディ村の土中より農夫が封印された壷を発見。なかからパピルス文書がでてきた。本写本は原典がキリスト教主流派によって意図的に破棄・湮滅され、実体が不明となっていたグノーシス主義の解明に大きく貢献した。

ナグ・ハマディ写本はギリシア語からコプト語に翻訳された文書でプラトンの「国家」の一部や「トマスによる福音書」の完全な版が含まれていた。ナグ・ハマディ写本発見以前に知られていたグノーシス主義の資料は「(マグダラの)マリアによる福音書」、「イエウの書」、「ピスティス・ソフィア」などごくわずかであった。

「(マグダラの)マリアによる福音書」は初期キリスト教の「新約聖書」の外典としてこの名の書籍の存在が伝わっていたが、主流派によって破棄され、湮滅したと考えられていた。しかし、エジプトで発掘され、後にベルリンに運ばれたパピルスの冊子、いわゆる「ベルリン写本」の冒頭部分が「マリアによる福音書」と呼ばれる文書の写本であることが1896年に判明した。しかしこれが公になったのはナグ・ハマディ写本がみつかってからである。

イエスを裏切ったイスカリオテのユダが実はイエス・キリストの弟子の中の誰よりも真理を授かっており、「裏切り」自体もイエス・キリスト自身が主導したものであるという内容とされた「ユダの福音書」はグノーシス主義異端の書として正統派から言及されていたものであるが、内容は失われたと考えられていた。しかし2006年4月のナショナルジオグラフィックの発表によると、1970年代にエジプトで発見されたパピルス冊子の解析が進み、それが「ユダの福音書」のコプト語写本断片であると分かったという。炭素同位元素の年代測定で3-4世紀のものと確認されている。


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