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195

人間原理

95/10/21

●人間原理とは「宇宙が私達の見ているような宇宙であるのは、そうでなければ観測する私たちがここに存在することが出来なかったからだ」というもの

●プラトンーアリストテレスーウィリアム・ペイリーの系統の目的論的考えかたで、今日一部の天文学者や宇宙論学者が支持している。

●自然現象のなかに目的を探そうとする考え方で、平たく言えば「ザトウクジラは情深い創造主が人類のためにお作りになった」というのと同じ

●これに対する考え方は因果論で、ダーウィンの進化論がこれに相当する。なわち、「ザトウクジラは進化によって発生した」と考える

●時間は一方向にしか流れないというのがわれわれが常識としてもっているものだが、熱機関の効率の説明のために出来た熱力学もこの時間の方向性を示している。私が大学で勉強したのはこの古典熱力学。宇宙の熱的死が、仏教の諸行無常と奇妙に一致し、納得がいったものだ。

●その後、まだ御存命のイリヤ・プリゴジンが、非平衡熱力学を創造し、新しいパラダイム「自己組織化」を提唱し、これが進化論と矛盾がないというこになっている。最近の非線形力学やカオス理論はこれをバックアップしている。

●人間原理が亡霊のように出てくるのは、ニュートン、アインシュタイン、シュレーディンガーの理論が時間の方向性に関係ない線形力学によっているためのよう。存命中のホーキング氏の理論もこの系統の延長上でうろうろしている。現代理学はまだ力学と熱力学をという二大知的体系を統合出来ていない。

●このような意味で人間原理はどうやら疑いの目でみたほうが良いよう。


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